Kaizen Platform 瀧野さんに聞く:テクノロジー×知見でクリエイティブの未来を進化させる

近年、Google AdWordsのユニバーサルアプリキャンペーンやスマートディスプレイキャンペーンに代表されるように、運用型広告の世界では入札単価だけでなくターゲットや配信プレースメントも自動的に最適化できるようになってきました。


しかし何をどう訴求するのか、クリエイティブについてはある程度人間が考え、制作することが必要です。さらに、FacebookやTwitterなどSNS広告においては同一クリエイティブに対する「飽きやすさ」も課題に挙げられ、定常的に複数クリエイティブを制作・配信するスキームが求められています。


このスキームを上手く作れるかどうかでプロモーション成否が分かれることもあり、私たちは改めてクリエイティブをどう制作していくか、向き合う必要があるのではないかと感じています。


そこで、今回はKaizen Platformのプロダクト責任者である瀧野さんに、動画広告を中心としたクリエイティブ改善ソリューション 「Kaizen Ad」によってもたらされるクリエイティブの未来についてお話を伺いました。

話し手:
株式会社Kaizen Platform プロダクト責任者 瀧野諭吾さん

聞き手:
アタラ合同会社 浅田梨沙


※このインタビューは2018年4月に行われました。





人の価値を可視化し、事業と人両方の成長の場をつくる



浅田:まずは御社と瀧野さん自身の業務内容をお聞かせいただけますか。




瀧野:Kaizen Platformは創業してちょうど5年になります。もともとはウェブサイトの改善に使うA/Bテストのアイデアをクラウドソーシングで提供するというサービスから事業を展開していました。創業してから3年はそちらを主力事業としていたのですが、クラウドネットワークのクリエイターはいわゆるウェブページのアイデアを出すだけでなく様々なマーケティングの専門知識を持った人材が多く存在しており、広告クリエイティブにも転用できるということで、1年半ほど前からは広告事業の方にも踏み出しました。(※1)
日本・韓国・アメリカに拠点を持っており、Kaizen Adの需要は半分以上が国外という現状です。


私自身はKaizen Platform創業時からのメンバーで、プラットフォームの責任者としてプラットフォームの成長戦略や、それを実現するためのロードマップを実行する部分の指揮をとっています。

※1 参考リンク(PDF)





浅田:ありがとうございます。Kaizen Adというサービスはどのようなテーマで始められたのでしょうか?




瀧野:Kaizen Platform自体ウェブページの改善だけをやりたかったわけではなく、「人の新しい働き方を作る」というテーマで始めました。つまり、マーケティングの新しいアイデアを試してみて、それがどうパフォーマンスに現れるのかを知り、人の知恵の価値をどう可視化するかに重きをおいていました。そんな中で動画広告は圧倒的に試行される回数が多かったり、アドテクノロジーを取り巻く環境に変化があり、クリエイティブニーズが非常に高い中で人の価値を可視化する流れにおいて非常に良い切り口なのではないかと思い、始めました。




浅田:そうすると、御社の中でツールを使用して自動的に最適化していくというよりは登録しているクリエイターの方々のアイデアを最重要視されているということでしょうか?




瀧野:そうですね、ツールやテクノロジーも大切ではあるのですが、あくまでアプローチの一つと捉えています。どういった広告目的なのか、それがブランド認知なのかそれともダイレクトレスポンスのようなパフォーマンスなのかによって、得意な人が変わってくると思います。


例えばブランド認知をする際にどうやったら消費者にとって意味があるのか、欲しいと思えるのかのアプローチ方法は人のクリエイティビティが非常に重要になってくると考えています。同じ商品でも機能を推し出すのか、それともブランドイメージを推し出すのかのアプローチは千差万別で、企業が持っているアイデアもあれば、外部の人間が言うことで見つかる気づきもあります。


