【対談】Suishowに聞く:「メタバース×NFT」から考える新しい広告の形

【対談】Suishowに聞く:メタバース×NFTから考える新しい広告の形

インターネットの世界は、プラットフォーマーにデータが集中するWeb2.0の時代から、個人の情報を分散して管理する「Web3」の時代へと変わりつつあるとされます。ブロックチェーン技術をベースに展開するWeb3において注目されるのが、代替不可能なデジタルデータ「NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)」や仮想空間「メタバース」です。

日本でもビジネスでの活用が始まりつつあるメタバース、デジタルアートから企業や自治体の活用へと広がりつつあるNFT。相性がよいといわれる両者を結びつけ「メタバース×ブロックチェーン」にイノベーションを起こそうと、2021年、東京大学と早稲田大学の学生がSuishow株式会社を起業しました。今回は「メタバース×NFT」とはどのような世界なのか、事業としてどう展開をしているのか、さらに、そこから生まれる価値とはどういものなのか、Suishow株式会社のCOO甲斐貴大さんに、お話を伺いました。

話し手:
Suishow株式会社
COO 甲斐貴大さん

聞き手:
アタラ合同会社
CEO 杉原剛

【目次】

・NFTホルダーがクローズドな空間で楽しめるメタバース
・独自ドメインでブラウザから入れるメタバースだから手軽に試せる
・まずはとがったNFTユーザー限定で楽しめるメタバースから
・「メタバース×NFT×広告」の可能性を考える
・「NFT×メタバース」を個人でも、法人でも


NFTホルダーがクローズドな空間で楽しめるメタバース

杉原:まず自己紹介をお願いできますか。

甲斐:2021年の5月に立ち上げたSuishow株式会社という会社です。僕はまだ今大学4年生なのですが、大学を今休学している片岡と、技術担当者の三人で立ち上げました。

杉原:東大と早稲田ですか?

甲斐:僕が東大で、もう一人が早稲田なのですが、メンバーは僕らだけではなく、いろいろいます。NFTとメタバースを絡めたような事業をメインでやっていて、ベンチャーキャピタルさんなどからも出資していただいて運営しています。

杉原:学生の方々でベンチャーキャピタルに行って事業説明して、もう出資を取り付けたのですね。

甲斐:はい。

杉原:時代は変わりましたね。

甲斐:いえいえ。結構、周りでもいます。僕らはイーストベンチャーズさんと、Beyond Next Venturesさんというところです。イーストベンチャーズさんから出資を受けている学生は多いです。

杉原:そうなんですね。

甲斐:今この分野への出資も多い印象があります。

事業は今、四つあって、一番注力しているのが「Zoa.space」というNFTが使えるプラットフォーム、メタバース空間です。二つ目は、そこでアイテムなどを売買できるマーケットプレイス「MetaMart」を運営しています。例えばアバターに着用できるアイテムなどが売買できます。三つ目は、まったくNFTとは切り離されていて、メタバース、3Dの空間を法人さん向けに受託開発に近い形で案件を受けて一緒に事業をつくっていきましょう、という「XR Studio」というサービスを行っています。わりとまだ事例が少ないので、コンサルティングまではいかないものの、模索しながらサービスをつくっていくのに近い感じです。

それぞれご紹介していきましょう。一つ目が「Zoa.space」です。

Zoa.space

杉原:面白いですね。

甲斐:まだ、これをつくって半年ぐらいしかたっていないので粗いのですが、まずサービスに登録すると、こういう3Dの空間を誰でもつくれるようになります。この中に、自分が持っているものを展示したりもできます。自分で持っているものをアバターのTシャツの絵にできたりもします。これは一般の方向けにやっています。

杉原:そこに入ると自分の空間ができるということですね。

甲斐:はい、そういうことです。一般の方といっても現状はNFTのコレクターさんやクリエイターさんです。

今一番注力しているのが、NFTのプロジェクトです。お金やリソースをかなり使ってしっかり運営しているところでは、買った人たちに満足してもらうため、TwitterやDiscordなどの手段を使ってコミュニティを盛り上げたりなど、いろいろやっています。その一つの手段として、こういう3Dの空間でワイワイしてくれたらいいなと思い、そういったところへ今、営業をかけています。

