Unyoo.jp特別鼎談:SEOとPPC、共存の道をさぐる ーアユダンテ村山さん、寳さん

SEOコンサルティングや運用型広告、各種サービスを展開するプロフェッショナル集団として有名なアユダンテ株式会社にお勤めの村山佑介(むらやまゆうすけ)さん、寳洋平(たからようへい)さんは、それぞれSEOのコンサルタント、運用型広告のコンサルタントとして共に顧客の課題に向き合っていらっしゃいます。


今回は、どちらも検索エンジンのSERP(検索結果)に非常に縁が深い仕事でありながらも、それぞれが違う業務として認識されてきたSEOとPPCについて、プロフェッショナルであるお二人にお話をお伺いしました。


話し手:アユダンテ株式会社
SEOコンサルタント 村山佑介さん
SEMコンサルタント 寳 洋平さん


聞き手:アタラ合同会社 岡田吉弘


※このインタビューは2016年3月に行われました。



コンテンツという点を、広告で線にする



岡田:元々このインタビューは、SMX WEST 2015に参加されたお二人のコラムを拝読したときからぼんやりとアイデアとしては考えていました。本日は改めてお話を伺えるので楽しみにしています。


※未読の方はぜひ本文の前にご一読下さい:
リンク:SEOとPPC、共存の道―SMX WEST 2015から|コラム アユダンテ株式会社


このコラムから約1年が経って、書かれていた「コンテンツリマーケティング」という考え方だけにとどまらず、データフィードや動的検索広告(DSA)など、SEOとPPCが交わるところで考えないと成立しにくい施策が以前にも増してスタンダードになりつつあります。


今回は、2016年の春という現時点において、一般にはなかなか交わりにくいとされるSEOとPPCの業務上の共存について、今日的な回答と言いますか、実践的なアプローチが聞ければいいなあと考えております。


寳:ありがとうございます。まず、この記事で書いたSMX West 2015のことをお話ししますと、当時は ?今もですが? 私がPPC担当、村山がSEO担当として参加したので、聴講したトラックも別々に分かれていました。一日が終わって二人で夕食を食べながらその日のインプットについて話していると、聞いていた内容は違うはずなのに、考えていたことがそんなに変わらなくて、繋がっていたことに気付いたんですね。広告とオーガニック、それぞれは違うアプローチだけれども、同じような問題意識を持っていたんです。そこで、実際の施策をカスタマージャーニーというか、ユーザーの情報行動へプロットしていくと、広告とオーガニックそれぞれの役割が整理できて、今まであまり浮かび上がっていなかったような連携の可能性を感じました。


元々は業務内容もクライアントも分かれていたけれど、一緒に話してみたら壁はそんなになかったことに気付いたという感じですね。それであの記事を書きました。もちろん、業務レベルでいえばまだまだ道半ばではありますが。


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寳 洋平さん



村山:SEO側の視点で申し上げますと、例えば、SEOを行う人は広告のことを考えてコンテンツを作ることはあまりないと思いますが、仮に潜在層向けのコンテンツ群をサイト内に作ったときに、情報探索の結果としてコンテンツAグループに着地した人たちには、次はコンバージョンに近いコンテンツBを見てほしいので、そこでリマーケティングやRLSAを使ってもらう、といった施策はそれほど無理がないのではと考えています。


SEOでサイト全体を整える際は、ウェブサイトに関連性のある検索されたキーワード(検索クエリ)を洗い出すんですが、ただ洗い出すだけではなくて、その検索クエリから実際のユーザー層・ユーザー像を考えて施策に結びつける必要があります。それまである情報を全く知らなかった人が何がきっかけに知ることになったのか、どういうコンテンツを介して熱量が高まっていくかと考えたときに、いきなりコンバージョン目的だけのコンテンツがあっても意味がないので、検索ニーズがあり、かつちょっとコンバージョンまで遠いようなコンテンツも、動線などをきちんとした上でサイト内にバランスよく配置していく。


その設計を広告側の人にもうまく利用してもらうというのが、業務上で交わっていきたい領域だと考えています。コンテンツ一つ一つが点だとすると、点と点を繋いで線とするところで広告が活きてくるのではないかと。


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村山佑介さん



寳:SEOによってサイトの構造が整備されることで、広告、ひいてはマーケティングがしやすい環境ができるんですよね。それは多くの方が実感としてあるのではないかと思います。


