人ベースのマーケティングが進むことで再び注目されるCRM

「人ベース」の流れは待ったなし

昨年から人ベースのマーケティングについての各社の考え方や取り組みを所々で聞くようになった。年末にはほぼ毎日、それに関連した話をしていたかもしれない。


各社によってその概念のネーミングが違うので、いろいろな言い方が存在していると思う。


  • People Based Marketing
  • People Driven Marketing
  • 人ベースマーケティング
  • IDベースマーケティング


これらは基本的には同じ意味だと思っている。人ベースのマーケティングは、異なるデバイスや、オンラインとオフラインをまたぎ、消費者やその行動をリアルタイムに特定したファーストパーティーデータを統合の上、活用することで、個々人に応じた消費体験をシームレスに提供するもの、と捉えている。


この背景としては、Cookie の仕組みを利用した広告のターゲティングやトラッキングが、いよいよ現実的に厳しくなってきたことが挙げられる。このため、個人をより特定できる情報を捉え、分析し、広告や広告でない施策を問わず、マーケティングに活かしていこうという話だ。


そのキーになるのは顧客情報が蓄積されたCRMなので、今、再度注目されていると思う。去年あたりから、そういった話をすることが非常に多くなった。


「〜マーケティング」と名前のつくマーケティング手法が出てくると、新しい概念や取り組み、ツールだったりするかもしれないが、CRMは概念も、それを下支えするツールも昔からある。マーケティングで活用されてしかるべきものなのに、不思議とこれまで一部の理解のある事業会社以外は活用されてこなかった。


これはCRMはシステム部門が管轄する「IT領域」のもので、マーケティング部門が自由に活用できるものではないケースが多かったというのが一因と考えられる。多くのマーケティング従事者からすると、CRMはいまだに遠い存在だったりするのが現状だ。


ここ何年かで変わってきた理由としては、ITシステムがウェブ化・クラウド化することで、システム部門に依存しなくても誰でも使えるようになったという一つ。もう一つは、ITとマーケティングが徐々に融合してきて、お互いが寄り添い始めたことが挙げられると思う。昨今の Google と Salesforce の提携(記事はこちら)などは象徴的なものだ。


そして、今回きている「人ベース」の流れだ。もう待ったなし、という感覚を持っているのはマーケティングサイドに関わっている人の中でどのくらいいるのだろう。


大切なのはビジネス課題を特定すること


CRMはビジネスとするのは正直言って重い。仕組みとしてはさほど複雑ではなく、複数のデータベースが紐付けあって、一つの大きなデータベースを形成していると思っていい。例えば「取引先」、「連絡先」、「商談」、「商品」というデータが典型的なものだ。それぞれの中身は大した内容ではない。


難しいのはビジネス課題を特定し、設計し、しかもしれを現場のワークフローに乗せて定着化させることだ。初期設計がうまくいかなく、入力の手間ばかりが増えて現場が疲弊したり、ワークフローに乗せられず、定着化していないCRMシステムは今まで山ほど見てきたし、現在も多くの企業でそういったシステム事例は存在する。


広告やマーケティングは明らかに違うスキルセットが求められるCRMの分野に、マーケティングに従事してきた会社や個人は果たして寄り添えるのだろうか。体力のある企業は買収や提携を着々と進めているので分業体制は構築できるだろうが、ITサイドはマーケティングのことをより理解し、マーケティングサイドはITの理解を深めないと、両者を統合したサービスの提供は極めて難しい。


今、広告運用に携わっている人は、自身(組織やチーム)でCRMを導入し、使い倒し、それがどういうもので、何ができるのかを体得する必要があると思う。使った「感覚」を持たないと、なかなか勘所が掴めないものなのだ。その上で、マーケティングにどう利用できるのか、人ベースのマーケティングに向いたCRM設計はどういうものなのか、を考えていくと、今後の変化に柔軟に対応できるようになると思う今日この頃である。


著者
Tags

Related posts

*

Top