eMarketerのレポートから読み解く、米国のアトリビューション最新事情

2017年4月28日、米国のeMarketer はMULTICHANNEL ATTRIBUTION ROUNDUP と題したアトリビューションに関するレポートを発表しました。(レポートは以下リンクよりダウンロード可能です。)


リンク:




以下では、本レポートから読み取れる米国の最新のアトリビューション事情をご紹介します。



2017年には米国企業の81%がアトリビューションモデルを採用か



以下は、アトリビューションモデルを採用している米国企業のシェア推移を示したグラフです。ここでいうアトリビューションモデルは起点や終点といったシングルクリックアトリビューションも含まれます。対象となるのは、100名以上の従業員がおり、かつひとつ以上のデジタルマーケティングチャネルを活用している企業です。


Image Source: eMarketer



これによれば、2014年に61%だったシェアが2017年には81%になる見込みとのことです。2016年10月時点の調査結果とはなりますが、2016年時点でも75%と大半の企業でアトリビューションモデルが採用されており、アトリビューションの概念はすっかり浸透していることが伺えます。


一方で、今日のマーケターたちにとってはより進んだアトリビューションモデル、すなわち複数のマーケティングチャネルを加味したマルチチャネルアトリビューションモデルの採用が重要であるとのことです。なぜ重要になっているのかについては、以下のグラフが示しています。


Image Source: eMarketer



上記は米国の18歳以上のユーザーにおける主要メディアへの一日の平均接触時間を示したものです。これによればユーザーは一日の約4時間をテレビに費やしますが、別の6時間はモバイルやデスクトップ/ラップトップ、コネクテッドデバイスなどのデジタルに費やしていることが分かります。


このようにデバイスだけでもこれだけ多岐にわたっているのですから、マルチチャネルアトリビューションモデルが重要視されるのも頷けるでしょう。eMarketer は、2017年には50.2%、2018年には58.5%の米国企業がこのモデルを採用すると予測しているとのことです。



チャネルを跨いだ計測とアトリビューションに意欲的なマーケターは多数



以下は、2017年1月にIAB とWinterberry Group がデジタルマーケティング・メディア関係者に対して実施した調査の結果となります。これまでどの戦略に時間・リソースを費やしたか、そして2017年はどの戦略に時間・リソースを費やす見込みかを調査したもので、最大5つまで回答を選択できるという内容です。


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これによれば、赤枠部分のCross-channel measurement and attribution(クロスチャネルでの計測とアトリビューション)が2016年は33.3%の回答者が時間・リソースを費やしたのに対し、2017年に関しては回答者の6割近くとなる57.1%が時間・リソースを費やすだろうと回答しています。2016年に最も多かった上から5番目のGeneral audience analytics(一般的なオーディエンス分析)を2017年はCross-channel measurement and attribution が逆転する見込みとなっています。


例えば、小売業界はオンラインとオフラインの施策を統合したクロスチャネルマーケティングにより真摯に向き合うことで、顧客ベースのインサイトを深堀りをしようとしているとのことです。Yes Lifecycle Marketing の調査によれば、世界の小売関連のマーケターの10人に4人がクロスチャネルアトリビューションでイニシアチブをとっていくと回答しているといいます。


しかし、理想と現実にはギャップもあるようです。実は昨年も同様の調査を実施しており、その時は半数を若干超える関係者がCross-channel measurement and attribution に時間/リソースを費やす見込みと回答していたようですが、上記の結果が示すように実際は全体の3分の1しか実現出来ていません。



ユーザー行動の理解よりターゲティングが先行



以下はEconsultancy が昨年9月に北米のマーケターを対象に実施した調査の結果です。これによれば、クロスチャネル・デバイスでのユーザーの購買経路を把握出来ている、またはユーザーごとにクリエイティブをダイナミックに出しわけ出来ていると答えたマーケターは半分にも達していません。(以下赤枠部分が該当)


Image Source: eMarketer



一方半数以上のマーケターは、Facebook のカスタムオーディエンスやAdWords のカスタマーマッチに代表されるような顧客データの活用による類似ユーザーの生成は出来ていると回答しています。


この現状に関連して、メディアコンサルティングファームOvative/group のエグゼクティブディレクターであるBrandon Wishnow の以下コメントが引用されています。

Ironically, there are probably more companies that are targeting media across devices than there are companies that actually understand the cross-device behavior of their customer base. They’re using any number of targeting technologies that are out there to buy media, but they’re not necessarily close-looped with their measurement.


