ITPの導入によって広告運用は今後どのように変化するのか? 5人の識者に聞いてみた

ITP後の世界で広告運用はどのように変化していくのか

 
Apple社の iOS 11 から実装されている Safari のセキュリティ機能「Intelligent Tracking Prevention(以下、ITP)」は、デジタル広告、特に Cookie の仕組みを利用してターゲティングやトラッキングを行う広告分野(つまりほとんどすべての広告)へ大きな影響を与えると言われています。


ITP の仕組みについては、多くのサイトで検証や論考が続けられていますし、今後もおそらくアップデートがあるものと思われます。そんな中で、広告運用の現場においては、(技術的・方法論的な検証もさることながら) ITP が運用型広告の実務へどのような影響を及ぼしてくるのか、それによって広告運用そのものの環境がどのように変化していくのかを、改めて見つめ直すべき時に差し掛かっているのではないかと思います。


そこで、今回は1つの質問を軸にして、”ITP後の世界”では運用型広告という仕事がどのように変化していき、従事者はどういう考え方・構え方でいるべきなのか、そのヒントを探るべく5人の識者にお話を伺ってみました。




tanaka田中広樹(たなかひろき)
アナグラム株式会社 テクノロジーエキスパート。公共放送での放送エンジニアを経て、リスティング広告業界にキャリアチェンジ。大手広告代理店での経験を経て、現在はアナグラム株式会社にテクノロジーエキスパートとして在籍。リスティング広告、アクセス解析、タグマネジメント、データフィード、DSPなどにまつわるテクノロジーやツールを活用し、ビジネスの最大化を目指す施策の支援を手がける。 http://anagrams.jp/

質問:ITPによって広告運用は今後どのように変化すると思いますか?



ITPが与える影響は「コンバージョン計測」と「リターゲティングでの追従」の2つになるので、それぞれで考えてみたいと思います。

「コンバージョン計測」

 
WebKit のドキュメントでは3rdパーティ(アクセス先のドメインとは異なるドメイン)が発行した Cookie に依存しない計測方法を取ることを推奨しています。1stパーティ(アクセス先のドメイン)Cookie を利用して計測する Google アナリティクスと同じような技術仕様に変更することで、コンバージョン計測は継続できるものと考えます。


▼短期〜長期的に発生しそうな影響
ITP の影響を最小限にするため、プラットフォーム側で計測の仕様変更を検討する必要があります。放置しておくと、ITP によってクロスサイトトラッキングの能力があると判別されて、且つ、インタラクションのない 3rdパーティCookie の場合は即座に隔離されて参照ができなくなってしまうため、コンバージョンの計測ができなくなります。インタラクションのある 3rdパーティCookie だとしても最終インタラクションから24時間までしか参照できなくなってしまうので、それでもコンバージョンの計測できるのは最大で24時間です。


ですので、現時点ではGoogleアナリティクスと同じように 1stパーティCookie の利用をする方法で凌ぐことになりそうです。媒体コンバージョンの計測情報が欠如するということは、自動化にも影響が出てきますね。


▼それよりも未来の話
昔から囁かれれているような「Cookie による計測の終わりの始まり」に差し掛かっているのではないでしょうか。どのような方法が取れるかは個人的には想像つきませんが、アカウント情報を使うというのも選択肢のうちの1つになりうる気がします。



「リターゲティングでの追従」

 
コンバージョン計測と同様、インタラクションありの Cookie を利用しているリターゲティング広告であれば、最終インタラクションから最大24時間までしか追従できないことになりますし、インタラクションなしの Cookie を利用しているリターゲティング広告であれば、どのような方法で Cookie をセットしたとしても Safari側で即座に隔離されてしまうため、そもそもリターゲティング広告の対象として追加はされません。


この点を主眼にして未来を想像してみます。


▼リターゲティングの表示機会はぐっと減る
ITP によってエコシステムが強制的に回されることで、リターゲティング広告の表示機会が減り、サイトをターゲティングした広告の表示機会が戻り(増え)ます。なので、コンテンツターゲットが復権してくるのではないかと思います。これによって、コンテンツターゲットのインプレッション・クリックが増える、クリック単価が下がるという事が想定できます。


▼サイトをターゲティングする広告の復権
リターゲティング広告の表示機会減少は、これまでリターゲティングのみしか出稿していなかった広告主、または、プラットフォームの成果は悪化する可能性がありますが、サイトをターゲティングする広告(AdWords のコンテンツターゲットなど)の表示機会は相対的に増えるので、成果を伸ばすチャンスでもあります。