つまり、テクノロジーでは解決できない領域を人が担っているわけです。それぞれ異なる得意領域を持つ人が、得意とする場面や条件において発揮する力をどんどん溜めていくことで、どういう人がどういう場面において有効なのかがわかってくる。その「溜めていき、分析する」の部分は、テクノロジーが担えるものであり、その意味でのテクノロジーの活用はかなり重要だと我々は考えています。


最適化のアルゴリズムや機能面は我々のような小さな会社ではなく、膨大な研究開発費を投入している大企業の方が強い。日本においてIT人材が限られている中で、我々は我々でないと築けない価値を作りに行くというところを優先しています。一方でどうしても必要な最適化文脈でのテクノロジーも当然あり、それはどちらかというと人に行動させるようなテクノロジーへの投資になるわけです。


例えばアドテクノロジーの部分でいうと、ある程度キャンペーンを実施した際に、このクリエイティブではもう飽きられてしまっているというタイミングを人に認知させるというのは、テクノロジーがサポートしてあげないとできないことです。機械学習やディープラーニングといった先進的なテクノロジーへの投資というよりは、そうした部分でシグナルを出したり、運用する際に人がいちいち入れ替える手間をテクノロジーが代替する、人を支援するための投資を重視しています。




浅田:人を支援するためのテクノロジーへの投資というのは、興味深い視点ですね。クリエイターの方々のスキル差というのはどうしてもあるかと思うのですが、どのようにして品質を担保していらっしゃるのでしょうか?




瀧野:ある程度経験を持ったクリエイターでないとうまく動かせないということは当然あります。ですが、クリエイティブ1つ作るにしても非常にシンプルな、例えば今まで静止画であったものに動きをつけるだけといったものは、動きをつける技術さえあればできることです。


もう少しハイコンテキストな、どうやって動画の中で訴求のストーリーを構成していくかといったことは、ツールを使って動きをつける以外のスキルが必要になります。これはやってみないと伸びないスキルではありますが、我々のプロダクトでは1回の発注に対して複数のアイデアを投稿できるので、経験のある人に4枠をあげて、少ない人に1枠をあげるといった差配をすることで新しいアイデアが出る可能性を残しつつ、レベル設定をしています。




浅田:クリエイターの方の育成という意味でも、重要な場となっているわけですね。




瀧野:Kaizen Platformは事業と人両方の成長を達成する場でありたいと思っています。事業については、当然顧客は事業を成長させたいからプラットフォームにアイデアなどのケーパビリティを求めますし、逆にクリエイターは自分のスキルを発揮できる機会を求めているわけです。実際にそれがマーケティングで使われると発見が必ずある。我々が「Kaizen」と名付けている理由がまさにそこで、プラットフォームを通じて結果をお互いに共有し、どうすれば良かったのか、良くなかったのかを共有することで、次にもっと良いアイデアを出せるようにすることを顧客にもクリエイターにも提供していきたいと考えています。







Kaizen Adでアイデアの発見効率を上げる


浅田:Kaizen Adについて詳しく教えていただけますか。




瀧野:Kaizen Adでは、モバイルファーストという部分を重要視しています。もともとウェブサイトの改善を行う中で、スマートフォンからのトラフィックが非常に多くなってきていると感じていました。この流れは年を追うごとに加速化してきており、特にコンシューマー向けのサービスやアプリは8割くらいがスマートフォンという時代に突入しています。
つまり、スマートフォンを使うシーンに特化したクリエイティブの表現の仕方が求められている状態にあると思っています。モバイルは移動時間や隙間時間に使うことが多いので、浅い興味や集中していない環境で興味をひくための最適なアプローチというのは、今までのテレビを見ていた状態とは異なると思います。ですので1本の動画を作りこむよりも複数人のアイデアを集めた方がいいと考えています。モバイルにおける正解がまだ皆わからないという共通の課題感もあるので。


