【イベントレポート】2019/11/22開催 Unyoo.jp Meetup Vol.16「リターゲティングに寄り添わない」


リターゲティング依存が困難な現状


Cookieの仕組みを利用して自社Webサイト訪問済ユーザーへ広告を表示する「リターゲティング」の手法は、優れた費用対効果から広く普及しており、長く広告運用者の間でも常套手段として認知・活用されていたかと思います。


2018年5月よりEUで施行となったGDPR(General Data Protection Regulation)やApple の ITP(Intelligent Tracking Prevention)により、デジタル広告におけるCookieの利用が大幅に制限され、リターゲティング偏重の広告運用は見直しを迫られています。


そこで今回Unyoo.jpではエージェンシー、プラットフォーマー、広告主それぞれの立場からリターゲティングに寄り添わない広告運用の形を探るMeetupを実施。過去15回実施してきたUnyoo.jp Meetupはすべて「寄り添う」というタイトルでしたが、第16回となる今回、初めて「寄り添わない」というタイトルを使いました。


モデレーターは、アタラ合同会社 高瀬が担当し、スピーカーにはエージェンシーサイドとして株式会社電通デジタルの三谷壮平さん、プラットフォーマーサイドとしてTaboola Japan株式会社の尾上有香さん、広告主サイドとして株式会社ウエディングパークの助川健太郎さんにご登壇いただき、それぞれの立場からの向き合い方をお伺いしました。





プログラム
セッション1
株式会社電通デジタル 三谷壮平さん


セッション2
Taboola Japan株式会社 尾上有香さん


セッション3
株式会社ウエディングパーク 助川健太郎さん


パネルセッション
三谷壮平さん(株式会社電通デジタル)
尾上有香さん(Taboola Japan株式会社)
助川健太郎さん(株式会社ウエディングパーク)
高瀬優(アタラ合同会社)※モデレーター


目次

・なぜ今「リターゲティングに寄り添わない」なのか
・広告の“真の”効果だけを評価する
・リターゲティングに頼ることなくユーザーのActionを導く“Moments of Next”とは?
・広告主がリターゲティングに頼る事情とリスク
・パネルディスカッション






イントロダクション:なぜ今「リターゲティングに寄り添わない」なのか

アタラ合同会社:高瀬優


まずはモデレーターの高瀬が、なぜ今このテーマでMeetupを開催したのかについて解説しました。現在、デジタル世代のプライバシーとデータへの関心は非常に高まっていると高瀬は言います。まず2018年にGDPRが施行され、2020年1月からはカリフォルニア州でCCPA(カリフォルニア消費者プライバシー法)も施行されるなど法律による制限の追加、そしてITPやETP(Enhanced Tracking Protection)によるブラウザの仕様変更といった要因により、ユーザーの個人情報保護や個人データの活用に関する規制がエコシステム全体に影響を与えています。


言わずもがな、キーワードは「Cookie」です。高瀬は、「法規制」と「ブラウザの仕様変更」の2側面からCookieの利用制限について紹介しました。





法規制の面(GDPR)


まず法規制の面では大きく2つの制限がなされており、1つ目は個人データの定義の拡大が挙げられます。これまで名前・住所・電話番号・E-mailアドレスが個人情報と定義されてきましたが、現在はIPアドレス・CookieID・デバイスIDなどにまで拡大されています。


2つ目は個人データ利用の合意形成についてです。個人データを利用するには「声明もしくは明白で積極的なアクション」を通してユーザーの明確な意思表示をオプトインする形で合意を得ることが必要とされています。これにより、Cookieの利用条件が大幅に厳格化されました。





WebブラウザのCookieの利用制限


次に、WebブラウザによるCookieの利用制限については、まず、AppleのITPによってSafariで3rd Party cookieがデフォルトでブロックされるようになりました。次いでMozillaのETPによりFirefoxでも、最後にGoogleでもChromeに3rd Party cookieのブロック機能が搭載されました(デフォルトではない)。2020年1月14日、Googleは今後2年以内にChromeにおける3rd Party cookieのサポートを終了する旨を発表しています(※筆者注)。


※参考リンク

In August, we announced a new initiative (known as Privacy Sandbox) to develop a set of open standards to fundamentally enhance privacy on...