Google AdWords や Yahoo!プロモーション広告であれば、サイトをターゲティングする広告メニューがあるので、こういった広告メニューをいかに活用できるかが、成果を分けるポイントになってきそうですね。


ただし、Criteo はじめ、リターゲティング広告が中心になるプラットフォームでは、こういったサイトをターゲティングする広告メニューがないので、何らかの方法で技術的解決を図るか、新しいプロダクトの開発をするか迫られているのではないかと思います(公式発表が今のところないので…)。


余談ですが、Google AdWords ではスマートディスプレイキャンペーン(SDC)の精度向上によって、それだけ使えば OK という未来も想像できますね。(SDC はデバイスも加味されると思うので、ITP を踏まえた働きをすることも今後ありえる・・・かも)



「長期的な未来:よりGoogleとFacebookの寡占が進む」

 
Google は、Google アナリティクスの利用を始め、ITP の影響を最小限にする手段を既にいくつも持っています。Facebook なら、Facebook に日頃からアクセスしていれば、ITP の影響をあまり受けないとの推測もあります(※1)。


※1:参考リンク
How Apple's Intelligent Tracking Prevention works & why Google/Facebook could benefit most


この理論で言うと、日本の Yahoo!プローモーション広告も同様で、Yahoo!ニュースや天気と言ったコンテンツを持っているからこそ、ITP
の影響を最小限に抑えることができそうですが、それ以外のプラットフォームではコンテンツと言った接点がないので、1stパーティCookie による計測を行うなど、ITP の制限を受けないようにするための仕組みづくりが必要になってきそうです(※2)。


※2:参考リンク
Understanding & Reacting To Apple’s Safari Browser Tracking Changes


ただし、あくまでも ITP は広告表示機会の抑制ではなく、Safariユーザーのプライバシーを守ると言うのが本来の目的です。ですので、技術的に回避できたとしても、新たな ITP に変わる防止機能が世に送り出されるだけで、根本的な解決にはなりません。また、Chorme以外の Firefox や Microsoft Edge が同様なプライバシー保護機能を、未来永劫、新たに実装しないとも限りません。


これは、運用者視点で見れば、ITP はリターゲティングによるエコシステムの破壊による代償だと考えます。とはいえ、ITP はコンバージョン計測にも与える影響が大きすぎるので、広告ビジネスモデルまで破壊しているとも思いますが…。


メディアの視点で見れば広告収入は必要で、広告主からしたら広告流入による売上も必要、ユーザーからはうざがられない仕組みも必要と言うように、三方良しとなる技術や仕組みが出てきて、それが未来のスタンダードになってくるのだろうなと最近は思っています。(そのうちの解決策の1つがネイティブ広告だと思います。)


業界全体でプライバシー保護と広告の露出のバランスを取っていけるような動きになるといいですね。




masashi-wakimoto脇元正嗣(わきもとまさし)
株式会社AZ マネージャー。1983年大阪生まれ。関西大学卒業後、人材会社のIT部門、WEBベンチャー企業、アパレル商社を経て、2014年株式会社AZに入社。現職では運用型広告に関わる業務全般に従事。特にECサイトのプロモーションでは、フィード、タグ周りなどの技術的支援を担当。特技は上海訛りの中国語。http://www.azkk.co.jp/

質問:ITPによって広告運用は今後どのように変化すると思いますか?



広告運用の実務者の立場でお話させていただくと、今回のITP による仕様変更は「アトリビューションの加速」と「広告運用者の仕事が変わる」きっかけになるではないかと考えております。

「アトリビューションの加速」

 
2017年9月に開催された▶ネコノレンのイベントでもお話させて頂いた内容にも重なる部分がありますが、ITP による仕様変更によってサイト訪問後に何らかのインタラクションがないサードパーティの Cookie はすぐに使用できなくなり、インタラクションがあったサードパーティの Cookie についても24時間経過後はサイトを横断する Cookie として使用できなくなくなるため、トラッキングによる広告配信(リターゲティング広告)とコンバージョンが一部計測できなくなる恐れがあります。(Google AdWords では統計モデルを用いた推定によりコンバージョン計測はされるとの発表がありましたが、実数による計測は ITP導入により一部できなくなると考えてよいかと思います。)


