広告運用にこれから携わる人へ伝えたい17のこと

※この記事は admarketech.の「広告運用にこれから携わる人への 17 のアドバイス」(2014年5月)を加筆し、再編集したものです。


業務の範囲が拡大していく広告運用という仕事

「広告運用」という業務が示す範囲が、単に広告を入稿・配信・レポートするだけの範囲に留まらなくなってきていることは、現場で仕事をしている広告運用者の方が一番身に沁みて理解されていると思います。

その認識は、近年の運用型広告市場の急伸と、それに連動したメディアの収益構造の変化によって、確実に経営層にも広がってきていると言えるのかもしれません。

The New Age of Ad Operations
Kelly Roark, Vice President, Interactive Sales and Business Development, Scripps Network, discussed the idea that ad ops is now “all ops”—all-encompassing and about much more than implementation. Ad ops teams should be driving the direction of their companies. She also noted the need to keep talent engaged by cross-training and helping them see and understand their role in the big picture.
 
広告運用の新時代
Scripps Network のインタラクティブセールス・ビジネス開発部門の副社長である Kelly Roark は、広告運用という仕事はもはや「全運用」(本来の実行部隊という業務を超えて、あらゆるものが業務の対象になっている)だという議論を展開した。広告運用のチームは会社を引っ張っていく存在であるべきで、だからこそ部門を超えた研修や大局的な視野をもってもらうように盛りたてる必要があると指摘した。

上記は、2013年に開催された「IAB Ad Operations Summit 2013」のハイライトと言われるセッション「The New Age of Ad Operations (広告運用の新時代)」での Kelly Roark女史の発言をまとめたものです。
※原文は残念ながら IAB のドメイン移行により消滅しています。

このまとめを読むと、今から3年前の2013年には、Scripps Network のようなデマンドサイドとサプライサイド両方の業務が発生するメディア企業では、広告運用は非常に重要な業務として認識されていることが分かります。(特にイールドマネジメントはメディアの収益性に直結することから、デマンドサイドが想像する以上に運用チームの重要度は高いと思われます)

関連記事:Ad Ops Summit 2013 から学ぶ広告運用に必要なこと/admarketech.

そして、この認識は、3年後の現在(2016年)には一層広がっていると言えるのではないでしょうか。


Ad Ops Skills & Training -IAB Summit 2015


上記は、「IAB Ad Operations Summit 2015」で、広告運用のスキルとトレーニングについて語られたセッションの動画ですが、冒頭で Tremor Video で製品開発のトップを務める Kelly Petersen女史が発した
 
「知識として知っている」のと「知恵を活かして実務ができる」のには、大きな違いがありますよね?
 
という問いに、Merkle の VP である Angelina Eng 女史が
 
単なる知識レベルではなく、プラットフォームの機能やそれぞれの接続を深く理解し、分析や実装などができるデータサイエンティスト的な動きや、チームごとのコラボレーションが急速に求められていますね。
 
と返しています。

彼女たちのようなマネジメント層が広告運用に対して上記の発言をしているということは、運用者は単なるコストとして圧縮や効率化・自動化の対象になるものではなく、最前線での実務を通じた知恵によって企業の競争力の源泉になりうる存在だと認識されている証左だと言えます。

年々キャッチアップが大変になっていく

一方で、役務の範囲が広がり、重要さが増していくに従って、あとからその業務をキャッチアップするのは一般的には困難になります。

大きな企業であれば分業化が進んでいるため、個別化された業務がとりあえずこなせるようになるまでの期間は短くすることができますが、IAB Summit で議論されているような、経営上の競争力となりうるような社員を育てることはますます難しくなります。アウトソーシングにして、結果的に実務が分からないまま競争力を失ってしまうことも懸念です。

現場の社員からみても、トレーニングやキャリアデベロップメントはとても気になる問題です。広告運用の仕事の平均勤続期間は15ヶ月(Ad operations employees have an average shelf life of about 15 months per hire)とも言われていることから考えても、決して楽な仕事ではありません。

参考記事:広告運用者(AdOps)としての生き方(2):企業編

特に、未経験でこの分野に入ってきた方にとっては、飛び交う言葉が難解すぎて、どうしていいか分からないことが多々あるのではないでしょうか。

未経験の人材をどのようにプロフェッショナルになるまで育てるかという課題と、新しい成長産業の中でどのように自らの価値を発揮していくかという問題は、マネジメントと従業員、それぞれの視点の違いだけで、根っこは共通の問題だと言えます。