村山:キーワードの精査をきちんとやっておくと広告もやりやすいというのは事実で、それはおそらくSEOの担当者も無意識でやっている部分があるのではないかと思います。例えばURL体系がすごくきれいなことによって、動的検索広告(DSA)のコントロールがしやすいなどです。URLの体系がきれいなこと自体が検索順位に直接的に影響するわけでは必ずしもないのですが、アクセス解析をする上でも、DSAやリターゲティングをコントロールする上でもきれいな方がいいというのはありますね。


岡田:サイト構造そのものが直接的に成果を生むわけではないけれど、そこからの日々の運用や分析のコスト、広告効果までが少しずつ変わってくるわけで、積み上げていくといつの間にかとんでもない差になってくるということですよね。


村山:そうですね。例えば、商品一覧ページや商品詳細ページなどでも、SEO的には画像よりテキストが充実していた方がよいので、クライアントには「たくさん書いてください」と頼むんです。そうすると、商品の説明や使い方など、商品にまつわる情報量が増えていきます。結果的に、そういうテキストはインデックスされてDSAのターゲティングに繋がるので、そういうテキストを使って広告の精度が上がるのはSEOとしても喜ばしいというか、ちゃんとコンテンツを作ったことで得られる利点みたいなものですね。


岡田:素晴らしいですね。もしそのページ情報からデータフィードが生成されていれば、ショッピング広告(旧:商品リスト広告)などのフィード型広告のパフォーマンスも向上が期待できますしね。コンテンツの充実によってユーザーに選んでもらうための引き出しが増えるということですね。


寳:あとは、仮にコンテンツ側だけで動線を作るとなると、ちゃんとカテゴリ付けやタグ付けをしておいたり、「この記事を見ている人はこの記事も見ています」というレコメンドを出す感じになりますが、ユーザーは必ずしも制作側の意図どおりに渡ってくれるわけではないですから、前回とはまた別の意図で来訪する方に対してはRLSAやリマーケティングなど、こちらから導いてあげるために広告という手段を使うと効率がいいですし、伝えたいことがちゃんと伝わる可能性がある、という作用もあると思います。



処方箋の違いを施策に活かす



岡田:アユダンテさんは1つの会社の中にSEOとPPCという2つの専門性があります。業務上交わるケースというのは、具体的にどんな感じなんでしょうか?


寳:業務面とナレッジ面それぞれで交わりがあると思います。まず業務面では、先ほど申し上げたことと重複するのですが、SEOによってサイトの構造が整備されることで、マーケティングがしやすい環境ができるんですよね。これは、並列(パラレル)ではなくて連続(シークエンス)の関係だと考えています。


よくPPCではアカウントの設計がすごく重要と言われるじゃないですか。実際にそれはとても重要なんですけど、その一つ前の段階で、サイトの設計や構造がそれ以上に重要であるはずなんです。サイトを整えるという工程の後にPPCというマーケティング、実行していくプロセスがあるという位置付けで考えています。


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岡田:なるほど。私はSEO担当とPPC担当がクライアントに対して総合提案する、みたいなイメージを勝手に抱いていたのですが、先にSEOがあって、その後PPCがあるという仕事の順番が、現実の業務に近いということでしょうか。


寳:はい。村山と寳が組んで仕事する、というわけでは必ずしもなくて、アユダンテが受注したかどうかに関わらず、先にSEOというか、サイトを整えるお仕事があって、その後私がPPCを担当させていただいているケースは実際にたくさんあるんですよ。だから一緒にやっていないわけではなくて、時期がズレている。シークエンス(順番)があるということです。


村山:アユダンテのSEOではサイトを整えることに全力を注いでいる案件が多いです。世の中のSEOのお仕事は、毎月何かしらの改善案を繰り返していく、という長いお付き合いがあるものが多いと思いますが、SEOの何に価値を見出して費用をいただいているのかと考えると、最初にしっかり整えて、検索順位が上がるといった単純な指標だけでなく、広告のような様々な施策で価値が出しやすい環境を作り出す。それが理想的なシークエンスだと思っています。


岡田:サイトの構造を整えて、更新や追加したコンテンツがちゃんと価値を発揮しやすくなる状況をまずつくり出すということですね。確かに、この順番の方が成果を出しやすいですよね。逆の順番よりは。


寳:出しやすいと思います。ただ、ビジネスの観点からすると、ウェブサイトを作り変えるにはそれなりに費用もかかりますし、成果を定量的に把握できるまで時間がかかることも多いので、なかなか決断しにくい。ですので、先に広告を実施してある程度ベースを作っておいて、その後SEOでさらに価値を上げるという順番も考えられるかなとは思います。費用対効果というより、投資対効果という表現の方がしっくりきますね。


