【対談】Criteoに聞く:リテールメディアプラットフォームの始まりとこれから

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ポストクッキー時代、サードパーティクッキーの活用が規制されることにより、デジタルマーケティング領域では、CMP(同意管理プラットフォーム)、共通ID(データプライバシー規制に違反せず、オーディエンスのデジタルIDを識別できる手法)コンテキストターゲティング(Webサイトのキーワードやテキストの内容・画像などをAIが自動で解析し「ページの文脈=コンテキスト」に沿った内容の広告を表示する施策)など新たな対応を求められています。

また、クッキーに頼らないアドレサビリティが重要になってくるこれからの時代に向け、小売業者およびブランドのマネタイゼーションをより一層支援するものとして、米国をはじめとする英語圏ではリテールメディア(AmazonやWalmartなどの小売業者のECサイトやアプリに掲載される広告のこと)が大きな注目を集めています。

ダイナミックリターゲティング広告のプラットフォーマーとして著名なCriteoは、現在リテールメディアをリードする立場にあり、世界で100社以上の小売業がCriteoのリテールメディアプラットフォームを活用し収益を得ており、ポストクッキー時代には日本でもリテールメディアが活況になることが予測されています。

今回は、Criteo Japanでリテールメディアプラットフォームの普及に努める藤中太郎さんと神武秀一郎さんにお話を伺いました。

 

話し手:
CRITEO株式会社
APACリテールメディア担当マネージングディレクター
藤中太郎さん

CRITEO株式会社
リテールメディア 事業開発部長
神武秀一郎さん

聞き手:
アタラ合同会社
CEO 杉原剛

 

目次

・リテールメディアプラットフォームの基本的な考え
・上位ファネルから下位ファネルまで
・リテールメディアで得られるもの
・導入企業に求められるものとは



■リテールメディアプラットフォームの基本的な考え

杉原:まず、神武さんの自己紹介をお願いします。

神武:日本のレベニューの責任者で、リテールメディアビジネスのディレクターをしています。2022年1月からCriteoのメンバーになりました。

ITの世界に入ったのは30歳頃で、2014年に日本オラクルにジョインしました。そこではコンサルティングセールスとして金融のお客さま、銀行や証券、保険向けのコンサルティングサービスを提供していました。そのうちSaaSの業界に非常に興味を持ち、Box社でパートナー営業、IHS マークイットで製造業向けソリューションの事業開発責任者を務めました。

2020年初頭には、AI向けのデータアノテーションを提供しているAppenというグローバル企業の日本支社の立ち上げにあたり、カントリーマネジャーとしてジョインしました。その後、ご縁があって藤中さんにお会いしたのですが、リテールメディアの世界がとても魅力的で、これから業界のDXに本格的に携わることで日本を変えることができれば藤中さんの下で働きたいなと思い、Criteoに入りました。

 

藤中:私は、オーバーチュアの検索連動型広告事業(現Yahoo! JAPAN)に7年携わった後、Integral Ad Scienceの日本カントリーマネージャーを6年間務めました。

サードパーティクッキー廃止に伴い、Criteoはコアビジネスであったリターゲティングから事業をピボットしている最中です。リテールメディアはその観点からも独立した事業として立ち上がりました。
そして、何と言っても事業の成長スピードがとても早い。それも専任チームにした一因です。

非常に面白いステージですが、縁あってCriteoに参画し、今回お話しするリテールメディア事業を日本を含むアジアパシフィック地域を統括しています。

 

杉原:ありがとうございます。では、Criteo リテールメディアの概要について、ご説明いただけますか。Unyoo.jpの読者はリテールメディアにまだ馴染みのない方が多いと思うので、分かりやすく簡単にご説明いただけるとありがたいです。

神武:元々はHookLogicという会社がCriteoリテールメディアプラットフォームの母体で、黎明期からリテールメディア領域のリーダーとして10年近くリードしてきた実績があります。
現在すでに世界で100社以上の小売企業さまがCriteoのリテールメディアプラットフォームを利用しており、およそ700億円以上のメディア収益を得ています。