もう一つは、クリエイティブの消費寿命の早さです。プレースメントがFacebookなどの巨大なパブリッシャーに寄り始めている中で、同じ所で同じクリエイティブばかり見ていると無意識のうちに無視してしまうケースは非常に多い。そうした中でフリークエンシーに応じて違ったアイデアを出すといったことは非常に有効な策です。限られたものでは飽きられてしまうし、正解もわからないのであれば、どんどん入れ替えて見せていくことで良いアイデアの発見効率を上げられると思います。
特にFacebook、Instagramはユーザーデータを膨大に持っており、興味のある人にだけ出し分けるアルゴリズムがあるので、それをうまく活用するには1つだけ入稿するよりも、できるだけたくさんのアイデアを入れて効率よく正解を発見することが重要だと考えています。
また、現在11ヶ国にクリエイターがいるので、インバウンドやアウトバウンド向けに広告を出したい際に現地の人の感性でクリエイティブが作れるという強みもあります。




浅田:同じプロモーションで複数動画を制作する場合、メッセージは基本的に一緒で、出てくるコピーや動画の構成を変えるバリエーション作成になりがちかと思うのですが、御社の場合は完全にメッセージや切り口が違うものを複数出していただけるイメージでしょうか?




瀧野:誰もが戦略設計をするのは難しいと思うので、ある程度軸を決めて、自分のアイデアを使ってほしいのか、クリエイターから集めたいのかを選んでいただけるようにしています。
タイプによって異なりますが、例えば訴求内容をずらしてほしくないというケースは当然あると思います。人が広告に目を止める際は文字というより絵で見るので、絵として違うことで全然別物として認識されます。ある程度しっかり見ようとすると文字を見始める。その際にコピーの仕方で変わってくるわけですが、それもいくつかの要素の掛け合わせでうまく設定するのは非常に難しいので、我々はクリエイティブの発注画面において、何をキャンペーンの目的にしているかを提供し、バラエティの出し方はクリエイターに任せています。


例えばセール情報の配信を動画でやる際に、ディスカウントしているというメッセージはずらしたくないとします。ですが「お得だよ」と伝えるには何%OFFなのか、期間限定の話なのか、いくらからいくらになったかの幅の話なのか、訴求の仕方が人によって異なります。そこを委ねるというやり方もあるし、グラフィックだけで目を留めていただけるかどうかの検証のやり方もあると思います。




浅田:1回の発注で何アイデアか出てきて、その実施結果からもう一段階踏み込んで再発注ということはできるのでしょうか?




瀧野:当然あります。再発注の機能もありますし、どういう条件においてどういうアイデアを出してどういう結果だったかのデータを保有しているので、次の発注の際にはそれを添付するイメージです。前回こうだったから、次はこうしたらいい、ということを人が考えられるようにしています。
良い結果でも悪い結果でもフィードバックがないと同じものが出てくるケースもあるし、さらに良くないことになるケースもあるはずです。フィードバックデータを提供することで、クリエイターがより良くなる環境づくりを重視しています。






媒体社との取り組み



浅田:フィードバックデータはどのようなものが見られますか?




瀧野:現在、各メジャープラットフォーマーとAPIの接続を進めており、直接クリエイティブに対してのパフォーマンスデータが取れるようにしたいと考えています。どれくらいの期間使われたか、どのくらいのインプレッション数なのかなどが見れるようにしていきます。そこに、どういうキャンペーンでどういう目的で作られたのかというデータが付いてくると、数字だけではなく様々な解釈ができるようになります。
そのためまずはAPIの開発を進めているのと、今後は人にフィードバックできるような仕組みを考えています。結果を見てより良くするにはこういうアイデアがあるのではないかというコミュニケーションや、ソーシャルフィードバックが出せるのも面白いアプローチだと思います。こういった「情報の解釈」を後押しする機能の形成を進めています。




浅田:データの分析をされるのは、クリエイター自身なのか、それとも別に分析部隊がいらっしゃるのでしょうか?