村山:例えば、潜在層向けのコンテンツを作ってもらうときに、コンテンツを作るにもコストがかかるので難色を示されることもあるんですが、そういう場面で「広告でもこういう意図で活用できますよ」というアプローチをすると、SEOが費用ではなく投資として捉えてもらいやすいかなと思います。



選ばれなかったキーワードがある



岡田:なるほど。もう一つ、先ほど寳さんが仰っていたナレッジ面での交わりについても教えていただけますか?


寳:自分にはPPCの専門性があり、村山にはSEOの専門性があります。基本的にはほとんど共通言語で話せるんですが、やはり持っている引き出しや勘のようなものが違うので、ある課題があったときに、それに対して出す処方箋がお互いに違うんですね。それはすごくよいことだと思っていまして、クライアントのある状況を前にしてお互いの解釈が違い、その解釈に対して「こうするべきだ」というアクションに多様性が生まれます。これはなかなか得がたいものです。


あとは、実際の事例みたいなものですと、弊社で請け負ったSEOの仕事が一段落したクライアントのPPCを担当させて頂いたことがあるのですが、PPCの設計をする際に、SEOの仕事の過程が参考になるはずだと思い、担当者に聞きに行くと、まさにウェブサイトのカテゴリ設計をしていたプランニングシートがそこにあるわけですよ。そのシートには、カテゴリの設計とキーワードがマッピングされていて、選ばれたキーワードと等しく、選ばれなかったキーワードが痕跡として残っているわけです。


その時は、そのシートから得られた情報をもとにアカウントを設計したわけですが、まさしく環境を整えるSEOがあったからこそ、成果が出せたPPCアカウント設計ではないかと思います。


村山:そういう意味では、業務が交わっていますよね。


岡田:そこが知りたかったんです。SEOとPPCでは、最終的なアウトプットは違えど、ウェブサイトとキーワードを分類してマッピングしていくプロセスは両者で共通のもので、超大規模サイトを除けばおそらく必ず発生しますよね。にもかかわらず、Googleアナリティクスも見ず、サーチコンソールも見ず、キーワードプランナーやサジェストも見ていない状態で、サイトの構造もよく分からないけどとりあえずキーワードの掛け合わせシートみたいなもので大量に掛け合わせを作って突っ込んでいるPPCのアカウントは、驚くほど多いのが現状です。単品通販なのに10万キーワード入札していて、9万8,000くらいがゼロインプレッション、というのを平気でやっていたりするわけですが、ある程度品質を担保しようとすれば、検索クエリの分析やサイトマップ的なものをある程度把握した上でないとアカウントを作るのは難しいと思います。


検索クエリとサイトで提供できる価値と予算とのバランスを見ながら、それらの要素がいい感じで交わるところをちゃんと作っていくプロセスが、アカウント設計という仕事の要諦だと思いますが、増やす作業ばっかりしていて、増やしたあとの分類や最終的に削っていく作業を疎かにするとカオスになるだけですよね。その意味でもPPCの初期に実施する業務プロセスは、途中までは本来SEOと相似形のはずですし、お互いに学ぶところは多いのではないかと思います。


寳:そうですね。アカウントの設計時に、SEOのシートがあったことで、選ばれたキーワードと選ばれなかったキーワードがあったことが分かりました。その選ばれなかったキーワードは、SEOでは使わなくても、PPCでは検討の余地があるわけです。キーワードツールを使ったり、アクセス解析というのはもちろん使うわけですが、既にそのプロセスを一度通過した、サイトの設計段階で考え抜かれた跡は、SEO以外でも利用価値があるんです。


岡田:その痕跡が残っているってすごくいいですね。検索だけでなく、むしろコンテンツターゲットなどの文脈連動のターゲティングでいくらでも応用は利きますしね。ユーザーはそのサイトの中だけで検討しているわけではないですから、世の中でどういう言葉で書かれているかを想像することが、外部のコンテンツとユーザーの興味をマッチングさせる上で重要になりますし。