 

 

一方、リテールメディアを通じて各小売業さまのサイトに出稿しているブランド企業さまはおよそ1500社以上あり、それらを支援している広告代理店さまがだいたい175社以上あります。リテールメディアを通じて広告主にもたらしたECでの商品売り上げは、総額3900億円以上にのぼります。

 

 

藤中:補足しますと、700億円はリテールメディア上での広告費。3900億円は広告利用の結果、実現できた流通総額です。つまり、ROAS500%以上ということになります。そうやって見ると、パフォーマンスのいい、とても面白い仕組みだなと思います。

 

杉原:確かに。そもそも目的は広告収入を得るだけはなく「広告主=メーカー」にいかにビジネスを伸ばしてもらうか、ですからね。リテールメディアについて専任チームをもっているとのことでしたが、どのようなメンバー構成になっているのですか。

神武:われわれのリテールメディアのチームは、リターゲティング広告などのソリューションを提供しているチームとはまた別の組織体でビジネスを推進しています。全世界で400名以上のチームで編成されており、130人以上のエンジニアがいます。グローバルではもうすでにリテールメディアを導入している国が20カ国以上あり、約10カ国でチームを展開しています。

 

先にも申し上げました通り、弊社はリテールメディアに関する経験を10年以上積み重ねているので、技術的な課題のソリューションや個々のお客さまの持っている個別の課題などのユースケースを多量に持っています。そのためリテールメディアの経験値としては、他の会社の追随を許さないレベルでさまざまなナレッジを蓄積しています。

藤中がアジア全体のリーダーで、私は日本のセールスのディレクターになります。それ以外のメンバーは、リテールメディアを導入した後のデリバリーから運用の部分をサポートするアカウントストラテジストと分析担当がお客さまのキャンペーンの状況や広告の運用状況を含めて管理しています。

 

また、日本語と英語を話すバイリンガルなスタッフがおり、プリセールスのような立ち位置で、私と一緒にお客さまに技術提案をしています。ほかにもサポートのメンバーがいます。今後はブランド企業を担当するセールス、アカウントストラテジスト、キャンペーンマネージャー、テクニカルサポートなどを採用していくロードマップを考えています。

 

藤中:Criteoとしても、リテールメディアは拡大していく事業なので、人材にも投資をしています。
私がCriteoでこの事業を日本で開始した際は、アジアでは3名だったのが、短期間で数倍に増えました。今年はさらに倍増させることを見込んでいます。

 

杉原:では、リテールメディアのプラットフォーム自体について伺えますか。

神武:ECサイトをメディア化して、そこにブランド企業が出稿するモデルにしていくというのがリテールメディアプラットフォームの基本的な考え方です。小売業者さんにとっては、ECサイトで商品を売って得る売り上げ以外に広告収入をブランド企業を通じて得ることができますし、ブランド企業は自社の製品を求めている人にさらにエンゲージできる、というのがリテールメディアのプラットフォームの概要です。

 

海外での実績を挙げると、欧米ではトップ25の小売企業のうち50%に導入いただいており、コストコ、ベスト・バイ、メイシーズ、またカナダではウォルマート、イギリスやフランスの大手小売業、カルフールなど、日本でもなじみのあるような会社さまも導入しています。

 

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Criteoの売り上げも毎年1.5倍、1.6倍といったようなペースでどんどん成長していて、今ではアジア各国、そして日本でも徐々に認知度が上がってきていて、導入も進んできています。

 

藤中:米国とヨーロッパは引き続き伸びていますね。新型コロナウイルス感染症のパンデミックをきっかけに小売業者のECの展開が早まりました。5年の事業成長が1年で実現できたような感覚です。
必然的に実店舗に出向く人が少なくなったわけです。ブランド企業がそれまで重視していたトレードマーケティング(小売業の店頭を基点として行うマーケティング)やブランドマーケティングの予算をデジタルに寄せたというのも背景にあります。

 