そこではNFTを展示できたり、自分の持っているものも使えます。この後でご説明する、マーケットプレイスで買ったものをアバターに着用させたりもできます。

ホルダーさん、つまりNFTのコレクションを1万体とか数千体、同じようなシリーズで持っている人だけで楽しむ方々にとっては、持っている人だけしか入れないコミュニティ空間を、という需要があるのですが、現状そうしたサービスがありません。僕たちのサービスは基本的にMetaMaskと仮想通貨のウォレットをつなげてサービスに登録するので、どのNFTを持っているか認証できます。本当に本物を持っている人しか入れない空間でコミュニケーションが立体的にできるというプラットフォームになっています。

杉原:ちなみに、なぜクローズドな空間にしたいというニーズがあるのですか。

甲斐:NFTを買っている人は「このプロジェクトがイケてるよね」とみんなが思ってるからこそ将来的に値段が上がっていくし、欲しいと思う人が外部から集まってくる形になっています。会員権に近い感じで「自分たちはこれを持っていて、自分たちにしか分からない情報や楽しさがあって、イケてるよね」ということをプロジェクト側としてもつくっていきたい、という需要があるのですよ。

杉原:なるほど。

甲斐:なので、例えばマーケットプレイスでTシャツやズボンなど、僕たちが出しているものをクリエイターさんが自由に出すこともできるのですが、購入したら、それを簡単に着せ替えできるようになっています。

その次の下の画像は、自分が持っている画像をNFTにしているイメージと、画像を3DのTシャツにしているイメージです。

NFTプロジェクト

今、NFTのプロジェクトが国内でもたくさん出てきています。国内のプロジェクトやクリエイターさんだと半数以上はZoa.spaceを認知していただいていて、パートナーやコラボレーションが進んでいる状態です。こういったところと一緒に、メタバースをどう使っていくかを考えたり、空間をつくることでお金を一部いただいたり、いただかなかったりもしているのですが、一緒に盛り上げていこうとしています。

パートナー&コラボ

Zoa.spaceで、使用できるアイテムを扱っている場所がこちらの「MetaMart」になります。

基本的に3Dのアイテムを扱っているマーケットプレイスで、ここで買ったものが先ほどのメタバース空間で簡単に使えます。どちらも自社で開発しているので、連携ができています。

標準規格に沿ってつくっていますので、ここで買ったものは外部のプラットフォームでも使える仕様になっていたり、OpenSeaというNFTで一番大きいマーケットプレイスで売買もできたりします。

杉原:御社で制作したものを出しているのですか。

甲斐:制作は、僕たちが出しているものも一部ありますが、基本的にはクリエイターさんに出していただいています。

杉原:では、その標準仕様に基づいて、つくっていただいているのですね。

甲斐:はい、そうです。

独自ドメインでブラウザから入れるメタバースだから手軽に試せる

杉原:法人向けのサービスもあるのですか。

甲斐:はい。法人向けには「XR Studio」というメタバース構築サービスがありますが、NFTにはまったく関係ないものです。メタバースを僕らが始めたきっかけは、企業さんから「何かつくれないのですか」とお問い合わせが結構多かったので、簡単な資料をつくってちゃんと提案していこう、というところから始まっています。売り上げにすぐつながるというわけではありませんが、視覚的に表現できるというところを打ち出しています。

これまでだと、豊田通商株式会社さんとか、梅田サイファーさんというアーティスト、株式会社クリエイティブ・ラボさんという建築、建設系の会社さん。不動産投資事業をされているGATES株式会社さんに導入していただいています。

メタバース取り組み事例

メタバース取り組み事例2

他にも、不動産賃貸仲介の会社さんで、不動産の物件の案内の内見までの部分をXR Studioでやろうという取り組みを今、手がけています。

杉原:やはり、そういうものが多いのですね。

甲斐:そうですね。クリエイティブ・ラボさんに関しては、サービスの新規事業でサービスを紹介するページをつくって、若い人に建設や業界自体を知ってもらいたいというご要望でやっています。

