イベントレポート:2017/11/10開催 Unyoo.jp Meetup Vol.11 「機械学習に寄り添う」

機械学習に寄り添う

2017/11/10にUnyoo.jp Meetup Vol.11 「機械学習に寄り添う」が開催されました。好評を博したイベント内容の一部をレポートいたします。


イベント:Unyoo.jp Meetup Vol.11 「機械学習に寄り添う」
Unyoo.jp Meetup Vol.11 開催に寄せてデジタル広告を中心に、配信、取引、計測などの技術の進化にともなって、「運用」という言葉がそれまでの「保守」「維持」としての...


第一部 AI審査によるクチコミ情報の質・量・鮮度の飛躍的向上(鍛治 まりえさん/株式会社リクルートライフスタイル)

第二部 「Aixon」 を活用したオーディエンス分析(松崎 亮さん/Appier Japan 株式会社)

第三部 Datarobot による機械学習の民主化がもたらすマーケティング分野でのAI 活用(中野 高文さん/Datarobot Japan 株式会社)

第四部 パネルディスカッション




AI審査によるクチコミ情報の質・量・鮮度の飛躍的向上

第一部のテーマは、株式会社リクルートライフスタイル 鍛治 まりえさんによる「AI審査によるクチコミ情報の質・量・鮮度の飛躍的向上」です。


鍛治さんは株式会社リクルートライフスタイルでホットペッパービューティーのクチコミ審査にAIを使用するプロジェクトでPMを務め、3年間で審査コストの大幅な削減と質・量・鮮度の向上に成功された経験についてお話しいただきました。


ホットペッパービューティーは、2017年11月実績で約415万件ものクチコミ掲載数がある、ヘアサロン・ネイルサロン等の大手検索・予約サイトです。


競合他社に比べてもクチコミの量・質は強みであるため力を入れていますが、審査ルールの多さや三重におよぶ審査段階によって審査コストがかかること、属人的であることが課題でした。

このため審査判定にAI技術を使用することで課題の解決を図ろうと考え、使用したのが株式会社リクルートテクノロジーズが提供する「A3RT(アート)」というサービス、API群です。(無料公開されていますので上記リンクからぜひご覧ください!)

これは機械学習、特にDeep Learningなどに代表されるAIロジックをAPIで提供するサービスで、今回使用したのはテキスト分類API「Text Classification API」とのことです。しかしAI導入における壁が大きく2つあったと鍛治さんは振り返ります。


■1つめの壁 – 正答率90%超えの壁

AIの正答率は一説には70~80%と言われていますが、前述の課題を解決するためには正答率は100%に近くなければ使用ができないため、まず正答率の向上が大きな鍵となります。


そこで三段階の審査のうち第一、第二段階をAIに代替するイメージでクチコミに出現する単語や流れから掲載OK/NGを審査させようとしたところ、過去データである人力での審査履歴がエスカレーションとしてのメモはあるものの、明確なラベルではなく、審査者によって言い回しも異なるためまずはラベルの抽出作業が発生しました。


さらにクチコミは口語体の文章のためゆらぎが多く、テキスト解析モデルでは学習に時間が掛かってしまい、正答率も80%台をなかなか超えられなかったそうです。


ここで鍛治さんたちプロジェクトチームは大きな発想の転換をし、テキストを画像として扱うことで画像解析技術を審査に使用したそうです。これは画像解析の方がテキスト解析よりも一般に技術が進んでおり、計算量が少なく、何度もモデルのチューニングができるメリットがあるとのことで、具体的には

  • テキストを単語に分割
  • ベクトルを用いた数値へと単語を変換(embedding)
  • 変換したものを横並びにし画像化
  • 画像解析

  • という流れで審査させたところ、正答率が92%にまで向上したそうです。


    ■2つめの壁 – AIに対する心理的障壁

    2つめの壁は「心理的障壁」。クチコミ審査運用担当者から「仕事がなくなるのでは」という懸念があがっていたそうです。


    そこであくまでAIは人間を補助するために、人がやらなくても良い仕事をAIにしてもらい、人しかできないことを人がやるという考えを浸透させたところ審査運用担当者の協力も得られ、プロジェクトはスムーズに進行したとのこと。結果としてクチコミ審査運用担当者の仕事は「AIを育てる仕事」へ変わったそうです。


    また、今後は時代によって文章が変わってくるため、AIが判断できないものはベテランの審査者がフィードバックすることで半永久的に品質を維持するという体制を作り上げ、コストの削減と質・量・鮮度の向上に成功されました。


    ■まとめ

    最後のまとめとして、鍛治さんはAIプロジェクト推進には以下の3つが必要だと振り返りました。

        ・大量の過去データ
        ・正答率をあげる為のデータ整備・ロジック調整の知見
        ・運用担当者の理解と協力体制


    最初だけ物珍しさで持ち上げるのではなく、「永続的にブラッシュアップされる価値あるものになることが大切」と締めくくり、第一部は終了となりました。




    「Aixon」を活用したオーディエンス分析

    第二部のテーマは、Appier Japan 株式会社の松崎 亮さんによる「『Aixon』を活用したオーディエンス分析」。


    Appierはアジア市場を中心に事業を展開するAIテクノロジ企業です。プログラマティック広告プラットフォームに加えて、今年7月からAIによってオーディエンス分析・予測を可能にするデータインテリジェンスプラットフォーム「Aixon(アイソン)」を開発・提供しています。


    Appierは、クロスデバイス分析に強みを持ち、その基盤となるのがAppier が保有している約20億デバイスと7億人のユーザーデータ(日本だけでも8,400~8,500万人のデータを保有)を活用しています。95%という非常に高い精度でユーザーを判別できるそうです。


