イベントレポート:2018/09/21開催 Unyoo.jp Meetup Vol.13「AMS(Amazon Advertising)に寄り添う」

Google、Facebookと並び、今や広告運用者・EC事業者にとって見逃せない存在となっているAmazon Advertising(以下Amazon広告)。その成長スピートや費用対効果の高さから注目を集めていますが、比較的新しい媒体であるがゆえに過去蓄積されてきた知見や情報が少なく、手探りで運用している運用者の方も多いのではないでしょうか。


そこで今回Unyoo.jpでは、Amazon広告について情報を交換し運用品質をさらに高めるべく、2018年9月21日にUnyoo.jp Meetup Vol.13「AMS(Amazon Advertising)に寄り添う」を開催いたしました。開催当日はあいにくの雨模様でしたが会場は超満員。質疑応答の時間には来場者の方から積極的に質問が飛び交い、皆さんのAmazon広告に対する関心の高さがうかがえました。


モデレーターは、Amazon広告を運用し、Unyoo.jpにおいても連載を執筆しているアタラの浅田が担当。スピーカーには実際にAmazon広告の運用に携わっているセプテーニさん、グラフトンノートさんをお招きし、Amazonスポンサー広告(クリック課金型広告)の内容を中心に実際の運用方法や運用にあたってのコツ、さらに広告主との関係構築にいたるまでを、余すことなく語っていただきました。


同記事では、好評を博したイベントの内容を詳しくレポートしています。これからAmazon広告を始める方、すでに運用しているものの成果が出づらいと感じている方の運用のヒントになれば幸いです。


プログラム
第1部:プレゼンテーション
浅田 梨沙(アタラ合同会社)
「Amazonスポンサー広告(旧AMS)概要」


小松 純平さん(株式会社セプテーニ)
「Amazonスポンサー広告の基礎と発展」

島田 新人さん(株式会社グラフトンノート)
「Amazon広告で成功するための顧客-体型の取り組み事例」


第2部:パネルディスカッション


玉石 和正さん(株式会社セプテーニ)
島田 新人さん(株式会社グラフトンノート)
浅田 梨沙(アタラ合同会社)※モデレーター





Amazonスポンサー広告(旧AMS)概要

アタラ合同会社 浅田からは、Amazonスポンサー広告の概要についてお話しました。そもそもAmzonの広告サービスは、純広告であるAmazon Media Group(AMG)とクリック課金型広告のAmazon Marketing Services(AMS)、そしてDSPであるAmazon Advertising Platform(AAP)の3つに分断されていました。それが2018年の9月5日よりAmazon Advertisingとして統合され、ディスプレイ広告・動画広告とスポンサー広告、Amazon DSPを内包する形となりました。同イベントはその中でも、スポンサー広告にスポットを当てた内容となっています。



※概要について詳しい内容はこちら

Amazon Marketing Service(AMS)とはAmazon Marketing Service(Amazon マーケティングサービス、以下AMS)という広告商品をご存知でしょうか?AMS は Amazon に出品し...

Amazonの広告サービスがリブランドAmazonは2018年9月5日(米国時間)、提供する全ての広告サービスを統合し、新名称「Amazon Advertising」に変更したと発表しました。A...




Amazonスポンサー広告の基礎と発展




株式会社セプテーニの小松 純平さんからは、Amazonスポンサー広告の基礎知識と、実際どのように広告を運用しているのかについてお話いただきました。



まず、それぞれのメニューをセプテーニさんではどのように選定しているかについて、教えていただきました。もっとも露出機会の多いスポンサープロダクト広告は全体のパフォーマンスを左右する重要なメニューのため、指名/競合/一般ワードなど幅広いキーワードの仮説検証を行いながら、売り上げの最大化を目指しているそうです。


一方で商品ディスプレイ広告であれば、任意の商品ページを指定して広告掲載ができるため、キーワード単位で入札を行う他メニューとは使い分けて、新商品のブランドイメージ定着や認知の獲得に利用することもあるそうです。


各メニューの使い分けに王道はなく、セプテーニさんでは商品特性やクライアントの意向も加味してメニューを選定しているそうです。クライアントの要望が「競合からのシェア奪取」であれば、商品ディスプレイ広告を使って競合商品をターゲティングしたり、スポンサープロダクト広告で競合系キーワードを高く買い付けたりするなど、各メニューの活用戦略が重要であり、さらにカテゴリーごとにCPCやCTRの相場が大きく異なるため、「カテゴリー×メニュー」の目線も大切だと語っていました。



■Amazon独特の指標定義・挙動
次に、Amazonスポンサー広告独特の指標定義や挙動についても教えていただきました。例えば売上という指標一つを取っても、特徴的な計測定義を事前にしっかり把握しておかなければなりません。また、Amazonでは同一商品を複数の出品者が出品できますが、メーカーさまが広告を配信しても、結果的に他の出品者の商品が購入されてしまうこともあります。このようなときに、広告側でどのようなことが起きるのかを意識しておくことが、非常に重要であるとのことです。