こうした状況から、デジタル広告のエコシステムはリターゲティングに”寄り添えない”環境に変化してきていると、高瀬は結びました。




セッション1:広告の“真の”効果だけを評価する

株式会社電通デジタル 三谷壮平さん


株式会社電通デジタルの三谷壮平さんからは、広告の真の効果を評価する「True Lift Model® 」を使用することで、リターゲティング広告に依存しない仕組み作りについてお話しいただきました。


三谷さんによると、デジタル広告ではCPCやCPAなどのわかりやすい指標があり、しかも簡単に計測できるため、特にダイレクト系の企業ではわかりやすい指標にフォーカスするあまり、見た目上効率の良いリターゲティング広告にどうしても予算が集中するという課題があるそうです。


リターゲティング広告は、お店に例えると既に行列に並んでいる人に対してクーポンを配っている状態です。それは需要を創造しているのではなく、元々需要のある人にクーポンを配って「それが広告の効果だ」と言っているような側面があります。


例えば自動車業界において、30代男性・既婚・地方在住など細かいターゲティングを行い、車の広告を当てて試乗予約を100件獲得、CPAは10,000円 だったとします。ただ、前述のターゲットはそもそも車を買いそうな人たちであるため、たとえ広告を見なかったとしても試乗予約を70件までは獲得できていたかもしれない、と想像できます。その場合、本来の広告効果は30件であり、その30件にフォーカスしてきちんと評価することが重要だと三谷さんは語りました。


同セッションではこの“真の”広告効果を評価するためのアプローチとして、電通デジタルが開発した「True Lift Model®」が紹介されました。開発に至った背景として、リターゲティング広告偏重から脱却したいという思いがあったそうです。


このままリターゲティングばかりでは需要が先細り、将来的に獲得できる広告の件数は減ってしまいます。将来的な需要を創造するためには、潜在層施策としてのターゲティング広告や動画広告を実施する必要がありますが、そこには「CPAが見合わない」という問題がつきまといます。


わかりやすい指標の計測が難しいマス広告と異なり、指標を計測できてしまうデジタル広告だからこそ、リターゲティング施策をやめてあえて潜在層施策をやり続けるのは勇気がいることです。そのためエージェンシーとしても、クライアントが潜在層施策にシフトするための納得感のあるロジックや根拠が必要だと三谷さんは言います。


そのアプローチ法として、これまでもアトリビューション分析がありました。アトリビューション分析で出てくるパターンとして、例えば潜在層施策がリターゲティング施策よりも効果が良いことが理想ではありますが、実際にはスコアベースで評価しても効果が逆転しないことが往々にしてあるそうです。


画像提供:株式会社電通デジタル


かといってリターゲティングにばかり投資してよいのかというと、それも疑問です。なぜなら、リターゲティングで集まる人の中には、前述のように広告を配信しなかったとしてもコンバージョンする人も含まれるからです。一方、潜在層施策はサイト未訪問者を対象とするため、そこをしっかりと切り分けられれば、評価が逆転できるのではないか。そういった思想から、仮に広告が無くても自然に発生した効果と、純粋な広告の接触効果とに切り分ける評価モデル「True Lift Model®」が開発されました。True Lift Model®には薬の効果検証などに使われるランダム化対照実験(図参照)の考え方を応用しているそうです。


画像提供:株式会社電通デジタル


広告においても、同一条件のグループをランダムに2つに分け、片方には広告を出し、片方には出しません。そして両者の間で生まれたコンバージョン率の差分が、純粋に広告によって作られた需要(True効果)と言えるというアプローチです。この際、広告接触以外の条件を合わせないと比較対象がずれ、正しい評価にならないため、条件を揃える事が非常に重要なのだそうです。


True Lift Model®ではユーザーの表示領域に出ていない広告を比較対象とし、コントロールしているそうです。図のように下にスクロールしないと見えない広告もあり、これは広告に接触していないのと同様と言えます。またターゲティングは当然同じであるため、同条件であるという担保もされます。


