TUNE 岡田さんに聞く:モバイル計測が主役になる、ワンストップマーケティングの可能性。

スマートフォンが牽引して急速に広がったマルチデバイスの世界。これまでとは比較にならないほど多くのデータで溢れている一方で、その計測自体への技術的・組織的課題や、集まったデータのマーケティング活用にはまだまだ発展の可能性が残されています。


そこで今回は、全世界でモバイルの解析からマーケティングまでのプラットフォームをワンストップで提供する TUNE の日本エリア代表に就任された岡田拡才(おかだひろとし)さんに、日本市場におけるモバイル計測の可能性や、データを活用したマーケティングのこれからについてお話を伺いました。


話し手:
TUNE 日本エリア代表 岡田拡才さん


聞き手:
アタラ合同会社 取締役CCO 岡田吉弘


※このインタビューは2016年12月に行われました。



アプリのデータマネジメントの重要性



アタラ岡田(以下:アタラ):本日はありがとうございます。岡田さんとは偶然にも同じ苗字なので、本日が初対面にもかかわらず勝手に親近感を持っていました。本日はどうぞよろしくお願い致します(笑)。


岡田:こちらこそよろしくお願い致します(笑)。


アタラ:早速ですが、岡田さんは先日(2016年12月)TUNEの日本法人の新代表として就任されました。これまでのご経歴と、今回の就任に至った経緯を教えていただけますか?





岡田:TUNE に入社する前は、ゲーム事業で有名なグリー株式会社で5年ほどアプリの広告に携わっていました。日本のゲームを海外に出すグローバルのプロモーション、特にモバイルアプリの販促やデータ分析など、広告にまつわる事業を長く経験しています。その後、グリーアドバタイジング株式会社という国内の代理事業の立ち上げに携わり、主にゲームプロバイダのお客さまのプロモーションの代理事業をずっと行っていました。
 
グリー株式会社やグリーアドバタイジング株式会社でアプリ広告の仕事をしていく中で、アプリのプロモーションの手法自体が劇的に変わっていくのをリアルタイムで経験しました。ブースト広告が市場を席巻していた時期もありましたし、現在のようにソーシャルメディアを活用したプロモーションが出てくるなど、時期によって目まぐるしい変遷がありました。
 
こういった変化の激しい分野で成功するためのコツというか真理のようなものは何だろう?と考えたときに、一つの共通項として行き当たったのが、獲得したユーザーや今この瞬間も利用したり遊んでくれているユーザーのデータを戦略的に活用している企業が結果的に成長しているという事実でした。いわゆるデータドリブンでマーケティングや開発をしている企業やアプリが生き残ってきているわけです。モバイルが中心となる世界では、今後はこれまで以上にそういった傾向が強まってくるだろうと、グリーで仕事をしていく中でずっと感じていました。


アタラ:そこで、データを計測して活用する企業である TUNE に行き当たったということですね。


岡田:はい。代理事業をやっていた頃は、対象のアプリに各媒体社さんやツールベンダーさんの SDK をたくさん設置していたのですが、そうするとアプリの起動や挙動そのものが非常に遅くなるので、計測以前にアプリのパフォーマンスにとってマイナスになりかねません。SDK が少ないに越したことはないので何か統合するよい解決策はないのかとさまざまなツールを試してみた中で、TUNE が非常によいなと、一人のユーザーの立場として感じていました。


アタラ:具体的にどういった点でそう感じられたのでしょうか。


岡田:一つは、計測したデータを半永久的に所有できるというところです。成長しているアプリやユーザーに長く使ってもらっているアプリはたくさんのデータが溜まっていきますが、それを活用するためには一元的にすべてのデータを持つことが何よりもまず必要だと思っていまして、それができている数少ないツールが TUNE だなと感じていました。また、TUNE のツールを利用する際は、データの所有権を利用企業が持て、ダッシュボード上でデータを管理や可視化できるので、透明性の高いモデルであることも理由の一つです。さらにデータの安定性も TUNE を高く評価する点となりました。


アタラ:データの活用という観点でも、いちいち企業側で分散したデータを接続する必要がなく、統合して連続性のあるデータとして利用できた方が圧倒的に分析しやすいですよね。


岡田:まさに、データマネジメントという観点で見たときに、一元化は重要です。また、分析だけでなく、データを様々なセグメントを切って広告などのプロモーションに活用することこそ、企業から求められていると言えます。近年では特にアプリのリエンゲージメントのニーズがすごく増えてきていますので、各社さんともにデータマネジメントとプロモーションとの接続が喫緊の課題として挙がってきているのかなと感じていました。たまたまご縁があって日本法人の代表へ就任したのですが、元々持っていた課題への回答として、TUNE へは以前から注目していたというのが、最初のご質問への回答になるかと思います。