杉原:建設や不動産が多いのですか。

甲斐:今のところ、なぜか多いですね。

杉原:なぜか多い。

甲斐:はい、そうなんです。

一方で、僕たちが一つあるかなと思っているのは、若い人に知ってもらう、会社として新しい取り組みをしているというところで、採用の文脈でも使えないかなと思っています。かなり予算を持っているところに限られますが「メタバースで合同説明会をやりましょう」といった提案を考えています。注目は集まりますし、新しいことを実践しているという意味で、学生さんからも認知が集まりそうですし。

杉原:そういうパッケージを出したらニーズありそうですね。

甲斐:そうなんですよ。そこは今、検証中です。このサービスは、これまではお問い合わせをいただいて、それに対応する程度だったので、まだどの業種、どの業態で刺さるかは模索中です。これからもう少しアクセルを踏んで、営業も進めていこうと思っています。

次に、他社でも僕たちと同じように「メタバースをつくります」といっている会社さんはいくつかあります。大きい有名どころですと、クラスター株式会社さんは基本的にクラスターのアプリ内でメタバース空間があるというイメージです。あと、株式会社HIKKYさんは最近、NTTドコモやメディアドゥなどから70億ほど調達しました。評価額は知らないのですが、結構大きな資本が入ってきているようです。そこも基本的には、自社のプラットフォームでつくっています。大手だとそういったところがあります。

弊社と他社との違いですが、クラスターさんとの違いとしては、僕たちのサービスはアプリではなくURLからメタバース空間に入れます。なのでPCとスマホ、あとはVRのデバイスのブラウザからも入れるのでアクセスが簡単です。また、独自ドメインを使用できるというところが一番刺さっている部分です。

杉原:面白いですね。

甲斐:はい。例えば、豊田通商さんであればtoyota-tsusho.comの前にmetaverse.toyota-tsusho.comというような形で、僕たちの名前を少し隠す感じでの納品もできるという点は、企業さんによっては反応がよいと感じます。

豊田通商株式会社事例

あとは標準的なところで。ただ、ブラウザから入れるので、ECサイトにタブ移すだけで飛ばしたり。組み込むことも開発しようと思えばできるのですが、現状はそこまでは実績はありません。ただ、ブラウザ間の移動なのでそこまで大変ではなくて、ECサイトに飛ばすこともできます。

杉原:ブラウザで完結できるのはいいですね。

甲斐:そうですね。やはり最初のハードルが高いと思うので。まず試してみるという需要はあると思います。

杉原:あれから僕、Meta Quest 2を使ってみているのですが、どのゲームも、ものすごく没入しますよね。

甲斐:結構面白いですよね。

杉原:面白い。

甲斐:酔ったりしますけど(笑)。

杉原:最初はすごく酔いました(笑)。だいぶ昔にVRML(Virtual Reality Modeling Language、3次元グラフィクスをWebブラウザで表示するための言語)のような世界をやっていた経験があるのですが、そのときは実はどうなのかなと思っていたところがあり、正直、懐疑的な部分はゼロではありませんでした。でもMeta Quest 2に入ってみたら、ありだと感じましたね。

甲斐:結構いいですよね(笑)。今のデバイスが発売されて3年ぐらいたっているので、新しいデバイスが出るときには、もっと酔わないとか、出先でもできるとかになっているかもしれませんね。あと、髪が崩れないなど、いろいろ改善していけば、一般的になる日も近いかと思います。

杉原:そうですよね。僕みたいに1回体験してみると、というのはあるかもしれません。

甲斐:そうなのですよね。

杉原:だから御社がやっているように、2Dもありつつ。2Dというかブラウザーというか。

甲斐:はい、それもありだと思っています。やはり体験してみると、メタバース空間にはメタバース空間のよさはありますね。もちろんテキストのよさもありますし、音声のよさもあるのですが、わざわざ3Dの空間に入るところのよさもあるなと最近実感したところです。

杉原:なるほど。

甲斐:あと、空間のデザインも僕たちで、一からつくっています。「デザインもできます」というのも売りにしています。

こちらはクリエイティブ・ラボさんからのご依頼を、そのままつくったものです。これは演出があったりとか、体験したりとか、音楽が流れたりなど、いろいろあるのですが、簡単にこういう空間をつくることができます。

株式会社クリエイティブ・ラボ様事例

杉原:“簡単に”というのは、どういう意味で簡単?