これらの仕様変更によって各広告媒体の管理画面上では、広告成果が分からない、または成果が出ているのか判断するのが難しいなどの状況が起こる可能性があります。


もちろん Google や Yahoo、Facebook などの媒体だけではなく、サードパーティの Cookie を用いた広告配信を行っている媒体の管理画面で起こることが予想されますので、広告成果が今以上に見えなくなる恐れがあります。この広告成果の「見えない化」が進むことは、運用者の立場としては非常に頭の痛い問題ではありますが、私はこの変化によって逆説的に広告運用の「見える化」への取り組みがより一層進むのではないかと考えています。


複数の広告媒体による広告成果を管理画面のラストクリックコンバージョンで評価することがこれまで以上に難しくなるため、ITP の仕様変更に対応した計測ツールを用いてラストクリックコンバージョン以外の広告成果もきちんと評価し、全体最適を図ろうとするアトリビューションへの取り組みが加速する一つのきっかけになる可能性を秘めていると感じています。

「広告運用者の仕事が変わる」

  
広告運用者の仕事を考えると、例えば、媒体のプランニングする、キーワードや広告を入稿する、レポートを作る、予算の進捗管理など様々な業務が思い浮かびますが、その仕事のベースに広告媒体の管理画面を見て何かを考えたり、操作を加えるということは多くの広告運用担当者の日常業務の一部になっているかと思います。


これまでの広告運用者はまず管理画面を覚えるところからスタートする人も多かったと思うのですが、今回のITP導入によって管理画面では計測やターゲティングが難しい領域が増える(可能性がある)ことで、これまで以上に広告運用者は広告媒体の「管理画面」の外に目を向ける必要が出て来るのではと考えております。


考えられるケースとして具体的には、ITP の仕様変更に対応した計測ツールを用いた広告効果測定が必須となり、それ以外にもCookie(サードパーティー、ファーストパーティー)の違いや、デバイス、OS、ブラウザによる違いなどをより意識せざる負えなくなり、これまでは広告媒体の管理画面の中の指標に基づいて判断していた施策も本当に適切かどうかをより注視する必要がでてくると思います。それらの意味で広告運用者が考慮しなければいけない事案は今後より一層増えることになりそうです。また、ITP だけに留まらず、多様な計測方法の仕様の違いを正しく理解しているか否かによって今以上に広告成果のパフォーマンスに影響を及ぼすのではないでしょうか。


そして、最後に忘れてはならないのは、今回のITP による仕様変更の目的はユーザーのプライバシー保護の観点であるという点です。私自身も広告運用者として、消費者の立場もこれまで以上に考慮しながら、適切なタイミングで適切なメッセージを届けることができているのか、今一度見直すきっかけにもなればと考えております。


実際のところ、今回のITP の登場によってどれほどの変化を起こるのかは本記事の執筆時点(2017年10月)ではわからない部分も多いのですが、今後の動向に注視しながらも広告運用の在り方について考える1つの契機になればと思っています。




寳洋平(たからようへい)
アユダンテ株式会社 チーフSEMコンサルタント。企画・編集・ライターからSEMの世界へ。常に積極的に最新のデジタル広告技術を取り込み、現在はGoogle アナリティクスやTableauを活用した、リスティング広告設計・運用、コンサルティングを行う。趣味は料理。https://ayudante.jp/

質問:ITPによって広告運用は今後どのように変化すると思いますか?

 

“とりあえずのリタゲ”からの卒業

 
Apple の開発者向けカンファレンス WWDC17 のキーノートを見たときに、広告運用者・マーケターは「とりあえずのリターゲティング」から卒業しなくてはならないのだと、はっきり理解しました。
 
誰に何を提供するのか? マーケティングを行う上で必須であるはずのシナリオ設計をすることなく「とりあえず」訪問したユーザーを追いかけてしまうこと。 ITP導入は、現在のインターネットの世界に蔓延するこうした「とりあえずのリターゲティング」に対して、Apple から明確な NO という表明がなされたのだと私は受け止めました。


2010年の春に Google社が「リマーケティング」という名称でリリースして以降、リターゲティング広告はその優れた費用対効果から広告主の規模の大小を問わず、爆発的に普及していきました。リマーケティングにかぎったことではありませんが、この追跡型の広告が孕んでいる課題については、比較的早い段階からささやかれ、警鐘が鳴らされてもいました。


例えば2011年10月に上がった AdMarkeTech.の記事「節度あるリマーケティングのためにすべき3つのこと」では、すでに「リスト枯れ」「リマーケ疲れ」「ウザイ感」という言葉が使われています。


リターゲティングは、あるユーザーには有益な情報となる一方で、使い方次第では、それ以上に多くのユーザーに対して耐えがたいノイズを与えてしまうものになりかねない。この広告はそんな「諸刃の剣」の性質を備えていたのです。