そのほか、Amazonというプラットフォームに特有の事象(制限)が広告に影響を与えることがあるため、これらを正しく理解し、制限される部分を補う必要があるようです。


■実際の運用テクニック
では実際に、どのように運用されているのでしょうか。クライアントの意向やアカウント状況にもよるそうですが、小松さんは、運用の「粒度」をさまざまな意味で細かくすることが重要だと考えているそうです。そのうえで、各メニューの具体的な仕様に則り、最適化をかけていくことが大切だと語っていました。


また、マッチタイプを使いこなすことも大切なテクニックだそうです。同じクエリであっても、キーワード設定としての買い付け方を工夫することも重要で、どのように設定キーワードが認識・区別されるかを踏まえた登録が必要である、などの注意点についても教えていただきました。



■スポンサーブランド広告の検証方法
他2メニューと比べ、スポンサーブランド広告はクリエイティブやリンク先などの検証項目を多く含んでいるため、セプテーニさんではA/Bテストも頻繁に行っているそうです。過去の検証結果ではCTRやCVRに大きな差が出ており、テキストを変更しただけでROASが従来の3倍になるという結果も出たそうです。



Amazonスポンサー広告は他媒体に比べて機能がシンプルだと言われていますが、使い方や工夫次第でいくらでも広告効果を追求できる媒体だと感じました。




Amazon広告で成功するための顧客-体型の取り組み事例



株式会社グラフトンノートの島田新人さんからは、Amazonスポンサー広告を通してクライアントとどのように信頼関係を構築するかについて、成功事例を交えて教えていただきました。島田さんは今年の1月から、大手酒類メーカーのAmazonスポンサー広告の代理運用を担当されています。島田さんの担当クライアントはAmazon広告において売上が昨年よりも増加しており、Amazonスポンサー広告経由の売上も大幅に伸びているそうです。成功の秘訣は、「クライアントも代理店も同じゴールを目指す状態」を築けたこと。では、そうした状態はどのようにして作られたのでしょうか。カギは「運用力」と「体制づくり」にあるそうです。


■運用力~クライアントにとっての預言者になる~
はじめに、島田さんは「信頼される運用者とはどんな人だと思いますか」と会場に問いかけました。レスポンスの早さやCPAを合わせるのが得意、プロダクトに詳しいなど色々な意見がありますが、島田さんにとっての信頼される運用者とは、過去のデータや仕様から次にどう動くかという未来の話ができる人、つまり「預言者のような人」だと考えているそうです。


クライアント企業では、グラフトンノートさんがAmazonスポンサー広告の運用を担当する以前、自社で担当者の方が運用していた時期があったそうです。その際、ブランドごとにキャンペーンを分けて作成していたそうですが、島田さんは「Amazon全体の売上を考えれば、全ブランドを1キャンペーンにまとめたほうがよい」とアドバイスしたそうです。


そもそもAmazonにおいて「酒」「ビール」「ワイン」 などの一般的なワードで検索するユーザーは、買いたいブランドが決まっているわけではありません。ブランドではなくカテゴリーでASINをまとめ、一般ワードで検索するユーザーに対してより多くの自社ブランド商品を露出させることで、様々なニーズに対応できるのではないかと考えたそうです。そうした考えのもとキャンペーン構造を変えた結果、売上・ROAS共に大幅に改善し、クライアントからの信頼に結び付いたそうです。つまり、根拠に基づいてどう動けばどういう結果になるという予測を立てて成果を出すことが、島田さんの言う「預言者」の姿勢だということです。


また、先を見越して期間ごとにテーマを設定することも、預言者としての姿勢を持った運用者として大切な素養だと島田さんは語ります。同クライアントにおいては、まず1~2月は露出を強化してどの程度まで売り上げることができるのかを検証する期間、3月以降は最適化をかける期間と設定したそうです。さらに今後の動きを事前にクライアントに説明しておいたことで、露出を強める期間にCPCが高騰したとしてもクライアントは安心感を持つことができると考えたそうです。


ただ、実際にはCPCはそこまで高騰せずにきちんと露出量を確保できたそうです。一気に露出を強める期間を設けたことでCPCとコスト、ROASの関係性を体感できるようになり、クライアントは企画立案や商品在庫管理など、もっと大切なことに時間を割けるようになったそうです。



■体制づくり~同じ指標を追う~
島田さんは、クライアントと代理店が別々の指標を追うのではなく、同じ目標(ここではAmazon全体の売上増加)に向かう体制づくりが重要だと考えているそうです。例えば商品管理や市場状況はクライアントのほうが詳しいので、シーズンごとの企画立案やAmazonとの向き合いに集中していただき、自分たちは広告の運用に注力するという具合に、同じ目標の中で各々の得意分野を伸ばすために役割分担をしているという意識を持つ必要があるそうです。


一方で役割分担をしてしまうと両者での情報の分断が起きやすいという課題もあります。情報が分断されると代理店は広告指標だけを追い、全体の売上に目が向かず、クライアントは運用の中身がわからず不信感に繋がるケースはよく見受けられます。それを防ぐために、島田さんは3つの工夫を実施しているそうです。