神武:このリテールメディアのプラットフォームがユーザーの形態、ECの形態に応じてさまざまなサービスを提供しています。その一つが、昨年Mabayaという会社を買収して提供を開始しはじめた、マーケットプレース向けのソリューションです。

わかりやすく言うと、日本でも大手マーケットプレイスさんでは自社のショッピングサイトの提供以外に大手家電量販店が入って、店舗を店子さんのような形で展開するケースがありますよね。
われわれはセラーという言い方をしていますが、そういったマーケットプレースの中のセラーの方々向けに、広告を出稿して収益を得られるような仕組みを提供できるようになりました。ドイツのスーパーマーケットチェーンであるカウフランドが導入しています。

 

また、Criteoの強味であるブランド企業とのコネクションを活用して、いろいろな会社さまからの出稿を期待したいECサイトの場合、CriteoのDSPを使っていただいて、そこを通じて大手のブランド企業や代理店さんが出稿できるようにします。

ほかにもデマンドサイドであるブランド企業の出稿の数を増やしたい場合は、API Partnersというものも用意しています。

 

杉原:なるほど、面白いですね。ブランドや広告代理店が必要とするさまざまなケースに対応するソリューションを用意しているわけですね。

 

■上位ファネルから下位ファネルまで

神武:次に、リテールメディアが実際にカバーしているカスタマージャーニーマップのうち、どのような領域でソリューションを提供しているのかをお話しします。

Criteoのリテールメディアプラットフォームは、マーケティングファネル上の上位ファネルから下位ファネルまでそれぞれをカバーしています。
オーディエンスエクステンション、コマースディスプレイ、スポンサード広告をそれぞれファネルごとのユーザーにリーチするため、それぞれの目的に応じた広告フォーマットを提供しています。

 

下位ファネルから説明すると、Amazonを利用されている人はご覧になったことがあると思いますが、スポンサード広告というのはいわゆる検索結果に紛れて出てくるネイティブな広告で、検索結果で特に好みに近いものを広告として出すイメージです。
こちらは単純に買い物にいらしたお客さまがECサイトで検索したり閲覧しているとCriteoのアルゴリズムが動いて、検索結果やユーザーのサイト内での振る舞いに応じて最もマッチした商品をリコメンドします。
こちらは広告ではあるのですが、クリックした後にそのまま商品詳細ページに飛び、商品をカートに入れて購入ができます。

 

藤中:私はこれまで検索連動型広告に携わってきたので検索の強力さは理解しているつもりですが、POS(Point of Sales)の近くに検索があるというこのコンビネーションは非常に強力です。

 

杉原:それは確かにいいポイントですね。

藤中:もう一つは、アトリビューションの部分のデータが非常にきれいな形で取れるのが優れた点です。ブランドがROASを見ながら最適化をするための材料が、信頼性の高い形で提供されます。

杉原:分かります。

 

神武:続いてコマースディスプレイは、ECサイトの中に動的な広告を入れて、各ブランド企業の自社のイメージをより具体的に表現できるようにするものです。
このコマースディスプレイを通じて、インパクトやストーリー性を商品購入の検討段階にあるターゲット層に伝えることによって、その人たちがさらにその商品を欲しいと思ったり買いやすくできるようにします。

 

買い物にいらっしゃったお客さまが広告をクリックするとそのまま商品詳細ページに飛べるのですが、この広告もむやみやたらに出るのではなく、広告主の設定に基づいてユーザーに応じて配信することで購入に誘導していきます。

広告フォーマットはいろいろあり、ショーケース型やバタフライ型、あとはフラッグシップ型といった形で、広告主さんや小売業者さんの要求に応じてターゲット層にディスプレイを表示できます。

 

■リテールメディアで得られるもの

杉原:他のメディアではなく、Criteoリテールメディアを使うことによって得られるメリットには、どういうものがありますか。

神武:リテールメディアで得られるものは、まず一つ目が透明性です。
今、藤中が何回かお話しさせていただいた販売実績のレポートや、ROASはどの程度だったのか、クリックするレートはどの程度だったのか、といったところを細かくレポーティングできるような機能があります。そういったものを出力して、どこに収益源があるのかを探すことが可能になります。

