ヤフー小野さんに聞く:Yahoo! JAPANが考えるコンテンツマーケティング

読者にとって価値のあるコンテンツを発信することでサービスへの興味を持ってもらい、認知や購買を促しロイヤルティを高める「コンテンツマーケティング」。

ニーズが顕在化したユーザーへの施策が中心となりがちな広告に対して、顕在化していない層や広告に反応しにくい層への接点の創出、ニーズ育成が可能となるマーケティング施策のひとつです。SEOの観点でも価値のあるコンテンツの存在が重要であり、長期的な効果が見込めるためコンテンツマーケティングは普遍的かつ重要な施策として定着しました。



コンテンツマーケティングを実施する際、考えるべき点はコンテンツの内容や制作はもちろんのこと、集客方法をどうすべきか、どのように効果計測し判断していくべきかといった点もあり、それを解決するひとつの手法がYahoo! JAPANが提供する「Yahoo!コンテンツディスカバリー」の利用です。

「Yahoo!コンテンツディスカバリー」はオウンドメディア内のコンテンツやスポンサードコンテンツなどをYahoo!ニュースをはじめとするメディアに出稿、掲載メディアやユーザーごとに最適化して配信できるサービスです。

今回はYahoo!コンテンツディスカバリー サービスマネージャーである小野さんに、Yahoo! JAPANが考えるコンテンツマーケティングについてお話を伺いました。



Yahoo!コンテンツディスカバリーはメディアサイトの記事や動画といったコンテンツを、最適なユーザーに届けることができるコンテンツレコメンドソリューションです。


話し手:
ヤフー株式会社 メディアカンパニーメディア統括本部 ディスプレイ広告本部
Yahoo!コンテンツディスカバリーサービスマネージャー 小野博史さん


聞き手:
アタラ合同会社 浅田梨沙



Yahoo! JAPANが考えるコンテンツマーケティングとは

浅田:なぜコンテンツマーケティングに力を入れようと考えられているのでしょうか?



小野:まずコンテンツマーケティングというのは、ユーザーにとって有益なコンテンツを適切に届けることでブランドに対する信頼感や潜在顧客購買層を獲得するためのマーケティング手法と捉えています。

コンテンツマーケティングをなぜやろうという話になったかというと、スマホの時代になり、情報量が溢れてきています。溢れすぎて、今までのように広告主が言いたいことだけを直接言う形だと消費者にはスルーされてしまうことが多く、実際の潜在顧客には届かないのです。

そこでコンテンツをクッションとして入れることで、ユーザーにとっては「読みたい」記事、広告主からは「伝えたい」メッセージの中間地点となり、今までの手法ではリーチできなかったお客様に対してリーチできるようになると考えています。

消費者はどんどん広告慣れしてきていますので、あからさまな広告だと身構えてしまいます。コンテンツで興味を引き、自分にもメリットがあると伝わるものが大事です。



浅田:なるほど、ありがとうございます。ではその中で「Yahoo!コンテンツディスカバリー」を立ち上げられた経緯や特徴についてもお伺いできますか。



小野:これは元々Yahoo!ニュースが起点であり、広告商品として作ろうとしたものではありません。メディアは基本的には媒体社に記事を書いていただく事業モデルなので、媒体社といかに友好な関係を築いていくかが課題でした。

特に4年ほど前から競合サービスが台頭しはじめ、媒体社に貢献できるようなソリューションを提供しようというところで回遊モジュールをフックに「Yahoo!コンテンツディスカバリー」は誕生しました。

ユーザーの読了体験のためには回遊モジュールを記事下のみにとどめ、トップページやファーストビューに置かないようにしています。また記事の下というのが「読む」意欲の高いユーザーが最も目を止める場所だということも分かっています。

この回遊モジュールもただランダム表示をしているわけではなく、提携しているTaboola社のレコメンドエンジンによって最適なコンテンツを最適なタイミングで出しています。結果的にユーザーは長時間メディアにとどまって、エンゲージが上がっていくというモデルです。


浅田:レコメンドエンジンではどのようなデータを使って最適化していくのでしょうか。



小野:100以上の要素がありすべてはお話しできませんが、記事間のコンテキストだけでなくユーザーの行動履歴や地域、デバイス、時間帯などの組み合わせで、その瞬間にこのユーザーへどのようなロジックでコンテンツを表示するとクリックされるか、を機械学習しています。

日本のレコメンドエンジンはコンテキストベースのものが多く、日本のメディアはコンテキストが大好きなんですね。前の記事と関連性のあるものが出ていると、「精度が高い」と思う傾向にあります。しかし実際のユーザーはそんなことないんです。例えばとある政治家の演説を見た後にまた同じ政治家の演説を見たいか?と尋ねるとイメージしやすいでしょうか。

趣味嗜好が変わっていったときでもそのときに読みたいものを重視することで、単純な文脈で出すよりもユーザーはクリックして読了してくれます。


浅田:ロジックについてヤフー側からTaboola社へリクエストすることもあるのでしょうか?