甲斐:予算感や納期が早いという意味です。

杉原:納期は、もちろん要件によるとは思うのですが、どのようなレンジでお受けしていますか。

甲斐:ものすごく急いでいる会社さんではない限り、3ヶ月から半年ぐらいです。ただ、本当に優先度を上げれば作成自体に1ヶ月かからないこともあります。価格はあまり大々的に言えないのですが、裏側の仕組みでいうとボイスチャットやリアクションなどベースの機能はもうすでにつくってあり、そこ自体は何も新規の開発はいりません。企業さんごとに「こういう空間がつくりたい」といわれたら建物自体をつくって、それを僕たちのサービス用に自分たちで入れ込んで、URLを別にして企業さんにお渡しするという感じなので、ベースのパーツができている分、建物だけの開発費が生じるイメージです。

杉原:そういうことなのですね。

甲斐:あとは「NFT Support」ということで、NFTのマーケットプレイスやプロジェクトとも関わりがあるので、もし企業さんでご希望があれば対応しています。

杉原:今アメリカで、マーケティングを本格的にやっている企業さんは、メタバースとNFTの販売の試験をすごくやっている気がします。日本はぼちぼちかなというところです。日本は、いつも何年か遅れだからというのもあるかもしれませんが、企業さんもどこに頼めばいいか分からないのかもしれません。だから、これからなのだろうなと思う部分もあるのですが、そういう依頼があればお受けするということですね。

甲斐:そうですね。僕らは、どちらかというとまだすごく小さいのですが、最近だと大手や、この界隈で昔からやっているとか、大きな資本が入っているという会社さんで事例ができつつあります。その意味では危機感ではないですが、日本でもわりと進んではきたという印象はありますね。

以上が、おおまかな弊社の説明になります。

杉原:ありがとうございます。

まずはとがったNFTユーザー限定で楽しめるメタバースから

杉原:そもそも、なぜメタバース、NFT、Web3なのでしょうか。

甲斐:そもそもは、メタのOculusを試したのが最初のきっかけです。Web3もNFTも最初はそこまで知りませんでした。そのころはメタバースとは言われていなかったのですが、VRの技術が意外と進んでいると感じました。ただ、自分たちでOculusのようなVRデバイスをつくるのは厳しいので、最初の最初はVRチャットといったサービスで扱っているアイテムが複製されるというのをクリエイターさんから聞いたのが最初のきっかけでした。

説明が少し難しいのですが、VRChat(VRChat Inc.が運営するソーシャルVRプラットフォーム)やcluster(クラスター株式会社のメタバース・プラットフォーム)は、ユーザーさんが自由にアバターとかをアップロードできて使えるサービスなのです。アップロードする手前で売買できるマーケットプレイス、そのアバターを売買している場所があって、そこで買ったものを安価に転売するということが結構行われています。それを見ると、マーケットプレイスは値段が全体的に低いのですよ。そこを何とかできないかと最初、思いました。

そのころNFTという技術についてちらっと聞いて、いろいろ調べたら面白いなと思んたんですね。組み合わせて、デジタルデータが本物だということを証明できたら複製も防げますし。今後、長期的に考えると、メタバースとか3Dの空間が流行ってきたときに、現実でよいブランド物を見つけるというような現実での概念に近しいことが絶対に起きるなと思ったのです。今だと本当に単なるデータなので、別にどれが本物とかはないですし、希少性なんていう概念はないのですが、NFTにすればデジタルデータに対して限定何個のレアグッズがこれ欲しいとか、そういう概念も生まれるでしょう。それをできるマーケットプレイスをつくりたいと思ってMetaMartをつくりました。それが最初です。