具体的には、ユーザーが実際に見えている領域と見えていない領域を分け、ビュー接触の人は「自然発生のコンバージョン+広告効果」、非ビュー接触の人は「自然発生のコンバージョンのみ」となり、その差分を取ると広告効果が抽出できるという仕組みです。


画像提供:株式会社電通デジタル


このようにTrue効果に絞って評価することで、本当の意味でのCPA(=True CPA)が算出でき、アトリビューション分析で評価の逆転が起こりうるという利点があります。なお、True Lift Model®は元々ビュー/非ビューを比較するシンプルなものでしたが、それだけだとバイアスがかかるため補正も行っているそうです。例えば、同じマークリストのグループでも関与度の高低で入札額が変わり、入札が高いと良い枠、低いと下の方の枠に出るためビューワビリティが変わってきます。つまり関与度の高い人がビューになりやすく、低い人が非ビューになりやすいのです。これはリターゲティング広告で顕著だと言います。


これの補正策として、ビュー/非ビュー以外にもPropensity Scoreという統計的な手法を使ってユーザー属性の偏りを補正して精度を高めているそうです。


この分析結果をもとにどういったセグメントに広告投資を行えばよいかは、「True Target Discovery® 」というソリューションで実施が可能です。一度配信すれば、そこに含まれる何百ものセグメントを自動的に分析し、よいセグメントを抽出するという方法で潜在層を発掘できるそうです。



画像提供:株式会社電通デジタル


True CPAで評価した時、仮にリターゲティング広告でも潜在層施策の方が効率がよくなる見込みがあるとすれば、True Target Discovery®で良いセグメントを分析し、潜在層を発掘する。そして見つかったセグメントに対してより刺さりやすいコンテンツやクリエイティブを考え、高い精度のターゲティング設計を行う。三谷さんはこの流れを「需要創造のPDCA」と呼ぶそうですが、このPDCAを回すことによりリターゲティング広告から脱却し、潜在層施策に適切な投資を行うことが実現できると結びました。


※より詳しい内容はこちら:

広告はビジネスにどのようなインパクトを与えられたのか。それは広告に携わる者にとっての命題です。では、元々購買意向が高かった方やアクション直前だった方が広告経...




セッション2:リターゲティングに頼ることなくユーザーのActionを導く“Moments of Next”とは?

Taboola Japan株式会社 尾上有香さん



続いて尾上さんからは、プラットフォーマーサイドとして、リターゲティングに依存せず、モーメントを捉えた広告配信についてお話いただきました。尾上さんによると、日本人は起床した朝6時に少しピークを迎え、その後8~10時にモバイルのPVが上がるというデータがあるそうです。これはグローバルと比較しても日本人に特徴的なオンライン行動であり、情報過多な現代においてこの貴重な時間をモーメントと捉え、ユーザーが欲しいであろう情報を的確に配信することが非常に重要だと尾上さんは言います。


画像提供:Taboola Japan株式会社


ツールにおいても多種多様なものが昨今登場しており、Facebook、Google、Twitter、LINEなど多岐にわたるため、どのツールでどのユーザーにリーチするかを考える必要があります。


尾上さんは、そのポートフォリオを考える際にキーワードとなるのが「クリエイティブ」と「コンテキスト」の2つだと語りました。特にコンテキストは、ユーザーが情報を欲しているタイミングで的確に情報を出すことが重要です。例えばオフィスにいる時、通勤時間、家でリラックスしている時では心理状態も見たい情報も違います。同じ人間でもその都度適切なクリエイティブ、適切なプレースメントがあります。ではそのタイミングとはいつなのでしょうか。


例えば、記事を読もうとする前に広告が出れば阻害されるとしても必ず見ますが、ユーザーの頭には不快感のある広告という印象が残ります。ユーザーが記事を読んだ後、次の記事を探すようなタイミングで、ユーザーと関連度の高い広告が出れば、その後の行動に繋がりやすくなります。ユーザーにとって居心地良く、かつ情報の一つとして捉えられるようなプレースメントで広告配信をすることで、ユーザーとしてもナチュラルな情報収集ができるということです。


