【イベントレポート】2020/6/26開催 Unyoo.jp Online道場 Vol.4 「コロナから学んだ、広告運用者の価値を考える」

去る6月26日、Unyoo.jpが主催するウェビナー「Online道場」の第4回目が開催されました。今回のテーマは「コロナから学んだ、広告運用者の価値を考える」。ゲストに株式会社オーリーズ様をお迎えし、新型コロナウィルス感染症の蔓延・拡大をきっかけとした不確実性に富んだ状況下において、広告運用者が提供できる価値とは何か、どのようなスキルが求められていくのかについてともに考えていきました。


本記事では同イベントの様子を、当日使用したスライドなどを交えながらレポートします。ウェビナーにご参加いただいた方は復習に利用していただき、当日ご参加いただけなかった方はぜひ本記事を参考にしてください。

目次

・コロナによるマクロ視点での変化
・コロナによる売上へのインパクトは?
・アフターコロナで広告運用者が提供できる価値
・日ごろから意識してやっておきたいことは?





登壇者の紹介

・アタラ合同会社 マネージャー/コンサルタント
高瀬優(スピーカー&ファシリテーター)


・アタラ合同会社 チーフコンサルタント
浅田梨沙(パネリスト)


・株式会社オーリーズ 取締役副社長
足立誠愛さん(スピーカー&パネリスト)


・株式会社オーリーズ アドオペレーションズ・ストラテジスト
川島崇志さん(パネリスト)



コロナによるマクロ視点での変化



第1セッションはアタラ合同会社の高瀬から新型コロナウィルス感染症による広告予算、購買行動、メディア接触の3つの視点での変化についての解説が展開されました。


高瀬はまず、変化として景気後退(Recession)を挙げています。東洋経済オンラインの記事を引用しながら、4~6月期の日本のGDPは前期比マイナス21.3%という事実が紹介されました。また、世界100か国以上で事業を展開する広告代理店ピュブリシスグループのアドバイザーであるリシャド氏によれば、コロナによる危機的状況は「アメリカ同時多発テロとリーマンショックを足して2倍したようなもの」と例えられているとのことです。このことから、GDPという指標から実際に景気後退が起こっており、広告業界もその影響を受けていることは明らかでしょう。


※参考リンク

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メディア企業の幹部らは、事態が収束するまでどれくらいかかるのかをなんとしても見極めたいと考えている。そこで筆者は、過去の不況の経験から現在の(新型コロナウイ...



当然、景気後退が進めば、影響を受けた広告主はコスト削減を図ります。IABが3月に公開した調査レポートによれば、3~6月の広告予算を「変更した」もしくは「すべての広告を停止した」と答えた回答者は38%に上り、デジタルとトラディショナルメディア(テレビ、ラジオ、雑誌等)でみると、トラディショナルメディアのほうが減少率が大きいことが判明しています。


※参考リンク
Approximately 400 buy-side decision-makers shared their changes to ad spend and messaging strategies with us so that we can help you better prioritize and ma...



広告主の広告費削減は広告代理店の売上減少に繋がります。高瀬は「アメリカの代理店は2021年までに約50,000人を解雇する」というForresterの予測と、世界最大の広告会社であるWPPも最低でも今後3か月間の経営陣への報酬を20%カットするという記事を紹介しながら、景気の後退が広告費削減に繋がり、広告費削減が広告代理店の売上減少に繋がっていることを解説しました。


※参考リンク
  The US agency sector will lay off about 52,000 jobs over the next two years as media spend declines 23%, Forrester predicts. Agencies are projected to...

※参考リンク

This article charts the coronavirus pandemic’s ongoing effect on the digital ad industry – from publishers to vendors, marketers and agencies. We will contin...



一方、消費者の購買行動にも変化が表れています。IABが発表したパンデミック後のアメリカの消費者に関する調査レポートによれば、減らすであろうカテゴリートップは旅行、増やすであろうトップはレストランのテイクアウトもしくはデリバリー利用ということでした。食料品のオンライン注文も直近数か月間で急上昇しており、パンデミックが収まった後も利用したいという意見が多いとのことです。


※参考リンク

As part of IAB’s May 26th Brand Council Town Hall titled, “Re-entry Strategies for the Next Economy”, IAB investigated the ways consumers and brands alike ar...



ちなみに、消費者が不要不急の外出を控えることで、メディア接触の変化も出ています。コムスコアによれば、2020年3月時点で米国の7240万世帯がストリーミングコンテンツをテレビ画面で視聴しており、2019年4月と比較して12%増加しているとのことです。テレビ画面での視聴時間の増加に関してはYouTubeも例外ではなく、外出自粛規制の影響で3月のテレビ画面での視聴時間は前年同月比で80%も増加したというデータが紹介されました。


※参考リンク

In today’s quickly changing media landscape, the impact of shifting CTV, OTT, TV and VOD viewership is changing how brands need to approach their advertising...

※参考リンク

目次・テレビ画面でのYouTube視聴時間が急増・ブランドリフト調査がテレビ画面に対応・存在感を増すマストヘッド広告のテレビ画面配信テレビ画面でのYouTube視聴時間が...




コロナによる売上へのインパクトは?