瀧野:クリエイターが直接データを見て、何を作るかを考えるのがいいのではないかと思っています。クリエイティブのデータはウェブサイト分析とは異なり、キャンペーンの前提があってどのくらい配信されてどうだったのかというものですので、問いとしてはシンプルかつ面白いものです。これに人がアイデアを入れるというところまで、できるだけ伝言ゲームなしで実施した方が良いと思います。
分析をとても細かいレベルまでやろうと思うと非常に大変ですし、コストもかかります。それよりもまずは今あるデータで判断し、リードタイムを短く、確からしい結果を見極めていくことが大事かと思います。




浅田:APIが接続されているプラットフォームは何がありますか?




瀧野:現在はFacebook、Instagramとの接続を進めています。今後はGoogleやTwitterともつながっていく予定です。ただ、プラットフォームごとにユーザーのリテラシーやクリエイティブとの親和性が異なると思うので、プレースメントに応じた最適な表現が求められてくると思います。各プラットフォームでどこからどう進めていくのか変わってくるというのは当然あると思います。




浅田:クリエイターの得意領域も、プラットフォームごとに異なってきますよね。




瀧野:そうですね、例えばYouTubeでは動画を視聴している最中に広告が出てきますが、Facebookなどのフィードだと指すら止まらない状態で飛ばされてしまうこともあり、Instagram ストーリーズであればスワイプアップなど操作の違い、ユーザーに起こして欲しいアクションに対するギミックの違いもあるので、クリエイターによって得意不得意など違うのかなと思います。




浅田:そういうプラットフォームの研究と言いますか、私たち運用者は運用する中でつかんでいくような媒体特性について、学習はどのように行われているのでしょうか?




瀧野:まず我々単体では、どういう意図で発注がかかったキャンペーンがどういう面に出てどう使われているのかというデータは見ることができますので見ています。
あとはプラットフォーマーとの接続を非常に重視しているのですが、その理由のひとつとしてクリエイティブのベストプラクティスの効率的な発見を一緒にやりましょうという意味もあります。プラットフォーマーとしては面白いクリエイティブがたくさん出ることで広告出稿費も増えますし、ユーザーエンゲージメントも高まるという世界観を作られたいわけです。クリエイティブの研究に対する投資もされている。一方で我々はクリエイターのリソースやアイデアを持っている。そこで一緒に研究するというアプローチをやっています。


そのベストプラクティスをプラットフォームで学べるようにするとか、発注のアシストに使うといったことが我々にできることとして力を入れています。
このような取り組みは広告代理店さん、たとえば電通さんとも進めています(※2)。我々は広告がただパフォーマンスを求めるだけのものになってしまうと業界全体として良くない方向にいくのではないかと思っていて、良いクリエイティブをどう作るかという部分に力点を置いていきたいと思っています。


※2 参考リンク:




浅田:ベストプラクティスの共有などプラットフォームとの取り組みは、どのように進められていますか?




瀧野:まだまだモバイルデバイスを対象にした動画広告の在り方には改善の余地が大きいので、効果があるのかどうか企業の皆様もわからない場合が多いのが現状です。動画は静止画のバナーのディレクションよりも深いアイデアやリソースが必要なので踏み出すまでに時間がかかりますが、企業には動画広告のクリエイティブにもっと寄っていって欲しいと思っています。というのも、モバイルだと面白い動画クリエイティブを出さないと、マーケティングのプロモーション意義を発揮する以前にユーザーが見てくれないのです。


具体的には毎週~隔週、Facebookのオフィスでクライアントの方たちとFacebookのクリエイティブショップという研究チーム、我々、そしてクリエイターが集まって一緒にワークショップをやっています。このキャンペーンでこのプレースメントにはどういうアイデアがいいんだっけ?ということをディスカッションし、実際にクリエイティブを作るところまでをやります。それが事例として溜まってきていて、広告の配信にも繋がっています。







プレースメントごとに最適化したクリエイティブを


浅田:ゼロから動画クリエイティブを作ることもあるのでしょうか?