二つ目は柔軟性です。こちらも小売業者さんなどの要望に応じて課金モデルや広告フォーマットを選べるなど、柔軟性に富んだ機能をたくさん用意しています。

 

いずれにしても管理画面のUI(ユーザーインターフェース)がシンプルで大変分かりやすいのが特徴です。全ての製品やキャンペーンを一括で確認して管理することができる管理画面を持っています。

それぞれ小売業者さまとブランド企業で提供するUIが違うのですが、小売業者さんはサプライサイドとデマンドサイドの両方のUIを使うことができます。
サプライサイドではいわゆる分析や広告在庫のマネジメント、あとは広告配信も管理できるようになっています。
一方デマンドサイドでは、キャンペーンを作成、管理したり、コマースディスプレイ用のクリエイティブを準備したり、オーディエンスのターゲティングをしたり、それらを分析したりといったことができます。

 

画面としては、左側が小売業者向けのサプライサイド側のアカウントです。この中でどの程度レベニューが上がっているのか、クリック数はどの程度なのかなどを可視化できるようになっています。
一方右側のデマンドサイド側はブランド企業の各キャンペーンの状況、クリック率などを日次単位で見ることができるようになっています。この中で広告を出すための予算管理や実際の実績のレポートまで全て出力できます。

 

藤中:高度なことを実践している小売業者は、レポーティングAPIを使っています。自社DMPとAPI接続して、オフラインの売上、ポイントカードのデータ、CRMデータなどを一元的に集約することで、全体像が見えるようになります。
イギリスのスーパーはそのようにしていて、オンライン・オフライン、両方の効果も分かりますし、データをセグメント化し、キャンペーンに生かすこともできています。アトリビューション分析もできます。やろうと思えばいろいろできるオープンなプラットフォームです。

 

杉原:Criteoさんはもともとオープンなプラットフォームであることにはこだわっていますよね。そのReporting APIを使った統合データ環境は、今イギリスのお客さまの例をお話しいただきましたが、大手企業でも取り組み始めているのですか。

藤中:そうですね。高度なことをやろうとする意識は高いですね。
オンラインの効果がオフラインでどれだけ効果があったかを見たいという話は多いです。
オムニチャネルを実施している会社は多いので、ポイントカードのIDを使って両方を統合して評価できます。
広告主にとってもオン・オフの全体像が把握できるようになるのはやはり大きいですね。

 

杉原:面白いですね。このリテールメディアプラットフォームを使うこと自体が、小売業者さんにとってはもうデジタルトランスフォーメーションだと僕は思います。
既存の事業と取り組みは違えど、データを統合することで対比して見られるというのは、とても新しくて面白いと思います。

藤中:おそらく将来的にはECサイトのどこにいるかで広告も出し分けたり、デジタルサイネージも同じように、どこにいるかで広告を出し分けたり。興味深い世界が待っていると思います。

 

神武:最後に導入事例としてau コマース&ライフ(au CL)さまの事例を紹介します。
リテールメディアを成功させるためには、ファーストパーティ・データの分析と活用だけでなく、成果の可視化が重要となります。そのためファーストパーティ・データや高度なAIエンジンの活用、より透明性のあるレポーティング機能を備えたソリューションを提供できるテクノロジー企業と提携することを検討されていました。

その点においてグローバルにリテールメディアの実績があるCriteoに魅力を感じていただきました。
また、従来よりリテールメディアに注力してきた『au PAY マーケット』では、リテールメディアの成果をしっかりと分析するために、キャンペーンのレポーティングに改善の余地があると考えられていました。

『Criteoリテールメディア』を導入したことにより、全てのコンバージョンをリスト化し、広告として表示されたSKU(Stock Keeping Unit/最小管理単位)、即時購入されたSKU、広告表示から購入までの経過時間などの記録も含めたより詳細なレポート分析が可能となりました

