【コラム】BIツールでダッシュボードを構築する正しい手順とは

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ダッシュボードは、正しい手順を踏まないで構築すると、使用されない価値のないものになる可能性があります。本コラムではそれを防ぐためのダッシュボードを構築する正しい手順について説明したいと思います。



目次

・ダッシュボードを構築する正しい手順とは
・手順1:利用者の確認
・手順2:利用者のゴール(KGI)を確認
・手順3:ゴール(KGI)に対する先行指標(KPI)を確認
・手順4:先行指標(KPI)に対するアクションプラン・指標を確認
・手順5:ビジュアライゼーション、デザインの作成
・手順6:課題点を改善・修正






ダッシュボードを構築する正しい手順とは

ダッシュボードを構築する際には大まかに以下の手順で進めなければいけません。


  1. 利用者の確認
  2. 利用者のゴール(KGI)を確認
  3. ゴール(KGI)に対する先行指標(KPI)を確認
  4. 先行指標(KPI)に対するアクションプラン・指標を確認
  5. ビジュアライゼーション、デザインの作成
  6. 課題点を改善・修正


最初に、作成するダッシュボードの利用者を確認します。その後は利用者のゴール(KGI)、ゴール(KGI)に対する先行指標(KPI)、先行指標(KPI)に対するアクションプラン・指標を確認してダッシュボードのビジュアライゼーション、デザインを実施します。そして最後に構築したダッシュボードをユーザーに利用してもらい、課題点を修正するというサイクルを繰り返します。


この上記の手順が1つでも欠けていたり曖昧になっていたりするダッシュボードは、利用されず価値のないものになるでしょう。




手順1:利用者の確認

ダッシュボードの第1ステップは「利用者の確認」です。なぜなら、利用者によってKGI、KPIは変わるはずです。利用者がわからなければKGI、KPIはわからないので、まずは利用者を明確にしましょう。


この時の注意点としては「特定の利用者」を対象にすることです。幅広いユーザーを満足させようとした結果、対象となるユーザーにとって不要なデータが多く存在し、結果的に見ずらくぼんやりとしたダッシュボードになり使用されなくなります。ターゲットとなる利用者は広くても、狭くてもいけません。部門や役職ごとにKPIは違うはずなので、きちんと精査しましょう。


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また、その利用者がどのような状況で利用するのか把握したほうがよいでしょう。例えば、BIツールによってはモバイルアプリをリリースしている会社もあります。その場合、PCとモバイルアプリでは見え方も違ってくるので、ビジュアライズもそれによって考慮する必要があるためです。ほかにも、外部者と数値を共有する方法としてBIツールを利用する際は、外部者のBIツールの利用状況を確認しておいたほうがよいでしょう。外部者がBIに表示されている指標やグラフの意味がわからない場合、テキストなどで補足説明が必要となることもあります。




手順2:利用者のゴール(KGI)を確認

利用者を明確に定めた次はゴール(KGI)の確認です。KGIはダッシュボード全体のなかで最も重要かつ、強調されるべき数字です。BIツールの導入目的として作業効率化などがありますが、一番の目的は「KPIマネジメント」の円滑化になると思います。


KPIマネジメントとは「事業成功」の「鍵」を「数値目標」とし、PDCAサイクルを回して改善することになります。そのため、PDCAサイクルを回して設定したKPIを改善した結果、それに比例してKGIも改善されなければいけません。改善されなければ設定したKPIは間違っているということになりますので、ダッシュボード構築においてKGIを確認しない、ビジュアライズしないという選択肢はありません。絶対に確認しましょう!





手順3:ゴール(KGI)に対する先行指標(KPI)を確認

利用者のKGIを確認した後は、そのKGIに関連するKPIを確認します。KPIは「現実的、明確で定量的な数値であり、達成の期限ごとに効果測定ができ、その達成が目標の達成にむすびついているもの」でなければなりません。そのため、KPIを確認する際は以下を意識するとよいでしょう。


  • Specific:明確性
  • Measurable:定量性
  • Achievable:達成可能
  • Relevant:関連性
  • Time-bound:期限


Specific(明確性)なKPI

Specific(明確性)なKPIとは、「シンプルかつ、全員が理解できる数値」、「多く目標設定しない」ことが重要です。抽象的な目標や難しいロジックで算出される数字、多くの目標設定は現場の混乱を生みますのでご注意ください。


Measurable(定量性)なKPI

Measurable(定量性)なKPIとは、「定量的である」、「データを入手するのに時間がかからない」ことが重要です。KPIはKGIの途中経過を評価するための指標です。そのため、定量的でなければ評価することは難しく、また、データ取得に時間がかかってしまうと、評価にも時間を要してしまいます。


Achievable(達成可能)なKPI

Achievable(達成可能)なKPIとは、「現実的に達成可能な目標を設定」することが重要です。私は運用型広告のコンサルタントとして、トップダウンで広告予算も増額されずに目標数値のみを引き上げられた結果、現場の方が混乱し、モチベーションが低下しているケースを目にします。そのため、現実的な目標を設定しましょう。