ただ正直、MetaMartだけだど結構難しい。VRChatに関しては自社でマーケットプレイスの連携は特になく、自由度がすごく高いです。clusterはある程度、囲い込みはしようと管理していて、今のところはまだアップロードできますが、空間をつくる際の素材はcluster上で買うことになっています。外部のサービスも同じく自社で3Dのファイルなどを扱っている場所があることが多いです。

そう考えると、僕たちは連携しないと、売買されない、つまり、買っても使えません。それなら自社でプラットフォーム自体をつくるほうが早いんじゃない?というところで最初のZoa.spaceをつくり始めました。

杉原:インターオペラビリティ(相互運用性)の観点でいうと、連携するというのはあるのですか。

甲斐:NFTの技術的にはできます。それこそ僕たちのマーケットプレイスもOpenSeaでもいけますし、データも誰でも取得しようと思えば取得できます。なので外部のサービスが、例えば僕たちのマーケットプレイスのNFTの情報を取得してきて、そこからファイルを引き抜いてくれれば、そこの外部のプラットフォーム上で持っている人が表示されるというのはできるのですが、3Dファイルの規格の問題で結構難しいんですよ。Sandboxやボクセル調のアバターだったり、すごくリアルな人間があったり。そこでアイテムが、Tシャツが同じものかというと、そうではないですし、大きさも2頭身みたいなものから人間のリアルな5、6頭身のものもあるので、そこの変換ができるサービスが今のところないのは課題だと感じています。

杉原:意外とそうなのですね。

甲斐:そうなんですよ。よく簡単なメディアの記事だと、メタバース空間はNFTと相性がよくて、NFTにしたら誰でも取得できて、とか本当のオーナー権になって持っていればどんなサービスでも使える、という概念で紹介されがちですが、こと3Dファイルに関しては、サービスごとの規格が結局、今存在しています。

杉原:安全なNFTファイルの持ち運びはできるけれど、こと3Dになると違ってくるということですね。

甲斐:そうです。最終的には、いろいろな人に使ってもらえる空間にしたいと思っているのですが、すでにVRChatやclusterさんといった既存で有名なサービスがあります。なので、どう攻めていくのがいいのか考えたところ、今NFTのユーザーさんで満足できるようなメタバース空間がなかったので、とがったNFTユーザーさんしか想定していないようなサービスを今自分たちでつくろうとしています。

「メタバース×NFT×広告」の可能性を考える

杉原:ゲームプラットフォームだと思うので取り組みは違うかもしれませんが、先日読んだ「ROBLOX」の記事では「ROBLOX」の中でImmersive Adsという、Immersiveな没入型広告というものがあるそうです。要は、見ているような形のいわば3D空間の中では、例えばポスターを目の前で見て「あの人が着ているやついいな」と思ったら、そこへぐっと入れるのですよ。なので、展示スペースの中に入って試着できたり、その場で買えるという没入型広告のフォーマットのようなものがあって面白いなと思ったのですが、広告については、どうお考えですか。

甲斐:今のところ取り組んではいませんが、海外のプラットフォームだけではなく国内でも一部出始めているので、僕たちのサービスでもできたらいいなと思っています。法人向けなら可能性はあると思っています。

広告という意味だと、Web3やNFTだと匿名な部分も多いじゃないですか。SNSでログインする必要のないサービスも結構出てきていますし、逆にウォレットアドレスで全部ひも付くといった世界に僕たちの界隈はなってきつつあります。そういうものをSNSとアドレスをひも付けるようなサービスも出てきてはいるので、そのアドレスを見れば、どんな買物をしてきたかとか、どんなNFT持っているかとか、資産がいくらかとかブロックチェーン上で全部追えます。それに対して、このNFTを持っている人にはこれがいい、というような広告を出すとか、こういう買い物をしているならお金ありそうだから広告出すとか、そういうこともできそうだと思っています。それをやっている会社さんが日本でも出始めているので、それはそれで面白そうですよね。