 

 

■導入企業に求められるものとは

杉原:個人的に非常に興味があるのは、これをやりたいというお客さまは大変多いと思うのですが、au PAY マーケットさんのように感度が高くてある程度この領域への理解度が高い企業ばかりとは限らないですよね。うまく進めるにあたって、お客さま側に求められることは何だと思いますか。

神武:一つ目はトラフィックですね。
おっしゃるとおり、すでにリテールメディアに即時対応可能な企業さまと、リテールメディアへの即時対応が難しい企業さまがあります。
即時対応可能な企業さまはコロナ以前から安定したサイトトラフィックが集まっている企業さまです。その場合は導入したらすぐに効果を発揮できる可能性が高いです。

 

一方、コロナ禍でECサイトの利用者が増えてきたので最近急いで立ち上げ始めたという企業さまは、トラフィックが十分に集まっていなかったり、ECサイトがそもそも古過ぎてその刷新から進める必要がある状況であったりすることが多々あります。
同時進行で進められればよいのですが「先にECサイトをまずなんとかしないと」と考えているお客さまがかなり多いです。トラフィックが集められないと、どうにも対応しようがないので。

 

また、日本の企業さまでよくある例として、他社の事例をすごく気にされていて「他はどこの会社が入れましたか?」「そんなおいしい話あるのですか?」と、おっしゃるケースが多いです。

一方、アーリーアダプターのお客さまは感度良くわれわれの話を聞いてくださり、導入に向けて具体的な検討もしてくださいます。

われわれの戦略として、まずはそういったところからしっかりお客さまとのエンゲージメントをつくった上で、裾野を広げていければ、と考えています。

 

杉原:もともとECにあまり取り組んでおらず、コロナ禍になって本格化しているところに関しては、まずトラフィックを集めないと広告事業にならないということですね。

藤中:単体ではそうかもしれないですね。ですが、ネット黎明期の頃のアドネットワークみたいに、大きなリテールメディアを構築しているところに参加すれば、広告主は一箇所でキャンペーンを作ることができます。そういうことをやっていきたいですね。

 

杉原:先日、御社のクライアントでもある米国のTargetがどこかの四半期決算発表の中で同じことを言っていました。広告事業が小売業の利益改善をけん引してるというコメントを残してるようなので、リテールメディアはそうやって本事業である小売の補完をすることができるのだなと思いました。

藤中:ブランド広告主もポストクッキー時代を見据えて、どうやってオーディエンスにリーチすればよいのか、投下する広告費に対して最も効果を出すにはどうすればよいのか、と手探りの状況です。
リテールメディアのような選択肢を用意することで、ブランドも小売業者もWin-Winになれるのがよいところだと思います。

神武:お客さま側に求められることの二つ目は、リテールメディアという考え方や概念を知っていただくことです。
一部のアーリアダプターを除いて、そもそもリテールメディアという考え方や概念自体がまだ浸透していません。多くの日本の企業にとって、ECサイトをメディア化するという考え方自体がまだなじみがないのです。

 

通販や店舗での売り上げを軸に据えている企業さんはそこに気付くのがとても難しいですし、ECに突貫で切り替えたところでリテールメディアの考え方がないと薄利多売を続けることになってしまうというのが非常に大きな問題だと思っています。やはりこの概念を浸透させていくことが目下の課題です。

 

杉原:トラフィックという意識について、先ほど藤中さんも触れていましたが、そもそものファースト・パーティー・データがちゃんと機能しているかどうかは問題になりますか。

神武:はい。当然データ管理もそうですし、顧客管理も含めてそのデータをどうマネジメントしていくかも課題になってくると思います。

その中で、サイロ化された古いシステム群や、オンプレミスのシステムに依存している大きい企業さんもまだあると思います。古いシステムをまだ使っているECの小売業者さんは大変多いので、データ管理方法を刷新したり、なおかつそれらのデータを管理、分析してどう生かしていくかまで考えることができるデータサイエンティストを活用したり、といったようなことが必要かと考えられます。