Relevant(関連性)なKPI

Relevant(関連性)なKPIとは、「KGIに関連する指標」、「コントロール可能な指標」であることが重要です。前述で説明した通り、KPIを改善した結果、それに比例してKGIも改善される必要があるので、当然KGIに関連する指標である必要があります。また、KPIは外的要因の影響を受けにくい、自身でコントロール可能な指標である必要があります。外的要因に大きく影響を受ける指標をKPIに設定した場合、KPIの改善施策を実施してもKPIが改善されず、改善施策を正しく評価ができない可能性があります。そのため、外的要因の影響が少ない、自身でコントロール可能な指標を設定してください。


Time-bound(期限)なKPI

Time-bound(期限)なKPIとは、「達成期限」が設定されている必要があります。KGIには必ず達成期限が設定されていますので、KPIにも達成期限を設定してください。




手順4:先行指標(KPI)に対するアクションプラン・指標を確認

今まで多くのダッシュボードを見てきましたが、KGI・KPIは可視化されていてもKPIに対するアクションプラン・指標は可視化されていないケースがあります。そのような場合、そのダッシュボードは「KPIマネジメント」のためではなく、「たくさんの数値を管理すること」や「事業を数値でみること」を目的とした「Indicatorマネジメント」の管理になる可能性があります。


ダッシュボードの価値の1つとしてレポート業務の効率化もありますが、一番の価値はPDCAサイクルのテンポを上げて改善を促すことにあると思います。そのためには、KGI、KPIを可視化するのは当然として、KPIに対するアクションプラン・指標を明確化し、利用者の行動プロセスをダッシュボードに組み込む必要があります。そうすることで、主要KPIが変化した際にネクストアクションを促すことができるダッシュボードを構築できます。


行動プロセスの設計には実際に使う人を巻き込む

KPIに対するアクションプラン・指標が明確化されておらず、利用者の行動プロセスがダッシュボードに組み込まれていない原因の1つに、ダッシュボード構築者が利用者の実務を正確に理解していない場合が多くあります。通常、ダッシュボード構築の担当者は実際の利用者ではなく、データに精通しているデータアナリストやデータサイエンティストであると思います。彼らは利用者からヒアリングして、KGIとKPIは理解していても、アクションプラン・指標や利用者の行動プロセスは正確に理解できていないケースがあります。


ネクストアクションを促すダッシュボードを構築するには、実際の業務にあたっている人の協力が不可欠です。私がダッシュボードコンサルティングをする際は、実際の業務にあたっている人に目標から因数分解したロジックツリーの作成と、KPI、KPIに対するアクションを明記してもらい議論します。そうすることで、利用者がどの指標を見て、どんな行動をしているのか明確になってきます。




手順5:ビジュアライゼーション、デザインの作成

この段階では利用者のKGIとそこから因数分解したロジックツリー、KPI、KPIに対するアクションプラン・指標が明確になっているので、それをダッシュボードでビジュアライズします。ただ、ダッシュボードのビジュアライゼーション、デザインにも正しい方法というものがあります。


ダッシュボードを構築するうえで、ビジュアライゼーションとデザインも非常に重要な要素です。適切なビジュアライゼーション、デザインをすることでデータがより鮮明に見えて、同時に課題点も見えてきます。そして、なぜ課題が発生しているのか、より深い原因究明ができるようになります。


また、データはデータサイエンティストやアナリストなどのデータに精通した人だけが見るものではありません。会社や組織でデータドリブンな意思決定を行う際は、データに精通していない人にもデータが示す事象を理解できる必要があります。そのような場合には、ストーリーテリングなビジュアライゼーション、デザインは有効な手段になります。


以下の記事に、ストーリーテリングなビジュアライゼーション、デザインに関するルールやTipsが記載されているのでご確認ください。


※参考リンク

ビジネス最適化ソリューション「Domo」を提供する、Domo社が主催するカンファレンス「Domopalooza 2019」が、現地時間の3月19~22日の4日間にわたり、アメリカのユタ州...

前編である「【コラム】データストーリーテリングなダッシュボードを構築するポイント ~ビジュアライズ編~:Domopalooza 2019」では、ビジュアライズに特化した内容を...

ビジネス最適化ソリューション「Domo」を提供する、Domo社が主催するカンファレンス「Domopalooza 2020」が、3月18日にオンデマンドで開催されました。様々なセッション...




手順6:課題点を改善・修正

手順1~5が完了したら現場のユーザーに利用してもらい、そこから課題点を洗い出して修正するというサイクルを繰り返してリリースします。


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また、中長期的にはKPIやKPIに対するアクションプラン・指標が変化するので、その都度、手順1~6のサイクルを繰り返してダッシュボードをブラッシュアップします。そうすることで、継続的にビジネスの重要なスコープに合わせた調整がされ、ユーザーに利用される価値のあるダッシュボードを構築できます。




ダッシュボード構築の話になるとデータの収集・整形やビジュアライゼーション・デザインの話になりがちですが、ただ見やすいだけのダッシュボードというのはあまりビジネス価値が生まれず使用されなくなる可能性があります。


私はダッシュボードにおける一番の価値はPDCAサイクルのテンポを上げて改善を促すことにあると思います。それにはKPI・PDCAの実行サイクルを設計、明確化していくことが必要不可欠です。そのため、ダッシュボード構築をする際はデータアナリストやデータサイエンティストの方のみが手を動かすのではなく、しっかりとビジネスユーザー(利用者)の協力を得て構築してください。また、データアナリストやデータサイエンティストの方もデータの知識だけではなく、ビジネスのことも理解するとよりスムーズにダッシュボード構築が進むと思います。

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