インターネットで広告を出稿する企業は、常に高い費用対効果を求めています。
 
「とりあえずのリターゲティング」を行うことで、その要望や期待に短期的な意味で応えられていたことも、リターゲティングの普及を加速させた背景にあるでしょう。訪問したユーザーをただひたすら追い、商品・サービスが購入されてからも追いつづける。そんな心ない「とりあえずのリターゲティング」が、これまでどれだけのユーザーの目に触れ、本来楽しいはずのインターネットでの時間をウンザリさせてきたことでしょうか。


リターゲティングという手法は、これからも打ち手の一つでありつづけるでしょうが、その重要度・優先度は ITP によって、相対的に低くならざるを得ないはずです。
 
しかしそのことは、企業が継続的にマーケティングを行う上では、むしろ健全さが増すよいきっかけであると私は考えています。Google の調査では、GDNでリマーケティング以外のターゲティングの割合がグローバル平均と比較して日本は非常に低く、リターゲティング広告に依存しているアカウントが特に多いのだそうです。その脱却をはかる一つのチャンスと捉えてみてはいかがでしょうか。

これからはアセットを整え、磨き上げていこう

 
このように嫌われがちなリターゲティングですが、プラスの点にも触れたいと思います。
 
2012年7月、Googleアナリティクスの指標で AdWords へのリマーケティングを行える機能が追加され、私は速報として紹介しています。振り返ってみると、このGoogleアナリティクスを使ったリマーケティングが登場した頃から「新たな視点」に立てるようになっていきました。具体的には、企業が自社の保有するデータを「アセット」として広告に活用するという視点です。


この2011、2012年頃を境にして、運用型広告の打ち手がいわゆる「キーワード」を活用するものから「アセット」を活用するよう、急速に整備されていっています。
 
例えば、現在の ECサイトにとって欠かせない打ち手となっているショッピングキャンペーンは2012年6月に商品リスト広告としてリリースされています。この広告では商品情報のデータベースから作られたデータフィードをターゲティングに使います。つまり、ここでいうアセットとは、自社の「商品情報のデータベース」になります。


現在も急速な進化が続き、存在感を増してきている打ち手である動的検索広告(DSA)は2012年11月にリリースされています。この広告はキーワードの代わりにWebサイトのコンテンツを使って広告を出す手法です。ここでいうアセットとは、自社の「Webサイトのコンテンツやページそのもの」となります。


自社の保有するデータ、商品情報のデータベース、Webサイトのコンテンツやページそのもの。そうした自社の「アセット」をターゲティングに活用する視点は、リターゲティングから生まれ、発展してきたと考えられるのではないでしょうか。リターゲティング広告の普及は、アセットを活用する打ち手の先頭バッターとして突破口を開き、その礎を築く役割を担ったように私には思えます。


そして、これからの広告運用の未来も、この「アセット」にヒントがあります。
 
重要なポイントは、アセットを変えられるのは「広告の前工程」であるということです。リニューアル時の SEO でよく行われることですが、どんな検索をしているユーザーに来てほしいのか、検索意図を調査した上で、サイト内のカテゴリやページの全体図を設計します。
 
これによりそれまで存在していなかったものの、本来なら備わっていて当然のページや、より深く掘り下げるべきページなどが構造的に整った状態で加えられます。
 
各ページにはユーザーが知りたい情報を詳しく、わかりやすく盛り込んでいくことで、それがそのまま商品情報データベースの充実にもつながります。


つまり、商品やサービスを整理すると同時に、Webサイトに訪れたユーザーにとって商品やサービスが輝いて見えるよう、ていねいに磨き上げるプロセスがあるわけです。このようなプロセスを経たWebサイトならば、先に挙げた動的検索広告やショッピングキャンペーンをスムーズかつ効果的に活用できるでしょう。


アセットを整え、キラリと光るものにまで磨き上げること。これからのマーケティングはここにもっと時間をかけ、情熱を注ぐことが重要になると私は考えます。




noguchi野口竜司(のぐちりゅうじ)
株式会社イー・エージェンシー データドリブンマーケティング担当取締役。Google アナリティクス360 を活用したコンサルティングやA/Bテストサービスの提供、グローバルEC支援(主にASEAN地域)に従事。業務のかたわらでデジタルマーケティング関連の書籍も執筆。アドテック東京2015/2016に登壇。https://www.e-agency.co.jp/

質問:ITPによって広告運用は今後どのように変化すると思いますか?