尾上さんによると、記事横に表示される広告は意識が向きにくく、こちらも記事読了後の表示に変更することでクリック率が倍程度変わるそうです。動画広告も同様で、ニュースサイトに来たユーザーなど情報を吸収したいタイミングのユーザーが記事読了後、非常に関連度が高い動画が表示された場合、最後まで視聴されやすいのだそうです。


クリエイティブについても、一人のユーザーにも様々な特徴があるため、タイミングごとにクリエイティブを変える必要があります。リターゲティング広告のように何度も同じものを見せるのではなく、タイミング・デバイス・場所などで、パーソナライズすることが重要だと言います。


同セッションでは、クリエイティブをマネージするにあたり、Taboola Trendsの活用方法も紹介されました。タブーラWebサイト内で配信されている全てのクリエイティブを分析し、クリエイティブのトレンドを公開する無料のサイトですが、ジャンルごとのクリエイティブの傾向や日本マーケットでクリック率の高いキーワードなども掲載されているそうです。



※参考リンク

Taboola Trends is a data resource analyzing image and keyword trends gathered from 75 million clicks across 50 billion impressions of running campaigns


では、Taboolaの配信エンジンを使ってどのようにしてリターゲティングに依存せずに広告を配信するのでしょうか。尾上さんによると、基本的にまずはブロードで配信し、Taboolaのレコメンドエンジンを活用して興味のあるユーザーを探し出すという配信手法が非常に多いそうです。


ただ、まったくリターゲティングを使わないのかというとそうではなく、例えば認知獲得向けの動画を配信した場合、動画の視聴完了ユーザーにマークを溜め、それらユーザーに対してリターゲティングでオウンドメディアへと誘導し、商品のファンになっていただくといった方法が考えられます。ファンになったタイミングで商品詳細ページへ飛ばすことで価格や特徴を理解してもらい、最終的にはキャンペーンページへ飛ばしてコンバージョンを終えるというように、リターゲティングをうまく活用することでPDCAを回すこともできるとのことです。


サーチやソーシャルは現在非常に活用されているプラットフォームですが、第三の柱としてディスカバリープラットフォームをうまく活用し、潜在層にアプローチすることで、リターゲティングに偏りすぎないマーケティングが可能なのではないかと尾上さんは結びました。




セッション3:広告主がリターゲティングに頼る事情とリスク


株式会社ウエディングパーク 助川健太郎さん


株式会社ウエディングパークの助川健太郎さんからは、広告主の立場としてリターゲティング偏重に陥りがちな構造やリスク、今後どのように課題を解決していくのかを語っていただきました。ウエディングパークは、「21世紀を代表するブライダル会社を創る」というビジョンのもと、国内最大級の結婚準備クチコミ情報サイト「ウエディングパーク」を中心とする5つのメディアを運営するブライダル企業です。


前提として、ブライダル業界のプロモーションには、以下の大きく3つの課題があるそうです。



画像提供:株式会社ウエディングパーク


これらの理由から、ブライダル業界はリターゲティング広告を重視しがちな業界だと言えます。しかし、リターゲティング広告に頼っていれば良いのかというとそうでもなく、リターゲティング広告偏重にも3つの課題があるそうです。





課題1:フリークエンシー過多によるブランドイメージ悪化


一つは、フリークエンシー過多によるブランドイメージの悪化リスク。そもそも、なぜリターゲティングは効果が良いのかというと、サイトにアクセスしたユーザーが比較検討したいタイミングで再度アプローチできるため、商品理解やコンバージョンに対するハードルが低い状態でリーチできる点が挙げられます。また、繰り返し接触することでユーザーは商品を身近に感じるようになります(単純接触効果、ザイアンス効果)。しかし一方で、ユーザーの目につきやすくなる分、フリークエンシーが適切でないとユーザークレームやブランドイメージの悪化につながるリスクがあるそうです。


たとえフリークエンシーキャップを設定したとしても、第三者配信等を使わない限り、複数の広告媒体に出稿している場合、想定以上に接触している可能性があります。また、フリークエンシーの適切回数は商材や予算規模、出稿先によって異なるため、マジックナンバーは存在しないと助川さんは言います。