ワンストップで提供することの意味



アタラ:私の拙い理解だと、アプリの計測では、AppsFlyer や adjust、そして TUNE を中心に多くのツールが競い合っており、さらに日本市場では広告代理店もアプリ計測ツールを運営するなど、群雄割拠の様相を呈していると思います。一方で、アプリ側としてはこれ以上 SDK をどんどん追加するわけにもいかないので、先ほど仰られたように、SDK自体を統合していく流れになっていきますよね。そうなると、「結局どれに集約すればいいんだ」という悩みが起きやすい時期なのかなと思います。各社が差別化を図ろうとしている中で、TUNE の差別化のポイントはどこなんでしょうか。


岡田:前提として、TUNE はアプリ計測だけではないんです。先ほど「データを様々なセグメントを切って広告などのプロモーションに活用することこそ、企業から求められている」と申し上げましたが、例えば、アプリ内での一連のユーザー行動を見ていくと、広告やオーガニックからはじめて流入し、その後さまざまな経過を通じて登録、その後は登録したアプリの中で課金を含めたさまざまなアクションを行います。弊社が提供する 「TUNE® Marketing Console」 は、この一連の流れのすべてを一つの SDK で提供できるのが強みになっています。


TUNE® Marketing Consoleのイメージ



この資料でいうと、発見とコンバージョンの間(Attribution Analytics)が、いわゆるアプリ計測ツールの位置付けになります。ユーザーにプッシュ通知したりアプリ内で行動を促したりする活動は In-App Marketing になりますが、通常はこれらはアプリ計測の範囲を超えますので、専用の別のツールを入れる、ということになりがちです。
 
TUNE では、Attribution Analytics で取得しているデータと In-App Marketing として蓄積しているデータを利用し、例えば「Twitterから入ってきたユーザー」「ログインの頻度が3日に1度しかないユーザー」「特定のエリアにいるユーザー」といったセグメントに切り、そのユーザーさんに対してリエンゲージメントを行う施策がツール内で完結できます。こういった入り口から出口までをワンストップ、ワンSDK で提供するのが TUNE のサービスです。


アタラ:なるほど。先ほど私が挙げたような定義は「アプリ計測」で、その後のエンゲージメントまで含めると結局 SDK は増えてしまうと。そう考えると、1つの SDK でできる範囲が広いという、TUNE の立ち位置がはっきりますね。ちなみに、セグメントを切ったあとのデータを例えば広告として活用するところはいかがでしょうか?


岡田:外部とのデータ連携もしやすいです。DSP などの広告配信に加え、他の分析ツールや DMP などとも幅広く連携しています。TUNE自体が多くの API を提供しているので、企業の中で利用されているさまざまな製品と繋げることができます。


2016年夏に Multiverse という製品をグローバルでリリースしました。各メディアから API 経由でデータを繋いで費用対効果を算出できるものです。広告運用の現場では売上データや広告データを手動で集計していることが多いと思いますが、この機能があればかなり工数を削減できると思います。日本のメディアさんもいくつか繋がり始めたばかりなので、これからどんどん増やしていくのが直近の目標ですね。


TUNE Multiverse




日本市場に見出す可能性



アタラ:1つの SDK でワンストップにさまざまな機能を提供されるということは、裏側での開発の速度や品質に、相当高いものが求められるのではないかと思います。今後も取得できるデータや繋げる先がどんどん増えていくはずですので、求められる技術力はインフレしていきますよね。


岡田:他のツールベンダーさんでも似たような標榜をされていると思いますが、我々は最も規模の大きいアプリをグローバルで相当数対応させていただいているんですよね。これに耐えうる技術や堅牢性に期待を頂いていることを感じています。


アタラ:ダッシュボードだけでなく、他社の広告配信系のツールと繋がるということを考えると、堅牢性のほかにリアルタイム性も問われてくると思います。例えばサーバーの物理的な距離なども、パフォーマンスに直接影響しますよね。広告配信で求められるパフォーマンスほどではないかもしれませんが。


岡田:サーバーのロケーションは日本のお客様へ最適で安心なサービスを提供するため、日本にサーバーを置いています。


アタラ:日本法人が設立されたのが2016年の1月で、12月に岡田さんが日本法人の代表に就任されました。2017年が本格的に伸ばしていく年になると思いますが、日本では具体的にどのようなビジネス展開をされるのでしょうか。


岡田:TUNE はエンジニアの割合が多い集団で、グローバルに拠点があるのでサポートは基本的に24時間対応できます。元々そういう技術的なサポート面は強い企業ではあるのですが、日本ではさらにサポートを強化していきたいと考えています。営業拠点というよりサポート拠点というイメージの方が強いかもしれないですね。すでに TUNE を使って下さっているお客さまは日本でも数多くいらっしゃいますので、そのお客さまをローカルできちんと対応していくという意味合いが強いです。