寳:SMX West での「コンテンツリマーケティング」という話に沿って申し上げれば、コンテンツリマーケティングに入る大前提として、例えばディスプレイネットワークからのトラフィックは通常の検索連動と比べるとユーザーの新規率が高いことが多いと思います。それはそのサイトに入ってくる前段階で初めて知ることが多いからですが、テクニカルに言えば、コンテンツターゲットは広告が配信されたコンテンツとの関連性が高いからこそリターゲティングのようなオーディエンスターゲットより品質で上回って広告が出ているわけで、新規率が高いのはある意味当たり前なんですよね。文脈とばっちり合った広告からのアクセスをしっかりリスト化して、その後は興味深度が高まるように丁寧にリターゲティング、というか提案していくわけです。そして、この一連の流れの前提にあるのがサイトを整えるSEOであるというのは、面白いと思います。


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ストック型か、フロー型か



岡田:ここまでの話は非常に納得感があるのですが、一方で、世の中のSEMの現場では当たり前になっていないような気がします。何がボトルネックなんだと思いますか?


村山:SEO側で言うと、コンテンツを作る人が、作るまでで一旦熱が冷めてしまうというか、公開することに全力をかけていて、事業主側も「今日リリースだ」「早くアップしないと」という感じでパブリッシュまでを非常に気にかけていて、その後があまりケアされていないのかなとは思います。作ったコンテンツに一体何人来たのかとか、コンテンツがどういう風に使われているんだっけといったことは、あまり話題にならない気がしています。


岡田:確かに。メディア企業がインハウスで広告運用していても、アクセス解析をくまなく見ている担当者がいるかというと、実はあまり居なかったりしますね。


村山:上手な会社さんは自分達で作ったコンテンツをディスプレイ広告で出したり、メルマガで既存顧客に案内したりしていますよね。


寳:既存顧客にはソーシャルメディアの活用もありますよね。


岡田:ソーシャルメディアで思い出しましたが、「SEOとPPC、共存の道―SMX WEST 2015から」ではSEOとPPCの共存がテーマでしたけど、PPC(ペイパークリック)という表現が、たぶん今日的な文脈だと少し足りないというか、狭いような気がしていまして、おそらく今ならソーシャルの文脈を加えないといけないだろうなと思っていました。細かい話ですが、ソーシャルであればCPMでの配信が主流になりますし、実際的な意味でもPPCとは言いにくいですよね。だから、SEOとPPCというよりは、OrganicとPaidという感じでしょうか。これも「じゃあネイティブ広告はどっち?」みたいな議論になるかもしれませんが。。。


村山:仰るとおり、SEO対PPCという文脈で私がお話していたSEOは、いわゆるSEOではないなという感じもしていました。SEOは Search Engine Optimization ですが、コンテンツに辿り着くまでの過程では、別に検索されている必要はないですしね。


岡田:「コンテンツリマーケティング」だけではなくて、特定のコンテンツに来た人たち、つまり特定の興味関心を持つカテゴリーとしてリスト化して、そこだけにカスタムオーディエンスやLook-a-likeなどで広げていくのは、PPCだけでなくソーシャルでこそ活用できそうですよね。コンテンツの特徴がはっきりしているからこそ、資産価値が出てくるのではないかと思います。


村山:そうですね。コンテンツはざっくり分けてストック型とフロー型に分かれます。ストック型は検索性があって来月や来年も使えたりするコンテンツで、サイト内で資産として用意しておく必要があります。もう一つのフロー型は、時事的だったりユーザーの琴線に触れるようなもので、タイムリーや拡散性という意味でソーシャルと相性がよいと思います。


両者は作る過程や目的が少し違います。例えば「WEBデザイナー 転職」という検索クエリがあるとするじゃないですか。転職サイトを自分が運営していたら、WEBデザイナーの求人一覧を見てもらいたいと思うクエリです。でも、「WEBデザイナー 転職」と調べる人には、既にWEBデザイナーとしてバリバリやっている人もいれば、その業界が気になっているだけの人もいます。その人たちのニーズを満たす情報をそろえるには、一覧ページの他に、WEBデザイナーのなり方、年収、流行りのWEBデザインの手法など、いろんなコンテンツ案を用意することが必要です。特に、なり方や年収は常に検索されているので、間違いなくコンテンツとして作らなければいけない。かつ、求人一覧ページからも行けるようなサイト構造にしておかないといけない…そういったことを考えながら賞味期限の長い情報を作ることを考えるのがストック型です。


