AdWordsの「データドリブンアトリビューション×自動入札」から考える、広告運用者のこれから

アトリビューションを加味したコンバージョン表記が可能に

 
2016年5月、Google は AdWords の管理画面にアトリビューションモデルを加味したコンバージョントラッキングを実装することを発表しています。

リンク:Analytics Blog: Move beyond last click attribution in AdWords
※2016年6月に日本語にも翻訳されています→ 日本語版

今回の更新によって、AdWordsのコンバージョン設定画面から6種類のアトリビューションモデル(ラストクリック、ファーストクリック、線形、減衰、接点ベース、データドリブン)を選択できます。新しいモデルを選択すると、これまでラストクリックにのみ割り当てられていたコンバージョン貢献度が再度モデルに合わせて割り当てられ、以降のコンバージョンデータも変化します。(昨年からコンバージョンの値が自然数から小数点有りに切り替わったのは、このためですね)

設定手順は、以下です。
・画面上部の「運用ツール」タブをクリックし、「コンバージョン トラッキング」を選択
・左側の「コンバージョンアクション」メニューで対象のコンバージョンをクリック(ペンボタン)
・「設定を編集」ボタンをクリックすると以下のような画面になるので、設定したいモデルを選択

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アトリビューションモデル設定画面


AdWordsでは2014年より検索広告を対象にアトリビューション機能(旧:サーチファンネル)を提供していますが、今回もGoogle検索とショッピング広告を対象としたすべてのクリックについてのコンバージョン経路を加味した上で、モデルごとにコンバージョン貢献度が計算されます。これは既に2015年5月の新機能発表で伝えられていたことですが、それがアナウンス通り実行されたと言えると思います。

参考記事:
【追記あり】更新されるAdWordsのコンバージョン表示は、アトリビューションを加味した入札最適化への布石か
2015年5月版アドワーズ新機能発表と、その詳細解説

データドリブン×自動入札の威力

 
今回の実装によってアカウント単位でアトリビューションモデルに合わせた計測が可能になったことにより、

・管理画面上で、ラストクリック以外の指標で分析が可能
・アトリビューションモデルに合わせた入札の自動最適化が可能


という、運用型広告のアカウントマネジメントをする上での、大きな転換点を迎えることになります。
(実際は他の媒体とレポート上での平仄を合わせるなどで、すぐに実施が難しい企業も多いかもしれませんが…)

中でも大きいのは、「アトリビューションモデルに合わせた入札の自動最適化」ではないでしょうか。これまでもGoogleアナリティクスで貢献度を分析したり、AdWordsのアトリビューション機能を使って検索キャンペーンの貢献度を測ることはできていましたが、今後は、それが分析だけでなくダイレクトに入札と統合されることになりますので、アカウントごとの計測モデルに合わせた自動入札が可能になります。

特に、データドリブンアトリビューションモデル(ベータ版)との組み合わせは強力だと思います。データドリブン型では、減衰や接点ベースのようなルールベース型のモデルとは異なり、機械学習によってアカウント全体でコンバージョンに至った経路と至らなかった経路がすべて評価され、広告のインタラクション数、接触の順序、広告のクリエイティブなどの多数の要素を加味して各接点に適切な貢献度が割り当てられるので、これまで以上にビジネスや広告キャンペーンに即した実績が得られやすいと思われます。

なお、データドリブンアトリビューションは現在のところボリュームの多い一部のアカウントに限られており、過去30日以内に20,000クリックかつ800回以上のコンバージョンデータの蓄積があることが要件のようです。B2Bなどでコンバージョンが蓄積しにくいキャンペーンでは、マイクロコンバージョンなどで試してみるのもよいかもしれません。

ちなみに、データドリブンアトリビューションを活用してみると、多くのEコマースアカウントでは、ショッピングキャンペーンやインフォマーシャルクエリ(ビッグワード)の貢献度がラストクリックのそれより大幅に上昇していることが見て取れるのではないかと思います。

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ショッピングキャンペーンの貢献度が上昇


もちろん、それはデータドリブン以外の減衰や接点ベースなどのルールベースモデルでも同じような傾向になることが多いと思いますが、データドリブンの方が分析に加味される要素が多いため、時間やコンバージョンパスだけでは納得感の薄かった商材でも、以前より精度の高い配分が可能になるのではないかと思います。

このあたりの重要性は Google も啓蒙に力を入れており、以下のようなドキュメントもありますので併せてご確認下さい。

リンク:ラストクリック以外のアトリビューション: Google がおすすめする実践的な手法 – AdWords ヘルプ

データドリブンな入札を前に、運用者がすべきこと

 
ここ数年で急速にユーザー環境のマルチデバイス化が進んだことで、キーワードレポートに記載されているラストクリックの情報を元に上限CPCを調整するという旧来の入札業務(外部の入札ツールなども含めて)とデータドリブンな自動入札とでは、大規模アカウントであればあるほど効率でも効果でもほぼ比較にならないレベルまで差がついてしまいました。

forrester-doubleclick

参考:faster-pace-for-retail-paid-search_research-studies(PDF)


上記は、米国を含む主要5か国の大規模Eコマース事業者(従業員が200人以上)240社を対象にした Forrester と Google の共同調査ですが、自社のリスティング広告運用を半分もしくはそれ以上自動化している企業は全体の75%にも及び、完全自動化している8%の企業を含めると、全体の8割以上が運用の大半を自動化しているという調査が出ています。(この調査が行われたのは2014年8月で、本記事の執筆時点から約2年も前です)

もちろん、何を「自動化」するかは企業によって違いがありますが、少なくとも、様々なシグナルから自動的に重み付けして入札を最適化していく機能は、既にトレンドというより常識に近いレベルだと言って差し支えないと思われます。

ここで重要なのは、「自動化だから人手が要らない」ということではなく、自動化の促進によって、手動で行う仕事が高度化(上流工程へシフト)し、創造性が必要な仕事の重要性が一層高まっているということだと思います。自動化が進めば進むほど、「仕組みを理解」して「適切な意志決定」ができる人材の市場価値は以前より高まるものと考えられます。

今後は、機械学習や自動化というプラットフォームの仕組みを理解した上で、ショッピングキャンペーン等のモダンな配信を可能な限り素早く実装し、適切なパラメータを設定する能力がますます重要になっていくでしょう。マイルストーンを着々と刻んでいくAdWords、広告運用者もマーケターも、そのスピードに追いついていかなければなりません。

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