瀧野: 我々は動画制作におけるポストプロダクションのポジション、何かの目的に最適化したい時に使っていただくプラットフォームだと思っています。ゼロベースで制作する動画はもともとずっと動画界隈にいらっしゃるプレイヤーさんたちが強いと思うので、そういったプレイヤーさんとの提携もどんどん進めています。(※3)
彼らがお金をかけてしっかり作ったものを、プレースメントや目的に応じて編集する際に我々を使っていただくイメージです。
最近は、SNSで企業アカウントを作っていらっしゃる企業さんが毎日投稿する動画のクイックな編集といったニーズも増えてきています。オーガニック投稿も結局は広告費を払っていないだけで企業としてはプロモーションしたいことに変わりはありません。訴求したいことや素材を入れたらすぐクリエイティブとして出てくるという部分において弊社は強みがあるので、そういったニーズも増やしていきたいですね。


※3 参考リンク:

3ミニッツとKaizen PlatformがSNSに最適化した動画広告配信サービスで提携
3ミニッツとKaizen Platformが協業。SNSに最適化した動画広告配信サービスの第一弾として、Instagram ストーリーズの新広告フォーマット開発とサービス提供を開始




浅田:プレースメントごとに最適なサイズがあったり、横型の動画よりも縦型の動画の方が有利だったりといったテクニックが色々とあると思うのですが、そういったバリエーションを複数作っていただくことも可能なのでしょうか?




瀧野:今までは1つのプレースメントに対して1つのサイズを決めて発注していただき納品するパターンが主力だったのですが、広告運用の実態を見ながら商品開発を進めており、商品のパッケージ内容はどんどん拡充させています。1つ1つの面にそれぞれ異なる訴求をして作り分けられる方もいれば、常に回している広告があり、ある程度枯れてきたら一括して入れ替えたいという方もいらっしゃいます。


本来はプラットフォームごとに1つ1つ設計してコントロールできればベストですが、そこまで大掛かりにできるケースは少ないのが現状だと思います。
弊社の商品は、ある程度定常的に回しているキャンペーンにおいてどうしたらいいのかという部分に強い。たとえばFacebook・Instagramの場合、これまで展開していた広告素材や新しく使いたい素材を共有いただければ、Facebookであればフィードとインストリーム、Instagramであればフィードとストーリーズの4つに、静止画と動画の組み合わせ、かつそれぞれの面にサイズやスワイプアップのような独特の表現を最適化した状態で納品します。たくさん回す必要がある時や、そんなにコストをかけられない時に有用なのではないかと思います。


また、1つの面に対してバラエティを3セット用意するといったものもあります。1つのセットだけでは摩耗していくので、複数パターンの中で良い表現を見つけ試していくというパッケージですね。




浅田:私もFacebookの方とお話ししていて、1つのサイズを登録すれば各プレースメントに対して自動で表示もしてくれるものの、InstagramならInstagram用に最適化されたクリエイティブを登録した方がCTRなどのパフォーマンスが上がるということを伺いました。多くの運用者にとってそういったことは試したいとは思いつつ、なかなか難しいのが現状ですよね。




瀧野:1つ1つ試していくのって、とても手間だと思うんです。でも横長のクリエイティブをプレースメントの最適化を自動に任せてしまうと意図しないところで見切れてしまったり小さすぎになってしまうということもよくあります。予期しない見え方を避けるのであれば、多少コストがかかってもそれぞれに最適なものを使っていただいた方が、ROASで見た際にはとても良くなるケースは多いと思います。




浅田:FacebookとInstagramの話をしていただきましたが、その他のプラットフォームにおいての最適化も進めていかれるのでしょうか?




瀧野:そうですね、今はGoogleさんとYouTubeやGDNで最適化できるGoogle版の商品の開発を進めています。電通さんとはプラットフォームを横断して、好きなものを選んで発注できるというパッケージの開発も進めています。そこにLINEやTwitterを入れたり、独自の面を追加して選べるといったカスタマイズもできるように進めています。
やはり広告主側からすると特定のプラットフォーマーの枠だけでなく、マーケティングのコミュニケーションデザインにおいて、どこに出したいかが異なると思います。
プラットフォーマーだけでなくメガパブリッシャーと呼ばれるところに出したいニーズもあります。自社のニーズに合わせて選べるという事も、我々としては進めていきたいと思っています。




浅田:広告主さんからすると大変うれしいことだと思います。これが実現すると業界全体が変わる気がしますね。




瀧野:ただリサイズするだけでなく、プレースメントによって表現を変える部分を人が担保するということを、クリエイターの方々に期待しています。




浅田:ちなみに、ブランドリフトなど配信データだけでは計れない情報は見られるのでしょうか?