一方でフロー型のコンテンツは検索されている必要はないので、流行っている話題とWEBデザイナーの内容をマッチさせたようなコンテンツを運用の中で作っていって、その届け方としてディスプレイやソーシャルを使うことになると思います。SEO側というかコンテンツを作る側としては、コンテンツという情報パッケージが有効活用してほしいなと思います。フロー型コンテンツに着地した人が、次に「WEBデザイナー 転職」と検索したときにRLSAで強めに出すとか、フロー型のコンテンツに着地した人が次に見るようなページをアナリティクスから分析して、ストック型の記事が情報として良さそうなのでディスプレイやソーシャルで配信してみて興味深度を上げられるかを確かめる、いったことがOrganicとPaidの実務が交わるような仕事の流れかなと思います。


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岡田:面白いですね。今の転職サイトの例ですと、例えば「WEBデザイナー」と「法人営業」と「ソフトウェアエンジニア」はそれぞれ全く異なるユーザーじゃないですか。だから「フロー型のコンテンツに触れた」というだけでは質的な分類はできないはずで、その後にRLSAなりリマーケティングなりでちゃんと意味のある配信をするためには、リストとしてそれぞれ異なるユーザーごとに分類されていないといけないですよね。そこで改めてSEOの重要性というか、URLやコンテンツの構造がきれいじゃないとデータが分類しにくいので、SEOとPPCはここでも結び付くんだなと思いました。


寳:仰る通りだと思います。あとから活用する想定でカテゴリごとのタグ付けをして整理されているコンテンツ群は、分析も再利用もしやすいですね。少し話が逸れますが、ショッピング広告のようなデータフィード型の広告は非常に伸びていて、真面目に取り組んでいる企業であれば、すでに皆さんひと通り出稿されていると思うんですね。この広告が今後も広がってくるとすると、今までは広告表現で競合との差別化ができる余地が残されていたものが、ショッピング広告をはじめとした自動化の流れが強まるに従って、点としてのSEMは競合との差別化がなかなか難しくなっていくのではないかと思うんですよね。AdWordsの動的検索広告(DSA)もそうですね。


「SEOとPPC、共存の道―SMX WEST 2015から」にあったコンテンツリマーケティングというのは点じゃなくて“線”の考え方です。線で作るコンテンツは、競合との差別化をいかようにも作れるのではないかと考えています。自社の商品価値・資産価値に集中して、それをいかに伝えるかを考えてコンテンツを作り、それを活用していくという考え方は点ではなく線でこそできると思います。広告だけで考える施策はいずれどこかで頭打ちになってしまいますので、自社の強みをしっかり打ち出していくにはコンテンツを作る必要が出てきて、そのコンテンツを広告にも活用していくという総合的な施策が現代的なのかなと思います。



「愛」による差別化



岡田:なるほど。コンテンツをリッチにしていくと、結果的にコンテンツから生成されるデータフィードがリッチになっていったり、動的検索広告(DSA)でカバーできる検索クエリの数が増えていく。カバーできる検索クエリが増えれば、「その瞬間にはオークション上で自分の広告しか関連性がない」という状態がきっと増えて、点においても有利と言えるかもしれませんね。


寳:そうかもしれません。ただ、ECサイトの話に限って言えば、やっぱり商品は被るんですよね。これはある程度仕方がないことです。巨大なショッピングモールのようなサイトがあらゆるものを扱っていたりすると、どうしても露出や物量ではかないません。そういうときに、中小のショップが取りうるオルタナティヴな選択肢が、先ほどのような”線”での考え方ではないかと考えています。


岡田:確かに。現時点では寳さんの仰る通り、誰でも仕入れられる商品を売っている以上は、データフィードの最適化をしたとしても、残念ながらショッピングモールが本気を出したら”点”の集合ではまず勝負になりません。ただ、敵わないからこそ、同じ商品で勝負せざるを得ないのであれば、オリジナルのコンテンツを作って、徹底的にそのコンテンツに愛を込めるしかないんですよね。結局ショッピング広告なんてあくまで入り口の一つでしかないですし、「この商品がいい」という瞬間と「この店で買いたい」と思うのは別のモーメントですから、どうやって最終的に選んでもらうかが鍵ですよね。


寳:そう思います。話を聞きに行くとすごく商品に愛があるのに、それがウェブサイトで表現できていない企業ってたくさんいらっしゃるんですよね。それをもっと表に出していってほしいです。そうすれば、その愛がコンテンツから見えてくることによって、“線”が“円”になると思うんですよね。


岡田:愛によってループが閉じると。


寳:そうです。繰り返し訪れていただけるようなサイトにしないと生き残っていけないわけですよね。生き残っていくためにはレッドオーシャンではない選択肢をとるとすると、“線”で繋ぐためのコンテンツが必要だったり、“線”から“円”を作っていくような取り組みが必要です。Googleアナリティクスを使った嫌われないリマーケティングや、絨毯爆撃のようなメールではないまっとうなCRMもそうです。ロイヤリティーが高いお客様に対してだけ特別なオファーを出して、リピートしていただく。店舗ごとの独自のやり方をしていくのは大事だと思います。


岡田:では、まとめると“愛”による差別化っていうことになりますかね(笑)。「博愛」の“愛”でしょうか?