課題2:スマートフォンで一部媒体内に閉じたリスト蓄積


多くの広告主においては、リターゲティングのみを行っていてもパイは増えないため、アッパーファネルの新規ユーザーに向けた施策を並行して実施すると思いますが、助川さんは、その際に意図した通りのユーザー開拓やリターゲティングリストに繋がっているかどうかに気をつけるべきだと言います。


IDベースやアプリ内ブラウザで計測する場合を除き、Cookieベースではスマートフォンの通常ブラウザとアプリ内ブラウザを跨いでユーザー特定することは基本的にはできず、アプリ内ブラウザのみのリスト蓄積になるケースがあるためです。


画像提供:株式会社ウエディングパーク


スマートフォンの閲覧環境によるリターゲティング可否のパターンを見た際、ケアすべきは上図のパターン3とのこと。アプリで媒体AやCに訪れた場合広告IDは紐付きますが、通常ブラウザで媒体Bに訪れた場合Cookieも広告IDも紐付かず、リターゲティングの対象に入りません。そのため、リストの拡大を目的に出稿先媒体を増やしても実は媒体内でしかリターゲティング対象になっておらず、個別最適に陥るケースもあるという認識を持つことが重要なのだそうです。





課題3:媒体タグが与える自社サイトへの影響


昨今、ITPの影響を回避するべく媒体各社が仕組みづくりを模索しています。しかし、自社サイト内でページを遷移した際に媒体のリダイレクトを挟む場合、サイト内の挙動やスピード、計測面に影響が出る可能性もあるため、タグの設置には慎重さが必要だと助川さんは言います。そこで同社では、ワンタグツールのプレビューモード、ブラウザのコンソール画面での確認、エンジニアの協力を仰ぐなどの対応を考えているそうです。


助川さんは、リターゲティングをなかなか脱却できない広告主の事情として、どの業界であっても、広告主の根底にはリターゲティングをやめるリスクテイクのしづらさがあると言います。広告主は通常、事業計画に沿って中長期的シミュレーションの上予算取りをしていますが、その中の一定割合を占めるリターゲティングをやめるとなると、経営層への説明責任を果たすハードルが高くなります。


また、助川さんはリターゲティング自体を悪いとは思っておらず、依存する形でのメディアプランニングのリスクの高さを懸念しているそうです。そうしないためには、ブランド想起率を高めて指名検索されやすいフルファネル戦略をとったり、ニーズが顕在化したモーメントを捉えられるようなアプローチ手法が必要であり、広告主だけでは成り立たないため業界全体で取り組む必要があると、助川さんは結びました。




パネルディスカッション



最後は登壇していただいた3名、そして弊社の高瀬優によるパネルディスカッションと、会場の参加者を交えての質疑応答でした。パネルディスカッションでは、様々な意見が交わされました。



高瀬:True Lift Model®のお話がありましたが、潜在層施策に投資しようという話がある一方、広告主サイドとしては広告目標が達成できないというところにハードルがあると思います。現在、どのようにしてTrue Lift Model®を提案されているのでしょうか?


三谷:ウェブコンバージョンの世界では予算取りからリターゲティングありきで組まれていることが多いため、まずは可視化するというのが最初のアプローチとしてよく言われています。いきなり、しかも全媒体でリターゲティングをやめるのではなく、本当にリターゲティングと潜在層施策とで効果が逆転しないかをまず見てみるケースが多いです。また、担当者がいきなり導入するというよりは、経営層の方に共鳴いただき、トップダウンで進めることが多いですね。


高瀬:トップレベルの方が、リターゲティングが機能しづらくなっている環境を理解し、受け入れてくれる状況が重要そうですね。助川さんは広告主サイドから見て、どう思われますか?


助川:まず可視化しましょうというアプローチはとても良いと思います。現場レベルで導入しようとするとやはりハードルが高く、リターゲティングから潜在層施策に舵を切るという決断はものすごく勇気がいると思います。もう一つのハードルだと思うのは、第三者配信系の話ですね。複数の媒体に接触して態度変容していく流れがあると思うので、その中に第三者配信を受け入れていない媒体があると中間が取れないことになり、成果として難しくなるのではないかと思います。


高瀬:プラットフォーマーだと、Facebookがインクリメンタリティ測定という形でコンバージョンリフトを測定する機能を提供していますが、Taboolaさんでもそういったアプローチはお考えでしょうか?