アタラ:採用面でも、技術サポートを積極的に強化していくと。


岡田:我々としては短期的な利益を営業で追いかけるのではなく、技術やサポートを通じてお客さまとの信頼関係を築き、長くお付き合いして頂くという方針で動いています。いくつか採用の枠も用意してありますので、一緒に働いてもらえる方には、サポートエンジニアやアカウントマネージャーのように、お客さまと直接お仕事ができるポジションでお迎えしたいと思っています。


アタラ:素晴らしいですね。一方で、採用は非常に難しそうだなとも思いました。技術サポートで、かつ外資なので英語がある程度堪能で、立ち上げフェーズで働ける人、となると…


岡田:他の企業さんでもかなり苦労されていると聞いています(笑)。


アタラ:ただ、技術者にとっては、先ほどの「信頼関係を築き、長くお付き合いしていく」という方針は非常に魅力的に映るのではないかと思います。ツールは刹那的な営業だけでは数字は上がりにくいですし、長く使って頂くことで開発投資をリクープしていくのがソフトウェアビジネスの基本だと思いますので、僭越ながらローカルの技術サポートは採用の中でも最重要ではないかと思いました。


岡田:ありがとうございます。私は、「ローカライズ」の日本語訳は「根付く」が適しているのではないかと思っています。お客さまに「TUNE は日本の製品」だと思ってもらえれば、それこそが根付いている証拠だと思うので、そういう状態までたどり着きたいと思っています。ドキュメントや情報発信を全部日本語にしたからOKかというと、そういうものではないのかなと思っています。





アタラ:まさに仰るとおりですね。サポート以外の部分、例えばマーケティング面ではいかがでしょうか。


岡田:マーケティング施策は幾つか考えていますが、その中でも日本のお客さまとのインタラクティブなコミュニケーションを増やすために、オフラインのイベントを実施していきたいと考えています。まずはエンゲージメントやリターゲティングについてのケーススタディ、アプリマーケティングのトレンドなどをテーマにして開催していきたいと考えています。一部のメディアさんなどにはすでにお話しさせていただいていますし、ご協力できる会社さんとの共同セミナーなども企画しています。動画なども活用していきたいですね。


アタラ:たくさんやることがありますね!


岡田:この業界は動きが早いので、どんどんやらないと置いていかれてしまいますので、頑張ります。


アタラ:お話を伺って、TUNE は外側に開いているという印象を受けました。囲い込みに走ったり、繋いで広げていく技術的な思想が弱い企業よりは、世界中で使われているさまざまなメディアやツールに疎結合できて、データを無理なく活用できる素地がある企業が最終的に強くなっていくのかなという気がしています。現時点では日本はかなり群雄割拠感がありますので、マーケティングもやればやるほど反応がありそうですよね。


岡田:弊社内でも言われているのが、「マーケターは、最後にはやりたいことができるツールに帰ってくる」ということです。最終的にやりたいことができるツールは TUNE だった、というお客さまは多いので、そういう存在であり続けたいと思います。


アタラ:1つの SDK で提供できるということは、アプリの成長に合わせて同じ SDK の中でサービスを更新できるという強みがあるのではないかと思いました。数万ダウンロードの頃は特に必要がなかった機能が、数百万ダウンロードになると必ず必要になってくるということは多いのではないかと思います。フェーズに合わせて毎回ツールを変えるのは大変ですし。


岡田:まさにおっしゃる通りです。また、データは時間軸でどんどん増えていくので、そのデータをきちんと担保できる設計にすべきだと思います。例えば、半永久的にデータを保持していないツールの場合は、データが削除されて次回から新規ユーザーになってしまうといったことがあると思います。そうすると、プロモーション側では CPI や CPC の信頼性が下がってしまうんですよ。同じ SDK でデータをほぼ完全に保つというのは、想像以上に重要なことだと思っています。その点、TUNE は半永久的にデータを担保しておりますので、安心です。


アタラ:よく分かりました。最後に、今後について一言お願いできますでしょうか。


岡田:TUNE は北米の会社でもあり、最先端の技術やトレンドなど、アプリなども北米から始まるケースが多く、そういうものに興味がある方、活用したい方々とディスカッションしていきたいなと思いますので、ぜひお声がけいただければありがたいです。アプリだけでなく、デジタルマーケティングをよりよくしていくためのお話であれば、ぜひ一緒にしていきたいですね。
 
アプリに限らずどの分野でも動きが早いですが、通底しているのはデータの重要性です。どんな仕事であれば、データを活用するところに僕はチャンスがあると思っているので、色々とご相談頂けるとうれしいです。


アタラ:本日はありがとうございました!


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