ITP によって一部ユーザーの行動ログの分断が進んでいくことになるのですが、その反動として「繋げられるデータはどんどん繋いでいく」方向に動いていくのではと感じています。


ブラウザ上で発せられる短期のシグナル情報を使って効率良くパフォーマンスを出せていた時代が終わる?(もしくは縮小する?)のであれば、代替の手段を使ってリカバーしなければなりません。


代替手段の一つとして、データ統合された長期ログ(LTVベースの CRMアクティビティデータやオフラインデータなど)のこれまで以上の活用が考えられるのでは?と考えています。


具体的には:
 
(1)CRMデータを使った広告配信の積極活用
(2)機械学習によるCV予備ユーザーの発見・配信の活発化

 
といった動きがでてきてもおかしくないなと考えています。この動きに連動してなのですが、(1)や(2)の精度をあげるためには、いろんなデータソースを早い段階から繋げておくことが重要になってきますね。


あくまで全体の中のフォーカスした一部の話でしかないので、かなり偏った見解ではありますが、このような動きも出てくるかもしれないなと思っています。




takagi高木恩(たかぎめぐむ)
ピクスタ株式会社 Webマーケティンググループ所属。証券会社、ITベンチャーを経て2014年にピクスタ株式会社へ入社。PIXTAやfotowaをはじめとして、ピクスタの持つプラットフォーム全般の広告を担当。趣味はサッカーやフットサル。 https://pixta.co.jp/

質問:ITPによって広告運用は今後どのように変化すると思いますか?



今回のITP実施にともない、今までと同様の評価やマーケティング手法が使えなくなる側面を弊社としても懸念しております。しかし一方で、ピクスタでは今回の一件がコンバージョンに対する「広告効果の評価基準」を改めて見直し、無駄のないマーケティングやユーザーに取って広告からサイト利用に至る一連のユーザー体験をより良くする良い機会にもなり得ると考えております。

「本当に価値のあるターゲティングは何なのか」を見極める機会

 
まず、弊社で想定しているITP による広告計測への影響としては、コンバージョンに計上される Cookie が付与後1日間のみになることから、広告媒体上や計測ツールで計上されるコンバージョン数の絶対数が減少したり、またコンバージョンまでの期間が比較的短いようなブランドワードなどのキーワードやターゲティングに評価が流れがちになると想定しております。その場合、コンバージョンパスの始めの方で効果的なキーワードやターゲティング、また24時間以上経過してからコンバージョンすることが多い新規来訪者むけの施策の評価は下がり、実際の運用における各施策のインパクト・貢献度と乖離が大きくなると考えております。


新規のお客様や情報収集段階のユーザー様へのマーケティングは、弊社のどのサービスにおいても非常に重要だと考えておりますので、ITP の影響で「よりダイレクトなレスポンスが見えやすい施策」に評価が流れた場合でも、アトリビューション分析やそれを可能にする統一的なマーケティングチャネル評価ツールを使用することで、「事業にとって本当に価値のあるターゲティングは何なのか」を慎重に見極めたいと考えております。

広告以外の手法でも補完していく

 
また、広告業界全体としても、この意味でリマーケティング評価偏重の流れが変わるとよいのではないかとも考えております。広告主としては一見とても効率の良いリマーケティング広告ですが、実際はその前にユーザー接触しているチャネルあってこそのリマーケティング広告ですので、Cookie の有効期間が短くなり、リマーケティングが今までのように扱いにくくなることで、真にサービスの成長に実質的に貢献しているチャネルは何なのかを再度見つめ直すよい機会になるのではないかと考えております。


一方で、今までのようなリマーケティング広告が打てなくなる、つまり現状ではリーチが減ることも考えられますので、従来の「リマーケティング広告」を補うマーケティング施策を考える必要がありそうです。
 
広告とは別のコンテキストになりますが、それはメルマガでのお知らせやSNS での情報発信といった、一度サイトに訪問してくださったユーザーへの再訪問を促すオンラインマーケティング手法全体で補完していくことも考える必要があると思います。自分がユーザーの立場に立ってみると、リマーケティング広告に何日も追い回されて仕方なくサイトに訪問するより、メルマガや SNS上のお知らせを見て”能動的”に再訪問した方が心地良いですし、広告側から見てもパフォーマンスが良さそうですね。


また、これにはその情報の種となるコンテンツが必要となりますので、サイトや事業全体でのマーケティングになり、引いては会社全体でマーケティング手法を改めて見つめ直すことになると考えております。

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