結果を出せる広告運用者になるために意識した4つのこと

最近は、広告運用についてのアドバイスができる立場になっているが、最初から上手く運用が出来ていた訳ではない。当初は、どうしてよいのかわからなかったし、お世辞にも上手く運用しているとは言えなかった。


もちろん、日々の運用は必死に頑張っていたし、もっとレベルを上げたいと強く思っていた。頑張った結果かどうかは分からないが、半年くらい経つと徐々に成果が出せるようにはなったものの、アカウントによって成果の差が激しく、運用結果にブレが出てしまっていた。


当時を振り返れば、運用結果にブレが生じていたことは、当然だと思う。ただ、当時はなぜブレるのか分からなかったし、気づくまで時間がかかった。あることを意識しだしてから業界・業種や目標に左右されない安定した運用結果を出せるようになるのだが、今回は過去の経験を振り返り、その「あること」について、結果を出せる広告運用者になるために意識したことについて、まとめてみたい。



■基本ルールは、正しく深く理解する

 
一般的な運用型広告の研修・トレーニングは、実践に重きが置かれているように感じる。配信プラットフォームが洗練されてきた結果、知識がなくても掲載を開始するまでのハードルはどんどん下がってきている。しかし、成果を出すためには、運用型広告の基本ルールを正しく理解し覚えることが、大前提だと思う。


過去の僕自身がルールを正しく覚えていない時に、やってしまっていたことは…


運用の現場ではよくあることだとは思うが、検索連動型広告で平均クリック単価が上昇し、獲得単価が悪化していることに、報告会用のレポートができて数値を改めて確認したときに初めて気づく、なんてことがあると思う。すると、報告会のレポートには、獲得単価が悪化した原因について「競合他社が入札を強めたため(=外的要因)」と書いてしまう。


今、振り返ると、本当に恥ずかしいことなのだが、当時は「外的要因」という言葉を、報告会のレポートで頻繁に発していた思う。


確かに、クリック課金の金額は競合他社の入札に影響を受ける。このこと自体は間違っていない。しかし、平均クリック単価が高くなった原因は、それだけだろうか?


言われてみれば当たり前なのだが、クリック課金の金額は、何となく決められているわけではない。すべての広告が同じ基準で評価され、同じ計算式でクリック課金の金額は決定されている。


課金クリック単価=1つ下に掲載されている広告の広告ランク÷自分の広告の品質+1円


課金クリック単価を導く計算式は、研修で習っている人が多いと思う。しかし、実際の運用で活用していなければ、習っていないことと同じだ。この計算式には、広告ランクという大切な概念が組み込まれている。


広告ランクは用語として覚えるだけではなく、どのような意味があるのか、どのように運用で活用すべきなのかまで、考えなければならない。



Google AdWordsヘルプ:広告ランクより https://support.google.com/adwords/answer/1752122?hl=ja


自分が広告運用に携わり始めた当時は、このような動画は Google AdWords のヘルプページにはなかったし、ヘルプページは今ほどは充実していなかったと思う。


でも、当時の環境でも社内の先輩へ質問することも出来たし、Googleへ問い合わせすることも出来たはずだ。拙い英語力でも、「Second-Price Auction Internet advertising」などと検索すれば、海外の情報を得ることもできたはずだ。習ったことに対して疑問をもち、自ら深めていかなければ、運用が上手になることはない。努力していた運用者と差が開いていいたのは、当然の結果だったと思う。


特に基本ルールをインストールする時は、どのように運用に結びつくかをイメージして記憶した方がよい。課金クリック単価を導く計算式を運用で活用できるようになった時から、ヘルプに書いていることが運用と結びつくようになった。今でも運用に困ったら、まずヘルプを読むことにしている。基本ルールを、正しく深く知らないと、運用力は向上しない。



■基本ルールから、現象を読み解く

 
では、なぜ競合他社の影響で、平均クリック単価が上昇したのか?
紐解いてみよう。


状況を念のため確認しておくと、平均クリック単価と獲得単価が上がったキーワードは、上限入札単価を変更していない。獲得数も獲得単価も好調だったので、入札は現状維持の方針にしていたからだ。


この状況で、手元にある情報は2つだ。


・課金クリック単価=オークションの結果1つ下になった広告の広告ランク÷自分の広告の品質+1円
・掲載結果のレポート


掲載結果のレポートから、平均クリック単価はわかる。課金クリック単価の合計が利用金額になる。その金額をクリック数で割った金額が、平均クリック単価だ。そこで、課金クリック単価の部分に、平均クリック単価を当てはめる。管理画面やキーワードレポートから、品質スコアを確認することができる。品質スコアは、自分の広告の品質の近似値と捉え当てはめると、1つ下に掲載されている広告の広告ランクの概数を導くことが出来る。


1つ下に掲載されている広告の広告ランク=(平均クリック単価-1円)×自分の品質スコア


仮に、平均クリック単価が51円。品質スコアが6とすると、300=(51円-1円)×6 になる。1つ下に掲載されている広告の広告ランクは300であることがわかった。


広告ランクによって、掲載順位は決まる。1つ下に掲載されている広告の広告ランクが、運用しているアカウントの広告ランクを超えない限り、掲載順位に変化はない。なので、成果が好調な時は入札を上げ、掲載順位が下がらないように設定をしてしまうことがある。