杉原:ユーザー許諾が大事ですね。

甲斐:そうですよね。でも見れちゃうんですよね。

杉原:それは、どういうことですか。

甲斐:ブロックチェーン上にあってオープンだからです。匿名といっても難しいのですが、アドレスに対して、そのアドレスがいくらお金が入っていて、どんなNTFを持っていて、どんなサイトにアクセスして、どんなサービスに許可しているか。OpenSeaに登録したら、OpenSeaとつながってるという情報だけは取得できるんですよ。そこは分かるのですが、それが誰かというのは分からないのですよね。

ただ、そのアドレスさえ分かれば、その人に広告を出すことはサービス上はできてしまいます。なので、長期的に見ると面白そうだなと思います。

杉原:話がどんどんそれますが、先日、いわゆる屋外ディスプレイ、DOOHというのですが、広告配信がGoogleからできるようになったことが広告業界的に大きなニュースになりました。

甲斐:すごいですね。

杉原:要は、Webサイトやアプリへの広告配信に加えてリアルも配信できるようになったと。なぜ、この話をしたかというと、DOOHはコンビニのディスプレイもあれば渋谷の街なかのディスプレイも、いろいろなものを総称して「DOOH」と言っているのですが、場合によっては、この3D空間もDOOHの範疇にならないかなと思ったのです。

甲斐:確かに面白そうですね。それこそ何かで事例があったのですが、ポスターの中に実際に入り込んで、ということもできるので、より立体的にはなりますよね。リターゲティング的な意味でも、サービスとしては最悪ですが、画面の真ん中にずっと出しておくこともできるじゃないですか。1回見たものを画面の右下にずっと置いておくということもできます。どこまでやるかですが、確かに可能性はありそうですね。

「NFT×メタバース」を個人でも、法人でも

杉原:現在、四つの事業をやっていて今後はどこに注力をするかなど、先々の展望はありますか。

甲斐:まず一番にNFTが使えるメタバースを推しています。今(2022年9月現在)はまだテストバージョンという形で発表しているのですが、3ヶ月前ぐらいに誰でもアクセスできる状態にはしていて、実際にNFTのクリエイターさんやプロジェクトに使ってもらってフィードバックをもらいながら修正、開発しています。先ほどいったように、自分が持っているものを展示したり、好きな人同士で話せることに強いニーズがあることは、リリースしてからも感じているところです。

この前もNFTの界隈でイベントをやったのですが、結構アクセスがあり、高い満足度でした。確実にサービスを改善すれば使ってもらえる自信がある分野なので、そこを一番伸ばしたいです。

杉原:今、ユーザーはいるのですか。

甲斐:はい。ただ、常時アクティブというよりも、単発のイベントのたびに集まるという感じです。今後はプロジェクトやクリエイターさんなど、いろいろな方に自由に空間をつくってもらって、どんどん空間の数が増えて、全部の空間に人がいる状態にならないと思いますが、少しずつの空間にいろいろな人がたくさんいるということを考えています。

それを伸ばせば、空間やアイテムの売買もできるようになります。例えば、3Dのクリエイターさんがイケている3Dの空間をつくったとします。多くの人に使ってもらいたいと思ってマーケットプレイスに出してもらえれば、買った人がその空間に自分が好きな画像を載せて、人を招待できたります。その手数料をマーケットプレイスであげたり。アバターもユーザーさんが欲しいと思ったものを買えば、それが手数料として入ったり。二つ目として、この手数料が収益源になるかなと思っていますが、ここはかなりのユーザー数がないと全然伸びない部分なので、マネタイズも少し考えつつあります。

ただ、マネタイズは結構難しいので、三つ目として法人向けにやっています。こちらは、どういうケースが刺さるのか、本当に満足してもらえるメタバースの事例というものをまだ探している段階なので、僕たちのほうでも営業したり、実際に取り組みさせていただきながらアクセルも踏めるなと思っています。それこそ新卒の説明会用にパッケージをつくってがんがん営業しても、見つけさえすればできるなと思っています。なので直近、一つ目をメインにしつつ、三つ目でも検証をしていって、いい事例が見つかれば、そこを推し出していくということをイメージしています。