瀧野:現在、Googleさんとやろうとしているのが、チラシを動画化することです。来店率の取得ができるようになり、その動画広告を見た人が来店したかどうかで成果を測ることが可能になったわけです。
例えばある量販店様との事例で、セールのチラシの入稿データが入ってきた瞬間に動画広告クリエイティブを作ることを可能にしています。新聞を始めとした紙媒体は発行部数の低下などの理由でチラシを手にとってもらう機会を得るためのコストが高くなってきていますが、依然としてすごく有効な集客装置でもあります。当然そこに機能するクリエイティブの形も全然異なってくると思うので、それを1個1個取り込んでいくという動きを今後やっていこうと思っています。




浅田:例えば3つの広告が流れていて、Aはすごくクリック率は高いけれど、来店に一番寄与していたのは実はBの広告だったということがわかるようになってくるということですよね。




瀧野:その通りです。商品を見せる順番、その時期流行しているものでマジョリティを取りに行った方がいいのか、コア層に受けるものをピンポイントで出した方がいいのかといった検証もできるようになってくると思います。






今後の展開


浅田:今後の展開でさらに考えていらっしゃることはありますか?





瀧野:まずはどういうクリエイティブがどういう時に効くのかという知見を拡充していきたいです。我々のプロダクトの画面に、これまでに溜めた事例を商品棚のようにユースケースで絞り込んで、最適な発注の型を特定できる項目があります。まずはここのラインナップを増やしていくことが非常に重要だと思っています。世の中の流れに合わせてワークするクリエイティブの表現は変わっていくと思うので、人がそれを見つけて、活用できるようにしていきたいですね。

プロダクト画面(クリックで拡大)





もうひとつはデータ連携の部分。データを連携することで人とニーズのマッチング精度を上げていきたい。そのためにデータの取得や定性的なフィードバックの充実を図っていきたいです。クリエイティブがキャンペーンをまたいで使用されたときにどのような傾向があったのかをトラック出来る仕組みを開発しています。そうするとクリエイティブのパフォーマンス変化やどういったときに使用されたかといった多角的なデータが見られるので、制作のアイデアにできるようにしていきたいと思っています。


また、最低限の人のオペレーションの手間を省くための開発も進めています。広告運用で一番面倒なのは、パフォーマンスを見てチューニングするというところ。アルゴリズムがやってくれるのですが、ネタがなくなるとアルゴリズムもチューニングのしようがなくなってくる。クリエイティブも枯れたものしか残っていないなど一定量を下回ったら自動的に発注が飛んで、新しいクリエイティブがたまっていくといった仕組みづくりを考えています。




浅田:発注の手間をなくして、常に改善し続けるイメージですね。




瀧野:自動的に飛ぶことでクリエイターにとってもリアルタイムでの変化が感じられるというメリットがあります。

最後は、人の教育の部分です。クリエイティブの正解が分からない中で、どうしてそのクリエイティブが効いたのかという部分の知見の共有ができるような情報共有への投資を行っていきたい。ワークショップもその一環なのですが、面白いクリエイティブを皆で楽しんで作っていく場をどんどん作っていく、そしてそこへの呼び水として、教育の場や共有の場をプラットフォーム上で実現していきたいと思っています。バナー広告は邪魔な存在、と思われるのではなく、面白いからつい見てしまうような広告に進化させていきたいという想いで、申し上げたようなことに挑戦していきたいですね。




浅田:私も共感いたします。貴重なお話をありがとうございました!

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