1.目標のすり合わせ
広告売上だけでなくAmazon全体の売上を共有してもらい、カテゴリーごとに昨対比を出し、定例会で意識のすり合わせを行っているそうです。広告は売上の一部にしかすぎず、Amazon全体でいかに売上を増加させるかをいつも話し合っているそうです。



2.透明性の担保
管理画面やローデータのほかに、レポートにまとめて指標を分かりやすく開示することが、クライアントの安心感に繋がっているそうです。



3.共通の言葉で話す
レポートは広告費と売上、CPCとROASに絞って極力シンプル化し、運用者の独りよがりではなくきちんとクライアントに伝わるように報告することが大切だと島田さんは語ります。また完全に結果報告のみに終始してしまうのでなく、推移や変動した要因、運用を変えた点を正しく伝えることも重要です。常に先を考えて動く運用力と信頼感を築く体制づくりを通して、クライアントと同じゴールを目指す。これはAmazonスポンサー広告だけでなく他媒体を扱う運用者にとっても、目指すべき理想的な形の一つだと言えます。しかしそれが理想とはいえ、ランディングページやクリエイティブ、キーワードやバナーなど様々な要因が絡まり、思い切った施策ができないことも多いのではないでしょうか。Amazonスポンサー広告にはLPなどの概念もなく、ユーザーはそもそも購買意欲のある状態でAmazonを利用するため、CVRも他媒体と比べて高い場合が多いです。島田さんは「ぜひAmazonスポンサー広告をフックにして、これまでのようにCPAのみを追いかける運用ではなく真の意味でクライアントの要望に寄り添う運用スタイルを目指してほしい」と会場に語りかけていました。




パネルディスカッション


最後は株式会社セプテーニの玉石和正さん、株式会社グラフトンノートの島田新人さん、そして弊社の浅田梨沙によるパネルディスカッションと、会場の参加者を交えての質疑応答でした。パネルディスカッションでは、様々な意見が交わされました。



■運用について工夫していることは?


玉石さん:未だ明文化されていない媒体の特徴を発見するため、検証作業を積極的に行っていくことが大切です。ヘルプには書かれない細かな配信仕様にも重要なポイントが多く存在するため、それらを発見して共有し、各アカウントに標準化させていくことが重要かと思います。


島田さん:管理画面はダッシュボード的に使うことはできますが、検索クエリを確認することができません。そのため基本的にはエクセルで管理し、キーワード追加や入札に反映させています。


■どのような戦略・KPI設定のもと運用していますか?



玉石さん:Amazon スポンサー広告に出稿する目的は、売上増加や新規ユーザー獲得、競合からのシェア奪取、自社ECサイトの購買ユーザーにAmazonでの購入を促したいのかなど、クライアントやタイミングによってさまざまであるため、ニーズに合わせてKPIを設定しています。ROASを追うことが常に正であるとは言えないので、設定したKPIが出稿目的に即したものになっているのか、常に疑いながら運用することが大切ですね。


島田さん:Amazon全体での売上をもっとも気にしていて、全体から見た広告の貢献度を見て、運用調整を行っています。全体と広告の売上比率を常に見ておくことで、クライアントとの呼吸も合わせやすくなります。



■3つのメニューの中で、もっともお気に入りのメニューは?


玉石さん:商品ディスプレイ広告です。一般的な配信規模としてもあまり目立たないメニューではありますが、目的次第ではユニークな活用がしやすいからです。


島田さん:もっとも売上に貢献してくれるから、スポンサープロダクト広告ですね。例えば洋酒はブランド指名買いをするのが一般的ですが、知名度の低いブランドであってもスポンサープロダクト広告で露出させると意外に売れることもあります。



最後に参加者の方からの質問では、「運用工数はどのくらいかかるのか?」「他媒体と並行して運用する際はどのように評価しているのか?」「ブランド認知のない商品を売りたい場合のコツは?」など、実践的な運用面に関するものが多々挙がりました。



媒体としての歴史がまだまだ浅いAmazonスポンサー広告は、冒頭でも述べたように情報や知見が少なく、運用方法の定石というものがないのが現状です。一方で、手探りだからこそ自分なりの運用方法を工夫する楽しさもあります。今回ご登壇いただいた2社においてもそれぞれに試行錯誤を繰り返して、現在の運用方法を編み出していらっしゃるのだと感じました。


セッションでも繰り返し語られたように、まずはAmazonスポンサー広告独特の仕様や3つのメニューの特性を十分に理解し、そして各クライアントの意向に沿うように運用方法を独自にカスタマイズすることが重要です。今回ご共有いただいた考え方やコツを、一人でも多くの方の日々の運用に活かしていただき、Amazonスポンサー広告の運用品質向上に寄与できれば嬉しく思います。


ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!次回のUnyoo.jp Meetupは企画が固まり次第、Unyoo.jp 上でアナウンスいたします。ふるってご参加のほど、よろしくお願いいたします!

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