ショーンK、サムラゴウチマモル、オボカタハルコに学ぶ大型案件獲得のコツ

「うまい話で裏切らない」ストーリーが重要だ

このストーリー性は仕事でも大事なことで、とりわけ、競合提案などの重要な局面で非常に大事なことだ。

なぜなら、クライアントは複数の提案を同時に受ける訳なので、クライアントの記憶に残る印象的な話をした方がいいからだ。

ショーンK、サムラゴウチマモル、オボカタハルコ現象では、「うまい話に騙された」という感じだろう。しかし、私たちはクライアントを騙してはいけない。当然だ。

なので、「うまい話で、かつ、裏切らない」という提案をしなければならない。

この「うまい話」が非常に重要で、クライアントへの提案では最も神経を使うところだ。経歴詐称や「全聾の天才作曲家」というウソの話を作ってはいけない。でも、「なるほど、そういうアイデアがあったか!」「そういう話ならうまく行きそうだ!」とクライアントに感じてもらう提案を心がけたい。

そして、「裏切らない」話になるように工夫する。

「なんかうまい話だけど、そんなに簡単じゃないでしょ」などと疑念を持たれないように、データや分析結果、シミュレーションなどを駆使して、単なる、うまい話ではなくて説得力のある話にしていく。

提案段階では、実際はやってみないと分からない事ばかり。それを、いかにして、「裏切らない」話にできるか、ここに勝負がかかっている。

なので、私は「うまい話で裏切らない」をいつも意識して提案を考えている。

何を売っているの?

この「うまい話」をどのように作っていくか。いつも成功する訳ではないので、自分が意識していることが参考になるかは分からない。ただ、提案作成段階では、自分は「何を売っているのか」に注意を払っている。

What we sell

よく見かけるケースで悪い例だと自分が思うのは、表紙だけ変えて他のクライアントにも持っていけるような提案資料を使ってプレゼンすることだ。

何度か見たことがあるのだが、A社に対しての提案資料をほとんど表紙だけ変えてB社にも提案しているケースだ。広告の運用を売りにしている代理店の場合に、自社の運用の強み・メリットを主軸にして提案資料を作っている。そうすると、ほとんど同じ内容の話をA社にもB社にもしているのだ。これは、運用のノウハウを売りにしているということだ。

あるいは、媒体社と特別のディールを結んでいて、「このメニューや広告枠については弊社しか扱えないんです」というのを売りにしているケースもある。

あるいは、「このツールは独自で開発したツールで、こんなにスゴイんです」と自社ツールの強み・メリットを売りにしているケースもある。

wrong1

このようなケースだと、私自身は、良い提案だとは感じない。

なぜなら、自社の強みを売っているに過ぎないからだ。その自社の強みがクライアントのニーズに合致している場合は、それでもいいかもしれない。

説得力と共感を作るのは、個別の課題に対応したアイデアとストーリー

しかし、その提案は、それぞれの個別クライアントの状況に応じて深く考えた提案にはなっていない。説得力あり、かつ、共感してもらえる話にはならない。

本来、それぞれのクライアントの、それぞれの個別の課題があって、そこを深く抉り出して、それぞれの個別の具体的な状況に対応して、個別のアイデアと提案のストーリーを考えなければ、印象的な刺さる提案にはなり得ないと思っている。

「あー、うちのことをよく考えてくれているなぁ」とクライアントに感じてもらうことが大事だ。それが共感の礎になる。

つまり、個別のクライアントに対してオリジナルのアイデアとストーリーを作り上げて、それを提案の売りとして主軸にしなければ、「あー、なるほど。そういうアイデアがあったか!」とか「そういう話ならうまくいくかもしれない」という「うまい話」にはならないと思うのだ。

その「うまい話」があった上で、自社の独自のノウハウなど強みがその話の中で活かされるようにストーリーを展開した方がいい。

「うまい話」を作る。そこにコダワル。つまり、「アイデアとストーリーをクライアントに売るんだ」という意識を強く持たなければ、良い提案にはならない。

ツギハギの提案書は避けたい

もう一つ、頻繁に目にする悪い例を挙げておきたい。それは、ツギハギの提案書である。

提案日までの時間があまりない場合にありがちだし、チーム全体を束ねるリーダーが不在だったり、リーダー自身にストーリーを構築する能力が不足している場合に起こりがちだ。

