GoogleがYouTube動画広告のマルチスクリーン対応の強化を発表。新しいインサイトレポートや柔軟なカスタマーマッチの利用が可能に。

モバイル時代に合わせたYouTube広告のアップデート

 
2017年1月20日、Google は AdWordsの公式ブログで、モバイル時代に適合するYouTube動画広告の強化を発表しました。


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Googleによれば、YouTube視聴の過半数(over 50%)は既にモバイルから行われているとのこと。今後もユーザーのクロススクリーン/マルチスクリーン化は進んでいくと予想されることから、視聴環境の変化にスケーラブルに対応していくため、広告主とユーザー双方に対して、以下のアップデートを行うことを約束しています。



広告主へ:新しいインサイトレポートの提供

 
2017年から2018年にかけて、YouTubeを利用する広告主へのインサイトレポートを提供できるように、現在開発を進めているとのことです。このレポートは、ユーザーのプライバシーを保護しながら、YouTubeの広告キャンペーンのクロスデバイスでの効果を分析し、例えば特定のオーディエンスに対してどのようなインパクトがあったのかを可視化できるレポートが利用できるようになるとのこと。


このレポートの開発に際しては、サードパーティである comScore、DoubleVerify、IAS、MOAT、Nielsenなどの調査ベンダーと連携していく予定であることも同時に発表しています。多くの外部パートナーのデータも統合していくことで、インサイトの”確からしさ”はこれまで以上に担保されると考えられますね。



広告主へ:Googleアカウントを活用したオーディエンスターゲット

 
YouTubeの視聴がモバイルへとシフトしている現実にターゲティング側も合わせていくため、クロススクリーンでの視聴に合わせた広告配信のターゲティングも強化されます。


具体的には、YouTube広告上でのカスタマーマッチの設定がより柔軟になるとのこと。Googleアカウントに紐付いた情報(年齢や性別のようなデモグラフィック情報や過去の検索履歴など)が、YouTubeで視聴する広告にも影響を与えることから、クロスデバイスのユーザー行動をカスタマーマッチとして配信することが可能になります。


これまではメールアドレスなど、広告主自身が保有するデータをハッシュ化してアップロードし、Googleが持つ情報とマッチングさせる必要がありましたが、これが実現すると、Googleが持っている匿名情報を直接利用できるようになるため、カスタマーマッチの柔軟性が大きく向上することになるでしょう。



ユーザーへ:広告表示のコントロールを提供

 
広告主側への機能強化に合わせて、ユーザー側のコントロールも強化されます。Googleは以前からアカウント情報で広告表示に対してコントロール機能を提供していますが、そのコントロール機能が更に強化され、クロスデバイスやGoogleのプロパティを横断してコントロールが適用されるようになるとのこと。


具体的には、あるユーザーがGoogle上で特定の広告を「表示停止」にした場合、その広告(具体的にはそのドメインの広告主)がYouTube上でも同様に「表示停止」となる機能が2017年の前半(記事では”今後数週間と表記”)で実装されるようです。



将来のよりよい広告表示に向けて

 
公式ブログの中で、YouTubeのプロダクトマネジメント担当ダイレクターの Diya Jolly氏は、以下のように述べています。

While technologies like pixels and cookies still have a role in the broader ecosystem, most were built for a single screen—neither pixels nor anonymous cookies were designed for the ways in which users increasingly watch content on YouTube, like on the mobile app or in the living room. This can lead to inconsistent measurement and less relevant ads across screens, making it harder for people to control the ads they see or the data used to show them.

“ピクセルやクッキーなどの技術は、広い意味でのエコシステムではまだ一定の役割を担っていますが、ユーザーが動画コンテンツをモバイルアプリや居間(のテレビ)などで見るようになることを想定してはおらず、単一のスクリーンを想定して作られたものです。これによって計測は一貫性を欠き、ユーザーに対して関連度の低い広告が表示される可能性が高まり、広告表示に対するコントロールを与えることを難しくしています。”



結果として、今後のよりよい広告環境を整備していくため、Google は2017年よりピクセルやCookieという、従来のターゲティングを担ってきた技術の利用を制限していくことのことです。


以前、二層化する産業を生きる 〜2017年の運用型広告という記事でも触れましたが、YouTubeを始めとしたGoogleプロパティの技術進化は、他の広告配信サードベンダーがエコシステムの中に入ることを許さず、独自進化がそのままデファクト化していく未来を確実に歩んでいるように思います。


今回のアップデートの発表は、ユーザーの広告表示コントロールや広告主のターゲティング精度向上にとっては明らかに世の中を前進させる出来事である一方で、数年前にDSPの隆盛で花開いた「オープンRTB」という概念が、マルチスクリーン化によって僅かな期間でほぼ形骸化している事実も見せつけられたようで、複雑な感情を禁じえません。未来のあるべき広告配信に至る前の、大きな過渡期にいるのではないかと思わせる今回の発表でした。

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