しかし、ここが落とし穴だ。もう一度、課金クリック単価を確認してみよう。


課金クリック単価=1つ下に掲載されている広告の広告ランク÷自分の広告の品質+1円


広告ランク=上限クリック単価×自分の広告の品質なので、1つ下に掲載されている広告が入札を強化すれば、広告ランクは高くなる。自分の広告の品質が高くならなければ、分母が大きくなるので、課金クリック単価は上昇する。


例えば、1つ下に掲載されている広告の想定広告ランクが360になれば、360÷6+1=61円になる。つまり、何も変更していないにも関わらず、10円も課金クリック単価は上昇してしまう。結果が好調だからといって、上限クリック単価を闇雲に高く設定することはリスクが伴う。


当時の僕も、成果が好調なら入札を上げ、上位掲載を維持する運用をしていた。上位掲載を維持する方針は、決して悪いことではない。しかし、1つ下に掲載されている広告が入札を上げてきた場合のリスクを知っていれば、悪化することを防げたはずだ。しっかりと基礎ルール理解し、運用に活用しなければ、安定的に成果を出すことは難しい。



■自分なりの運用ルールを作る

 
この経験から、平均クリック単価から1つ下に掲載されている広告の広告ランクを計算したうえで、運用しているアカウントの上限クリック単価を決めるようにした。例を挙げれば、大抵の場合、1つ下に掲載されている広告の広告ランク+20の広告ランクになるように入札することにしている。そうすることで、意図しないクリック単価の上昇を防ぐことができる。


さらに、広告ランクから逆算した上限入札単価を適切に設定することで、競合が入札を上げてくれば、平均掲載順位は下がってくる。成果につながっているキーワードなら、1日に何度か掲載を確認するので、掲載順位が下がっていることは目視確認出来るし、今では「自動化ルール」などでアラートを飛ばすことも出来る。以前のような入札方法では、管理画面にログインし数字を確認するか、レポートを抽出し確認するまで、平均クリック単価の悪化には気づくことは難しい。


このように変化の兆しを示してくれる「シグナル」を持っていることは、とても重要だ。そして、シグナルを確認する方法は、可能な限りシンプルな方がよい。例えば、掲載順位の目視確認する際は、競合の広告文に変化がないか、新しい競合他社がいないかなども、同時に確認するよにしている。工数削減のために1つの作業で、複数のタスクを進めることが出来ることも意識している。


もちろん、すべてのキーワードを注視し掲載確認をすることは、現実的ではないし、拡張クリック単価(拡張CPC)などの自動化機能を積極的に活用し、効果を出していくことが必須になっている。しかし、基準となる上限入札クリック単価の根拠が明確でないと、行き当たりばったりの運用になってしまう可能性が高い。


広告ランクを理解することから出発し、幅広く自分なりの運用のルールを作っていくことが出来る。何となく運用するのではなく、基本ルールを理解し、そこから導き出した自分なりの運用ルールを活用すれば、運用は、ぐっと安定する。


もちろん、最初から自分なりの運用ルールを作ることは難しい。ルールには、再現性が重要だ。設定や運用した結果が、どのアカウントでも、ほぼ同じでなければルールと言えない。何度も試行錯誤して、同じ結果を出すことでルールにできる。運用結果から、ルール化できることがないかを、常に意識していくことが大切だ。



■スキルを上げるチャンスを逃さない

 
ある程度、自分なりのルールが出来上がり、安定して成果を出せるようになった後、成果を出すことが難しいアカウントや予算額が大きな案件を担当するなど、積極的に経験を積むことが大切だと思う。今も、時間的、精神的、体力的に大変になることがわかっていても、積極的に担当するように心がけている。


過去を振り返り、スキルが上がったと思うのは、時間的、精神的、体力的に大変なアカウントを担当した後だ。あの経験がなければ、今のような立場にはなれなかったと思うことがある。特に、自分なりのルールで解決できない案件から学んだことは非常に大きい。運用型広告のスキルは、常に更新し続けていかなければならない。逆説的ではあるが、意識的に自分のルールを捨てる機会をもつことは大切だと思う。過去の成功体験を捨てる勇気は大切にしている。


また、大型案件の提案に関わる機会があれば、積極的に参加することにしている。運用型広告以外のデジタルマーケティング施策やTVCMなどオフライン広告も含む、総合的な提案の場合は、無理をしてでも参加するようにしている。総合的な提案の場合、自力では登ることができない標高の高い山へ、強制的にヘリコプター連れて行かれる様な体験は、視野をぐっと広げてくれる。


そういった経験は、運用型広告だけでは解決できない部分があることを、改めて実感させてくれる。同時に、運用型広告でしか解決できない部分があることも、明確にしてくれる。全体の中で運用型広告の役割を理解し、他施策との相乗効果を出す方法を考えるチャンスになる。運用型広告に閉じない、運用者であり続けるために、とても大切な経験だと思う。


実際、過去に何度か、この経験をしているが、連れて行かれている途中はかなり辛い。しかし、飛躍的にスキルが上がる実感がある。



■結果を出せる広告運用者になるために意識した4つのこと

 
これまでの経験から、結果を出せる広告運用者になるために意識した4つのことは、以下の4つになる。


・基本ルールは、正しく深く理解する
・基本ルールから、現象を読み解く
・自分なりの運用ルールを作る
・スキルを上げるチャンスを逃さない


意識している4つのことは、運用型広告に限ったことではなく、仕事全般に通じることだと思う。そして、普遍的なことほど継続していくことはとても難しい。だからこそ、常に意識するように心がけている。運用型広告の運用を真剣に取り組むことは、安定的に成果を出すスキルを身につけることができるし、これからのキャリアにとっても決してマイナスにならないと思う。

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