寳:いや、「惜しみなく与える愛」かな(笑)。


村山:(笑)。ちょっと業務上の話に戻りますが、WEBサイトに問題があってSEOを実施する企業さんは、総じて商品データベースや顧客データベースにも問題があることが多いです。ウェブの改修の際にデータベースにも手を入れて、商品のディスクリプション(説明文)であったり、カテゴライズを示す項目を入れていただくことで、そのデータベースをうまくデータフィードで再利用していただこうという取り組みも始めています。


岡田:いいですね。現代的な施策ですよね。


村山:ウェブサイトも含めて、データを整える感じです。


寳:データが整うとマーケティングができるようになる。


岡田:すべての始まりはそこからですよね。


村山:データを整えるのも大変なので、やっぱりそこは愛なのかもしれないですね(笑)。


寳:愛がないと整えられないですね。


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Organic×Paid、デュアルアプローチ



岡田:最後に、お二人の今後の展望があればぜひお聞かせ下さい。


村山:SEOは昔からやることは変わらないので、「整えたデータをうまく使ってほしい」というのが全てかもしれません。データを整えて、カテゴライズも整えることで、データフィード型の広告はやりやすくなると思いますし、そうすると、商品に限らず読み物コンテンツもソーシャルなどでフィードとしてユーザーに届けられるんじゃないかなと。


岡田:別に配信するのは商品だけである必要はないですもんね。


村山:通常のディスプレイ広告の場合一つの面というか表現でしか読み物コンテンツを届けることができないので、ちょっともったいないかなと思っています。データを整えると、その瞬間の関連性に近いものを出しやすくなるというか、自分のメタ的な興味関心ではなくて、今読んでいる読み物コンテンツへの関連性がある別の面白い読み物コンテンツがフィードに流れてきたら、楽しいウェブの世界かなと。


岡田:そうするとネイティブ広告のフォーマットが一つの回答になるのかもしれないなと思いました。ここ数年でインターネット広告がかなりオーディエンスターゲティングに寄ってしまったので、そろそろ揺り戻しがあると思いますし。その人に付いた類推のラベリングより、今この瞬間に発生しているモーメントにどう応えるかの方が大事に決まっていますもんね。


寳:私は、先ほどまで話していたSEO→PPCという順番(シークエンス)は引き続き続けていきながら、今後はそれを重ねて(デュアル)アウトプットしていきたいですね。ある状況に対するPPCの専門家としての解釈と、SEOの専門家の解釈をうまく重ねあわせてアウトプットできたらと思っています。


岡田:順番ではなく、同時にということですか?


寳:同時多発的にその価値を出すことができると思っています。マーケティングの課題が年々複雑になってきている中で、以前よりも検索以外の、例えばディスプレイ広告の比率が非常に高くなってきているので、SEOとPPCという文脈で考えたときに、検索結果という接点だけがすべてだとは誰も思っていないですから、やはり別々の専門領域を持っている人間が集まってアプローチした方が価値を出せると思っています。


岡田:なるほど。ではやはりSEOとPPCという定義では狭くて、OrganicとPaidの方が現在の課題感の表現として近いですね。引き続きお二人とはこの話題を続けていきたいと思っています。本日はどうもありがとうございました!


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<告知>
村山さんと寳さんのお二人が、2016年5月27日(金)に大阪でセミナーを開催されるそうです。関西方面の方、ぜひご参加下さい!(Peatixの登録が必要です)
※セミナーは現在は終了しております


リンク:【ネコノレン】ネット広告飲み会連合 #6 Search Console出版記念セミナー☆…って来るの遅いよ?w | Peatix
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※東京でも お二人との Unyoo.jp Meetup を企画しました!(2016/7/22)
ご参加をお待ちしています!
 
イベント:Unyoo.jp Meetup Vol.7 「SEOとPPCが寄り添う」

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