小野:一つの面で同じようなカテゴリーの記事ばかり表示せずに、なるべくバラエティ豊かになるようにという話は伝えています。

ずっとユーザーに回遊モジュールを楽しんでもらうということが重要で、同じようなカテゴリーの記事を出し続けていたら枠自体を見なくなってしまうと思います。そのような状況に陥ることは避けたく考えております。短期的ではなく、長い目で見て継続的にそのゾーンを活かしていくように、ということを考えています。






運用のポイント

浅田:コンテンツディスカバリーを運用する際に気を付けるべきことはありますか?



小野:Yahoo!コンテンツディスカバリーはリスティング広告などの運用とは異なります。リスティング広告は運用者が「自分で運用する」という思いが強いですが、Yahoo!コンテンツディスカバリーではレコメンドエンジンが最適に機械学習を進められるような環境を整えてあげることが重要です。

運用判断の際、まず重視していただきたいのはクリック率です。1キャンペーンあたり7~9個ほどアイテムを設定し、クリック率の低いものは止め、クリック率の高いものをベースに新しいアイテムを追加していくというサイクルが基本形となります。ユーザーは広告を見にメディアを訪れているわけではなく、コンテンツを読みに来ているので、その体験を損なう可能性があるものについては、厳しく審査しています。

また、Yahoo!コンテンツディスカバリーのみで直接コンバージョンを狙うにはハードルが高いので、コンテンツを読んでもらったあとに何をするのか、態度変容と認知を求めて終わりで良いのかといった点は最初から設計しておくことをお勧めしております。リスティング広告などと同じKPIで始まった案件は目的の達成が厳しくなることもありますね。上手に活用いただいている企業とそうでないところで差が出ています。


浅田:確かに単純に広告媒体のひとつとして捉えてしまうと失敗しそうですね。そうすると推奨されるKPIは「読了率」でしょうか?



小野:滞在時間や読了率ももちろんですが、一番は今まで出会えていなかった人にコンテンツの力で出会えたかどうか、窓口を広げられたかどうかが大きいのではないでしょうか。そこからブランドリフトがついてくるかどうか、を繰り返していく中で長期的にコンバージョンしてもらう流れを作っていくことになるかと思います。

ブランドリフトはいくつかの業種でテストしたこともありますが、やはり上がります。アトリビューション分析をしてもコンテンツ経由のユーザーは寄与度が非常に高い。現在はそのようなデータは外部のツール頼りになってしまっていてなかなか証明が難しいのですが、各ユーザーファネルの中でソリューション同士をつなぐのはやはりデータの力だと思いますので、今後もっと改善していきたいと考えています。



プレミアムコンテンツディスカバリー

浅田:ここまでYahoo!コンテンツディスカバリー(YCD)について伺ってきましたが、今年Yahoo! JAPANは「スマートフォン版Yahoo!ニュース プレミアムコンテンツディスカバリー」(PCD)の提供も開始されました。今、敢えてプレミアムな枠を作られたのはどういう意図があるのでしょうか?



小野:YCDではできないような配信が可能になったためです。Yahoo! JAPANのデータを使用し年齢・性別をはじめとしたターゲティングの指定ができ、広告枠にも一社独自で配信できるため、ブランディングのコントロールがしやすくなっています。


プレミアムコンテンツディスカバリー掲載イメージ


YCDの最適化で狙うべきターゲットを見つけ、PCDでより精度高くコンテンツを配信する。そういったより深い形でのコンテンツマーケティングができると思います。広告主のデータを活用することも可能です。

また、どうしてもターゲットを絞って配信したいというニーズがありました。例えばお酒は未成年を除外して配信したい。あるいは女性用水着など、本来は女性に届けたいのに、男性がついクリックしてしまうためレコメンドエンジンは男性に配信強化してしまうということもありました(笑)。このような場合はYCDで機械学習させるよりも、PCDの方が上手くターゲットにリーチできると考えています。


浅田:なるほど(笑)。PCD単体ではなく、YCDとの組み合わせで使う、あるいはYCDでは難しい業種で使ってほしいというイメージですね。



コンテンツマーケティングを盛り上げていくために

浅田:最後に、今後の展望についてお聞かせください。



小野:コンテンツマーケティングというソリューションがきちんと根付くようにしていきたいです。広告主、ユーザー(読者)、メディアの三方良しであるビジネスができるか突き詰めて考えていきます。

また管理画面の使いやすさについてもブラッシュアップしていきます。従来より開発の体制も強化されているので、どんどん変えていきたいです。

そして現在はコンテンツの内容の良し悪しまでは見られていないのですが、今後はどういうコンテンツ内容が良いのかというところまで知見を溜められればと思います。Yahoo! JAPANとしてもコンテンツマーケティングを盛り上げていきます。

浅田:ありがとうございます。楽しみにしています!

著者
Tags

Related posts

Top