たとえば、総合広告代理店でもネット専業代理店でもよく見るのだが、どのターゲットに向けてどのようなメッセージを伝えるべきか、つまり、Who-to-say や What-to-say、How-to-say についての調査はマーケティングセクションが担当して資料を作り、クリエイティブのパートは制作チームが担当し、メディアプランは業務推進部が担当し、広告運用のパートについては運用チームが資料を作成して、それらをつなぎ合わせて提案資料を作成するケースがよくある。

このような分担作業自体は悪くないと思うのだが、制限時間内で全体のストーリー構成を統括するリーダー的存在が不在だったりすると、結果として、全体のストーリーに一貫性がなく、ちぐはぐで、ホコロビの多い、薄っぺらい提案になってしまう。

wrong2

このようなツギハギの提案も絶対に避けたいところだ。すべては「アイデアとストーリーを売るんだ」という強い意識をチームリーダーを中心に持つ事ができるかに懸かっていると思う。

ロジカルシンキングも問われる

さて、このアイデアとストーリーを作ることができれば、あとは説得力を付ける工夫をする。

説得力のある話にするコツとして、自分なりに意識しているのは、本質的なクライアントの課題を抉り出して、その課題を解決する材料をピックアップし、その材料をロジカルに展開する。そして、うまくクライアントに分かりやすいストーリーに仕立てていくことだ。

ここでは、論理的な思考回路、ロジカルシンキングの能力が問われることになる。ロジカルシンキングをどのように修得するかについては今回は触れないが、簡単に言うと、日常的に論理的に考える癖を付けるしかないとは思う。

そもそも、論理的で説得力のあるストーリーを作るためだけではなくて、その前段階で必要な作業、つまり、クライアントの本質的な課題を抉り出す作業にも、ロジカルシンキングが要る。その能力があるかどうかで、コンサルタントとしてやっていけるかどうかが決まってくると思う。

現象と課題を識別しよう

余談だが、クライアントから出てくるオリエン資料に、明示的に、課題が記載してあることもよくある。だが、クライアントがオリエン資料に書いている課題が本質的な課題であるとは限らない。

多くの場合、クライアントが掲げている課題は、「現象」であることが多い。

デジタルマーケティングの場合、課題は「CPAが高騰していること」「コンバージョン数が伸びないこと」だとクライアントから言われることが多い。でも、それは課題ではないですよね。それは、いま起こっている現象ですよね、と感じてしまう。

たとえば、CPAが高騰している場合に、それが起こっている背景や理由、原因がある。その原因を突き止めて、そこに対して解決策を施さない限り、現象が改善することはない。

その原因こそを解決すべき題材として課して(つまり、課題として設定し)、実現可能な解決策をソリューションとして提示して実施していく、PDCAを回していく。そういうストーリーを提案しなければ説得力のある話にはならない。

クライアントのオリエン資料は、社内事情などもあって各部署の力関係などを反映した形で問題点を単に並べているケースもよくある。あるいは、そもそもクライアント自身が自社の課題について理解していないケースも多い。

それらを踏まえて、解決すべき課題を客観的に指摘する、そして、実現可能な解決策を提示することができるかどうか。デジタルマーケティングコンサルタントの力量が問われる。

資料の最後にゴールイメージを提示しよう

そして、この課題の抽出、アイデアとストーリーをロジカルに構成することができたら、資料の最後に必要なのが、ゴールイメージをクライアントと共有することだ。

私に仕事を依頼していただき、このアイデアとストーリーに従ってエグゼキューションして、PDCAを回していけば、こういう結果に導いていきますよ、つまり、こういうゴールに辿り着くというプランになっていますよ、という話をきちんと示しておくことができるかどうか。これも提案段階で大事なことだと思っている。

ここまでの話を図に示すと、以下のような感じになる。

eye-catch_20160413

ざっくりとしているが、おおむね、こういう流れで提案資料を構成しているのが自分のやり方だ。

アイデアがあって、それを基にして施策がいくつかある。その施策が課題を串刺しにしていて、そのままロジカルにゴールイメージにつながっていくストーリー構成である。

次ページ:フレームワークやモデル、セオリーも使っている

著者

Related posts

*

Top