もちろん、予算の問題もあると思いますが。ただ、ここ数年企業にはデータドリブンなマーケティングが必要といわれている中で、小売業者さんは改善の余地があるのではないかと思います。

 

藤中:クイックにやろうと思えば、そういったこともCriteoに任せていただくこともできます。小売業者さん専用のワンタグを導入し、データを保全しながらアドバイザリー的に動くこともできます。

 

杉原:広告事業だけに閉じた話ではなく、全社的に取り組むビジネスですよね。

神武:これもまさにデジタルトランスフォーメーションですよね。

杉原:そうですね。ビジネスモデルを変革しないといけないというのがそもそもの本質的なDXなので、まさにそうだと思います。

 

藤中:もう一点加えておきたいのが、小売業者さんはこれまではメーカーのトレードマーケティング(小売業の店頭起点で行うマーケティング)予算へのアクセスはありました。
リテールメディアのような仕組みを提示することで、マーケティング予算にもアクセスできるようになります。ほとんどのケースにおいて、それは小売業者にとっては新規の予算になります。それは大きいと思います。

 

杉原:最後に伺いたいのは、トラフィックがあって優良なファースト・パーティー・データも大量にそろっていて、Criteoに非常に優良なDSP、SSPソリューションもあるという下支えが十分な状態だとしても、広告事業をリテール、小売業者さんがやるというのは今までやったことのない新しい取り組みになると思います。

Criteoさんの仕組みが非常に優秀だというのは分かりますが、バイサイドもセルサイドも、両サイドとも広告主さんが広告主をリクルーティングするという形ですよね。リクルーティングしていくのは、ユーザーであるターゲットさんのような小売業者さんや、ユーザー企業さんの中でリクルーティングしていただくものという認識で正しいでしょうか。

お客さま、ユーザー企業さん側にどれほどの人的リソースが必要なのかというところに興味があります。あとは、なかなか全てをそろえることは難しいと思うので、Criteoさんもマネージドサービスという形で提供しているものはあるのでしょうか。

 

 

藤中:はい、マネージドサービスでオペレーション部分のサポートも提供しています。あと、これまではサプライサイドの支援に重点を置いてきましたが、デマンドサイドの支援体制も整い始めています。
世界中のエージェンシーパートナーがCriteo リテールメディアプラットフォームの取り扱いを始めているので、広告主の獲得についても支援ができるようになってきています。

 

杉原:Criteoさんで提供できるサポートもあるし、Criteo リテールメディアをすでに取り扱い慣れている広告代理店さんが広告主の獲得をしていくこともできるし、ダイレクトで売ることもできるし、いろいろな手法があるのですね。

藤中:au Pay マーケットさんの事例は紹介しましたが、次の事例も控えています。ある程度サプライができたら代理店さんとともにデマンド側にも注力していこうと考えています。

神武:小売業者さん側にあまりリソースがなくてCriteoにお願いしますというパターンと、小売業者さん側でかじを切って自分たちでやりたいというパターン、どちらもあります。

日本の場合だと、Criteoにお任せしますというケースのほうが多いです。
立ち上げをわれわれが代行するというサービスも提供しています。なので、お客さまの要望に応じて柔軟に対応することが可能です。

 

杉原:分かりやすいですね。最後に何か加えたいことはありますか。

藤中:早くリテールメディアのメリットに気づかれる企業が増えればいいと思います。
取り組むために必要なパーツはそろっていますし、先ほども話したようにWin-Winを実現できるモデルです。時間は少しかかるかもしれませんが、業界に対する啓発はしていきたいと思います。

 

杉原:ありがとうございます。Unyoo.jpはリテールメディアの動向をかなり追っているほうだと思うので、今後も取り上げていこうと思っています。またぜひよろしくお願いいたします。

藤中:ぜひよろしくお願いいたします。

神武:ありがとうございました。

杉原:本日はありがとうございました。

 
 


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