※参考リンク

See posts, photos and more on Facebook.


尾上:現時点でそういった開発は進んでいませんが、認知施策に対して獲得までの道筋が見えないから、獲得に寄ってしまうというクライアントさんはまだまだ多いです。だから、数字で具体的にコンバージョンまでの道筋が見えるというのは提案としてわかりやすく説得力があるなと思います。





高瀬:リターゲティングに寄り添いづらい状況が生まれつつある中で、今後何に寄り添いますか?


助川:今後寄り添うとしたら、シンプルに事業に寄り添う、事業を成長させるための施策の開拓に寄り添っていきたいと思っていて、それは広告ではなくてもよいと思っています。例えばサイト側やプロダクト側、チャネル側かもしれません。もちろん広告効果を最大化させるためのコンテンツづくり、ツールの導入も考えられるかもしれません。


高瀬:3rdPartyCookieの活用が環境的に難しくなっているというお話をさせていただいていますが、今まで以上にクライアントの1stPartyデータの重要性が非常に高まっていると思っているのですが、御社で何か直接ユーザーと関係性を持つような取り組みはされていますか?


助川:弊社サイトは特殊なビジネスモデルなので、独自の課題感もありますが、ユーザーとの特別な取り組みというよりは、データの集め方や活用の仕方を改めて検討していこうと思っています。まだ具体的なことではなく構想段階ですが。


高瀬:それはどういう課題感から考えられたんですか?


助川:弊社のサイトに来訪いただくユーザーというのは、結婚式場探しの検討段階であるユーザーではあるのですが、いろいろなニーズもその中に含まれていると思うので、そこを細分化し、1to1でマーケティングを行えるようにしたいと思っています。


高瀬:三谷さんはいかがですか?


三谷:リターゲティング広告はクリエイティブ やターゲティングを考える要素があまりないので楽と言えば楽ですが、裏を返せばエージェンシーはいらないということになりかねません。今後は、今まであまり考えてこなかったクリエイティブ やターゲティングの部分をもっと考える必要があります。どういうターゲットが良いのかは「True Target Discovery®」でわかりますが、ではその人達に何を言うのか、コンテクストを踏まえてどうするか、そういったところは突き詰めていく必要があると思います。


高瀬:尾上さんはいかがでしょうか?


尾上:Taboola自体のコンセプトとして、潜在層へのアプローチが一番使われる施策なので、そもそもリターゲティングの割合はそんなに多くないのです。ただ、獲得だけに弊社プロダクトを使われているクライアントさんの場合では、適切なユーザーを見つけるために特徴を明確にする、当てたいユーザーのペルソナをはっきりさせる、そしてクリエイティブからLPのファーストビューまでの遷移を自然な流れにすることが大事かと思います。プラットフォームごとにアルゴリズムが異なるため、それを正しく理解して、うまく動かすためのクリエイティブを作ることが重要だと考えます。



高瀬:こうした状況を踏まえ、広告運用者に今後求められる役割とはどんなことだと思われますか?私は、リターゲティング偏重はCPA偏重が根本にあると思っています。これまで広告運用者の役割は月目標や予算に縛られている部分も大きかったと思いますが、そういったところも今後変わっていくかなと個人的には思っています。


三谷:まさにエージェンシーの危機意識で、作業者にならないことが重要だと思っています。単なるウェブコンバージョンの世界にとどまっていてはダメで、色々なものをかけ合わせ、クライアントごとにカスタマイズしていくことが本当の意味でのコンサルティングだと思いますし、そういう人になりたいと思います。


尾上:クライアントの本当の課題に対するプランニングを常に意識し、企画段階からプラットフォーマーとしても情報提供やアイデア出しの部分から入っていければ長くお付き合いもできますし、PDCAを回していくお手伝いもできると思います。




ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!次回のUnyoo.jp Meetupは企画が固まり次第、Unyoo.jp上でアナウンスします。ふるってご参加のほど、よろしくお願いします!

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