皮肉にも、クロスデバイスでのユーザー行動を把握している企業よりもデバイスをまたいでメディアをターゲティングしている企業の方が恐らく多いでしょう。彼らはメディアをバイイングするための数多くのターゲティング技術を活用していますが、必ずしも計測にしっかりと結びつけているわけではありません。



顧客データのターゲティングへの活用はある程度浸透してきているようですが、顧客がコンバージョンにいたるまでのデバイス、チャネルを跨いだ経路の分析はまだこれからという企業が大半を占めるようです。



ビュースルーを加味したアトリビューションの重要性



Instagram やSnapchat といったビジュアルベースのSNSの浸透は、米国・欧州のマーケターのアトリビューションに対する意識を変えているようです。以下はビュースルーコンバージョンにどれだけの貢献度を割り振るかについてのアンケート調査の結果です。


Image Source: eMarketer



これによれば、2014年の調査ではわずか14%の回答者がビュースルーコンバージョンに50%以上の貢献度を割り振ると回答していましたが、2016年にはそのシェアは46%となっています。また、回答者の1%のみがビュースルーコンバージョンに全く貢献度を割り振らないと回答しましたが、2014年の8%に比較するとかなり減少しています。


同じく米国と欧州のマーケターに対して実施された最近の調査によれば、回答者の65%がシングルクリックアトリビューションを使用すると回答する一方、57%はアトリビューションモデルの変更を検討しているといいます。その理由としては、コンバージョンを拡大させるためのユーザーが利用するプラットフォームが先のInstagram やSnapchat といった必ずしもクリックベースのものではなくなっているからだといいます。


レポートでも触れられていますが、直近のAdWords のビュースルーコンバージョン計測期間のデフォルト変更(30日→1日)も、マーケターの間でビュースルーコンバージョンがより評価指標として重要度を増してきたことの現れかもしれません。


参考:
AdWordsのビュースルーコンバージョンの計測期間がデフォルト1日に
2017年3月6日(日本時間で3月7日)、Google はAdWordsのビュースルーコンバージョンの計測期間がデフォルト1日になることを発表しました。リンク:Updating the default...




クロスデバイスでのユーザー行動理解は最もタフな課題



クロスデバイスでのユーザー行動の理解は今日マーケターが直面している最もタフな課題だといいます。以下は2016年9月にリリースされたEconsultancy のレポートの一部ですが、マーケターの4分の3がクロスデバイスでのユーザーのマッチングのプライオリティが高いと回答していますが、実際それが実現出来ていると回答したマーケターは14%に留まり、そのギャップは60ポイントとなります。(以下赤枠部分)


Image Source: eMarketer



クロスデバイスを加味したアトリビューションに関しては、ここ最近AdWords やCriteo でもアップデートがあり各プラットフォーム内での環境は整備されつつあります。


参考:
AdWords の「デバイスをまたいだコンバージョン」がデフォルトで「コンバージョン」に
2017年3月14日からスタートすでにGoogle からのメールの案内でご存知の方も多いかと思いますが、2017年3月14日(火)から、AdWords の検索連動型広告とショッピング広告の...

Criteoにクロスデバイスコンバージョンが分析できる「Attribution Scope」が追加
Criteoのクロスデバイス分析機能 リリースが特に出ていないため正確な開始時期が不明ですが、2017年4月13日時点で、Criteoの管理画面上に「Attribution Scope(アトリ...



一方で、プラットフォーム、デバイスを跨いだアトリビューション分析はプライバシーや技術的な観点からハードルは高いようですが、それを実現するソリューションが少しずつ出始めていると以下記事で紹介されています。例えば、Experian、Acxicom、Neustarの提供するデータソリューションにより、広告主は個人情報を公開することなく自社の顧客データとマッチングし、そのアウトプットによりカスタマージャーニーの分析が可能になるとのことです。


参考:
Many Bites Of The Apple: New Ways To Look At Attribution | AdExchanger
"Data-Driven Thinking" is written by members of the media community and contains fresh ideas on the digital revolution in media. Today’s column is ...




まとめ



これまでMULTICHANNEL ATTRIBUTION ROUNDUP の内容から米国のアトリビューション最新事情についてみてきました。まとめると下記のような状況になります。


・大半の企業がアトリビューションモデルを採用
・クロスチャネルでのアトリビューションに意欲的なマーケターは半数以上
・ビジュアルベースのSNS台頭に伴いビュースルーの重要性が増大
・クロスデバイスでのユーザー行動の理解は重要度が増しているが実現が困難



上記から、やはりクロスデバイスでのユーザー行動の理解が今後のアトリビューションの鍵を握るのではないかと考えられます。そしてこれを実現するためには自社の顧客データの活用は不可欠でしょう。先のAdExchanger の記事によれば、データソリューションを活用してすでに成果をあげている広告主もいるとのことですので、今後徐々にクロスチャネル・デバイスのアトリビューションモデル・分析を活用するケースが増えてくるのではないでしょうか。引き続き米国のアトリビューション事情にキャッチアップしていきたいと思います!

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