    Appierは「クロススクリーンインテリジェンス」というDMPをベースに、マーケティング用のインテリジェンスやDSP、そして今回ご紹介いただいたAI搭載のオーディエンス分析・予測ソリューション「Aixon」を提供しています。


    「Aixon」を導入することにより、ユーザーはビッグデータから見込み顧客をセグメントし、コンバージョン予測やルックアライク(類似ユーザー)抽出が可能になるため、ターゲティングに使用するなどの活用方法が挙げられます。


    後半ではデモを使用しながら「Aixon」の操作の流れを説明いただいたのですが、セルフサービスの管理画面で1stパーティーデータをアップロードすれば必要な分析が完了し、抽出されたオーディエンスデータを自社のシステムにエクスポートしたり広告配信にそのまま使用できます。一連の操作やUIは簡単で分かりやすく、使い勝手が非常に良さそうなサービスと感じました。


    「Aixon」が提供する機能は、現状マーケティングに特化しているため、AIを使って何ができるのかイメージがついていないマーケターにとっても直感的で分かりやすく、AI活用がより身近で現実的なものになる点に魅力があるかと思います。


    詳細は以下の記事で語っていただいているため、ぜひ併せてご覧ください!


    Appier (エイピア)の松崎さんに聞く:「Aixon」(アイソン)から見える AI を活用したオーディエンス分析の未来
    マーケターがAI を当たり前のように使いこなす時代に2017年5月に行われた Google Marketing Next 2017 において、Google の広告製品を統括する Sridhar Ramaswamy 氏は...




    Datarobotによる機械学習の民主化がもたらすマーケティング分野でのAI活用

    第二部のテーマは、Datarobot Japan 株式会社の中野 高文さんによる「Datarobotによる機械学習の民主化がもたらすマーケティング分野でのAI活用」です。


    Datarobotは2017年10月17日に発表されたように電通デジタルと博報堂DYホールディングスがそれぞれパートナー契約を締結した、マーケティングソリューションの開発基盤ともなるAI・機械学習プラットフォームです。


    電通と博報堂が米DataRobotと契約、機械学習プラットフォームを活用
     電通デジタルと博報堂DYホールディングスはそれぞれ、米DataRobot社とパートナー契約を締結したと2017年10月17日に発表した。両社は、DataRobot社の機械学習プラット...


    「機械学習の民主化」というテーマについて、中野さんは「まだ機械学習は一般的でないが、ビジネスの知識さえあれば誰でも機械学習を使えるようにデータロボットは開発された」と語ります。


    機械学習には大きく6つプロセスがあり、1と2はユーザーに行っていただく必要があり、ユーザーに1と2を行っていただければ残りはデータロボットで自動化することができるとのことです。


    1. 課題の設定
    2. データの用意
    3. クリーニング
    4. モデル作成
    5. 理解
    6. ビジネス活用(デプロイ)


    さらに対象となるデータによってどのようなモデルがふさわしいのかが変わってくるため、DataRobotには1,000~2,000のアルゴリズムが用意されており、その中から各データに相応しいアルゴリズムを30~40ほど選んで実行してくれるとのこと。また各アルゴリズムに必要なデータの前処理も含めてパッケージ化されているため、アルゴリズムの特性などを知る必要もなく誰でも機械学習を行なっていただくことができます。


    デモでは個人ローンの購入者リストを例に使用し、どんなアクションをすれば購入確率が上がるのかという分析をお見せいただいたのですが、結果に対しどのようなデータが寄与したのかの内訳、各予測値に対する説明も表示できるとのことでより納得感のあるサービスだと感じました。


    第一部ではプロジェクトチームの知見とひらめきによってAI活用が成功しましたが、そのような優秀な開発者・担当者がいなくともAI活用を実現できることこそが「民主化」という次の段階への示唆となるセッションでした。



    パネルディスカッション


    第三部では株式会社リクルートホールディングスの石井 智之さんをゲストに迎え、パネルディスカッションが行われました。



    石井さんはリクルートホールディングスに所属しライフスタイル事業部を担当されています。

    リクルートホールディングスの石井さんに聞く:キーワードに依存しないこれからの検索連動型広告の運用について考える
    検索連動型広告もデータフィードの時代にAdWords のショッピング広告や、CRITEO をはじめとする動的リターゲティング広告の登場によって、データフィードを活用した広告...


    パネルディスカッションでは機械学習に興味を持ったきっかけやマーケティング領域で機械学習を使う上でよくある課題について、それぞれの立場からお話しいただきました。


    最後に参加者の皆さまからの質問では「AIとどう付き合っていけば良いのか」「AIを使いこなすにはどういった教育が必要か」といったこれから利活用するためのものが挙がり、それぞれ「意図を持ってデータを集めること」「まず経験させること」といったアドバイスが返されました。


    セッションでも触れられていたとおり、まだ機械学習やAIについて漠然としたもの、便利そうだけどなんだか自分とは縁遠いものと思っている人が多いのが現状ではないかと思いますが、活用が当たり前になる未来はもう見えています。また運用型広告の世界では、既に最適化や計測に使用されていることも多くなっています。

    まずは身近なものから触れてみる、課題の解決方法に機械学習を挙げてみるといったところからスタートされてみてはいかがでしょうか。




    ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

    次回のUnyoo.jp Meetupは企画が固まり次第、Unyoo.jp 上でアナウンスいたします。ふるってご参加のほど、よろしくお願いいたします!

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