ウェビナーでは続いてパネルディスカッションが行われ、事前に参加者から寄せられた質問に登壇者が回答しました。


まずは、コロナによる売上の変化について、株式会社オーリーズの足立氏も例外なく大きな影響を受けたとのことです。実際に5月は年始に読み立てたものと比較して30%ほど減少している状況で、下がっている業界の例としてファッション雑貨、ウエディング業界、人材、不動産が挙げられました。担当しているクライアントにもよるものの、年間の事業計画もやはり見直さざるを得ない状況には変わりがないと主張します。


また、実際に担当している広告アカウントの広告費は減ったか、増えたかという質問では、株式会社オーリーズの川島氏は、現状維持もしくは減少で、増えた案件はないと話しました。一方、消費財系のEC(Amazon広告)や宅配を利用したサービスを担当しているアタラ合同会社の浅田は、在宅時間が延びた影響によって広告費についても売上についても前年比でかなり伸びていると伝えています。このことから、恩恵を受けている業種もあるということがわかります。ちなみにEC、Amazon広告の影響は多大で、ECの検索量、広告の出稿量ともに増加しているようです。


ウェビナー参加者にも事前に広告費の増減についてアンケートを行った結果、減ったという方のほうが多かったものの、増えたと答えた方も32.5%以上いらっしゃいました。このことからも、やはり担当するクライアントの業種業態によって異なることがわかります。



image:Unyoo.jp Online道場 Vol.4 講演資料より抜粋




アフターコロナで広告運用者が提供できる価値



第2セッション「不確実性の中で自立/自律する」では、「コロナを含む大小を含めた予測のつかないことや突然の変化に対して、広告運用の価値、広告運用者としてどうあるべきか」というトピックが株式会社オーリーズの足立氏によって展開されました。


足立氏は広告運用の外部支援会社という立場から、不確実性の中で「自立(自律)する」ということが大事だと学んだと語ります。そのうえで、「不確実性の中で混乱している状況における自立とは、クライアントから指示を待つのではなく、広告運用のプロフェッショナルとして高い視座、視点でアイデアやプランを提示できる状態ではないか」と強調しました。


また、発注者と受注者で情報が非対称だと、受注者のアイデアが制約されてしまいがちだと指摘します。コロナのような不確実性の中で最高で最速のアイデアをぶつけていくためには、情報の非対称性が生まれないようにしたり、自分たちの仕事を自分たちで勝手に決めてしまわないようなインセンティブ設計をつくったりなどして、限定合理性を生み出さないようにしないといけない、とも主張しています。


具体的には、ダッシュボードを使って情報の透明性を高くしたり、ブランドガイドラインを作って明文化して共有したり、プロジェクト管理ツールに例えばいろいろパートナーを混ぜて、一緒にタスク管理するといったことです。これはコロナという世界規模のパンデミックという話だけではなく、不確実な時代における運用者とパートナーに求められる価値や存在意義に関わってくるともいえるでしょう。



image:Unyoo.jp Online道場 Vol.4 足立氏セッションスライドより抜粋



image:Unyoo.jp Online道場 Vol.4 足立氏セッションスライドより抜粋


続くパネルディスカッションでは、足立氏の提案に一同納得する場面が見られました。川島氏は実際に担当している事例を挙げながら、事業会社と支援会社とで理想的な関係とはワンチームであることだと述べています。浅田からは、情報の非対称性を減らすために取り組んでいることの具体例として、自分たち広告運用者側と広告主側、お互いのアップデート事項を共有する時間とディスカッションの時間を定例会に設ける工夫をしているという話がありました。


浅田はクライアントとタスク管理ツールを共有し、広告運用に関するタスクの内容や関係者、進捗を可視化することで透明度を高くしているそうです。自分たちの情報を出すことはもちろんのこと、先方からも情報を引き出しやすい関係性をつくれるようにするといいのかもしれません。




日ごろから意識してやっておきたいことは?



ほかにも参加者からはさまざまな質問が寄せられました。「コロナでマーケットが冷え切った商材を取り扱っているが、マーケットのわずかな動きを的確に捉えて販売拡大につなげたい。回復の兆しを見逃さないために担当者としてできること、注視すべきデータの動きなどはあるか」という相談に対して浅田からは、人間の感情をキャッチアップするためには、管理画面だけではなくSNSやテレビをチェックすることも重要だという意見がありました。生活者が今何を感じていて、どうのようなことを求めているのかを把握しておくことがポイントだといえます。


また、「生活者の行動が変化し続ける中で、機械学習との向き合い方や、広告運用の在り方についての考えを聞きたい」という質問もありました。「広告プラットフォームの基本的な仕組みやアルゴリズムの部分はコロナ以前と以後で劇的に変わっているわけではない。運用者としては、仕組みを熟知していれば、引き続きアクションが取れると思う。逆に今までプラットフォームの仕組みに向き合ってこなかったのであれば、これを機会に向き合えばいいのではないか」と高瀬。どちらの質問も、コロナ状況下に限らず日ごろから興味関心を持ったり、学び続けたりすることが欠かせないことが伺えます。


1時間超にわたって展開された今回のウェビナーでは、コロナという未曽有の事態に対して、広告運用者はどうあるべきかということが主なテーマとなりました。その中で繰り返されたことは、情報の非対称性をなくすことだといえます。たしかに情報の共有には発注者(クライアント)の協力も欠かせませんが、発注者の信頼を得るためにできることはたくさんあります。


そういった努力を積み重ねて関係性を築ければ、受注者も発注者目線に立ったり思い切った提案やアクションができたりするのではないでしょうか。そういったことができる受注者は、発注者に求められる存在になるに違いありません。皆様のご参考になれば幸いです。


これまでのウェビナー動画は「Unyoo.jp YouTube公式チャンネル」でも公開中です。




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