杉原:僕は全然ありだと思いますね。

甲斐:ですね。今後の展望でもないのですが、この前イベントをやったら、まだテスト段階にもかかわらず累計で800人ぐらい集まって、しかもブロガーのイケダハヤトさんが来たんですよ。これまでTwitterのスペースなどで音声の配信をしてきた方とか、イケハヤさんみたいに音声と投稿ですごく人気がある方とかが実際にそこに訪れると、普段は音声を聞くだけでも僕らのZoa.spaceだったら話すこともできますし、話すのが苦手な人でもリアクションしたりポージングしたりすることで、アピールしやすいです。

僕は対面のイベントは初対面の人と話すのが苦手であまり好きではないのですが、3Dの空間だと顔が見えないのでそうでもなくて、いい感じの距離感で話せたりして結構面白かったのですね。なので、こういうイベントの事例をつくっていくのもありだと考えています。

杉原:確かにありですね。

甲斐:NFT界隈の人はスペースや音声配信に力を入れています。スペースに関しては分かりませんが、音声配信はアーリーアダプターというか、マスではない情報を知りたい層がいるのでNFTと相性がいいようです。あと、忙しい人は倍速で聞いているらしいです。Twitterスペースは倍速で聞けないですし、リアルタイムなのでなんとも言えないのですが、音声とこの業界の相性はいいのかもしれないなと思いました。

杉原:面白いですね。Twitterスペースだと何時ぐらいが人が集まりやすいですか。

甲斐:今のところはまだそこまでアクセスがなくて、僕たちのサービスでちゃんとしたデータは取れていないのですが、おそらく夜8時以降でしょうか。会社員の方も多いので、Twitterスペースは基本的にはお昼休み12時からの時間帯や、夜は8時以降や終業後が多い印象です。

杉原:なるほど、そうなんですね。他に語り足りていないことはありますか。

甲斐:そうですね。あとは最近、国内の企業の進出も増えています。例えば、リアルイベントに行ったらその証としてNFTがもらえるというのも、NFTのイベントとかだと多いのですよ。LINEも、LINEのNFTをやっているのですが、QRコードを読み込んだらLINEのNFTがもらえて、それが参加証明になるというのを実際に開発しています。ベンチャーでは実際につくっていたり、国内のサービスでも現金でNFTで買えるようにしたり。これまではわりと仮想通貨界隈の人だけだったのですが、もう少しマスに使ってもらえるようなサービスが最近多いという印象はあります。

杉原:Unyoo.jpは広告マーケティング業界のいろいろな方に見ていただいているメディアなので、もちろんメタバースやNFTがこうやって盛り上がりつつある中、そのトレンドを知るのも大事だと思って今回お声がけさせていただきました。

甲斐:ありがとうございます。僕たちのサービスは、メタバースだけ取ってもクオリティは高いと思っていますし、他社と比べて、そこまで高くもありません。ちゃんとした値段でちゃんとしたサービスを提供していると思っているのですが、メタバースとNFTを一緒にやっている会社はそこまで多くないのですよ。どちらもちゃんとつくれて、どちらも組み合わせた事業が実験できるというのは結構まれだと自負しています

杉原:大事ですね。でもセットではないのですよね。

甲斐:全然セットではありません。ネットだと混合して書かれている記事もあるのですが、結局、僕たちが企業さんと話していて思うのは、NFTはまだユーザーさんが買いにくかったり、MetaMaskがないといけないと言われてしまうと、一般の方からするとハードルがすごく高いものに思われています。一方、メタバース空間は、僕らのサービスだとなおさらですが、URLから入って楽しむことはすでにできるので、ユーザーに対してのハードルの高さは全然違うのですよ。だったらまずはメタバースをやりたいです、という企業さんが多いです。

杉原:面白いですね。

甲斐:なので、おそらくNFTを今ちゃんとやる会社さんは、半年前や1年前ぐらい前だったら単に出すだけで記事になったり、売買されたりとかがありましたが、今だと単なる画像をNFTにしたところで売れません。ちゃんとした活用方法というか、NFTにした意味があると業界の人も思えるような事例をつくらないとおそらく評価されないし、売れないので。そうなると、お金やイベント、企画に対しての工数が大変だなというところもあると思います。

杉原:なるほど。本日はありがとうございました。

甲斐:はい。ありがとうございました。

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