OJT中心に実践で慣れていく企業もあれば、細かなワークフローを策定して品質管理を重視する企業もあります。どのような方法で進めるにせよ、習熟のための近道は、「ゲームのルールを理解する」ことにあると個人的には思います。

これから広告運用に携わる人への、17のアドバイス

IPG の一員である メディアエージェンシーの UM(Universal McCann)で広告運用担当役員を務める Mitchell Weinstein氏が、「Advice For An Ad Ops Intern(ある広告運用のインターンに向けたアドバイス)」というタイトルで、17のアドバイスを公開してくれています。(原文は UM Blog の消滅によって読めないため、AdMonstersに転載された内容をご参照下さい)

これから入ってくるインターンのために、あらかじめ「こういうことを伝えよう」と書いたものです。2013年に書かれたもので古い記事ですが、とてもよい内容だったので抄訳したいと思います。

出典:Ad Operations Internships: Advice For an Ad-Ops Intern | AdMonsters


 
インターンに会ったら、「Lay of the land(状況を理解せよ)」という話をしたいと思う。私は通常、新入社員には我々の業界がどうなっているのかという概要を伝え、全体像を理解してもらうように努めている。人は、自分が何のためにこの仕事をしていて、自分の仕事が企業の目的にどのように沿っているのかを理解したときに、よりよいパフォーマンスを発揮できるというのが私の信念だからだ。背景を理解することが大事なんだ。

それをシンプルに理解してもらうために、インターンに伝えることを以下の17のリストにまとめてみた。

1. 広告代理店には2つある。広告を作る代理店と、その広告をしかるべき場所へ設置する代理店で、我々は後者だ。

2. 我々はフルサービスの代理店だ。TV放送、紙媒体、デジタル、OOH、メディア戦略など、非常に広範囲のサービスを提供する。これらの中で(今回のインターンで)注力するのは、デジタルだ。

3. ここ(UM)は素晴らしい場所だ。君がここで受ける教育は、今後のキャリアにとってかけがえのないものになるだろう。ここにいることが幸運で、さらに言うと広告テクノロジーの最前線であるデジタルのチームに参加できることは非常に幸運なんだということを、心にとどめておいてほしい。

4. 我々のチームの仕事は、プランニングされたメディアを確保し、設計通りに確実に実行することだ。かんたんに聞こえるかもしれないが、これはとても難しいことなんだ。

5. 我々のチームの仕事は、クライアントにとって新しくて効果的なテクノロジーを探し当て、どれが適切なのか評価することでもある。これは非常に困難であると同時に、楽しくやりがいのある仕事なんだ。

6. 大事なことは、自分のすべての仕事に細心の注意を払うことだ。小さな違いが、キャンペーンの成功に大きなインパクトをもたらしうるからね。

7. 代理店の組織構成で混乱することがあると思う。大きな代理店の多くはたくさんの部門を抱えていて、それぞれの関係はとても複雑だ。だいたいの概要は初めに伝えるが、現時点で気に病む必要はない。どこかで組織がガラッと変わることだってある。

8. 我々はメディアパートナーから広告を仕入れている。メディアパートナーは、パブリッシャー、ベンダー、セルサイド、サプライサイドなどとも呼ばれる。どれも互換性のある言葉だから、同義語だと思ってもらっていい。

9. メディアパートナーには3種類ある。1)自社の保有媒体として運営しているもの 2)多くのサイトから広告在庫を仕入れてまとめているもの 3)アドエクスチェンジを通じて配信できるもの それぞれ重なる部分があるが、それぞれの違いはとても重要だ。

10. デジタルメディアは第三者から広告が配信される。広義の第三者配信にはたくさんのメリットがあって、効果や効率を増加させることができる。このコンセプトを理解するためにたくさんの時間を費やす必要があるが、まずはメリットがあるという事実を押さえておいてくれ。

11. これからきっとたくさんのバズワードや三文字略語を聞くことになるだろう。プログラマティックとかプライベートエクスチェンジ、RTB や DSP、DMP や ATD などだ。この業界の人はみんな話すのが早いし、一日中こういった単語で話している。でも驚く必要はないし、全部覚える必要もない。まずは目の前の仕事に集中しよう。

12. いくつかのカンファレンスに出てみよう。ただし、事前にどれに行くかは話してから決めよう。とにかくたくさんのイベントがあるから、大切な時間を有効に使うために、適切なイベントを選択しよう。

13. この代理店にはたくさんの優秀な人がいる。ここで働いている間に、できる限りたくさんの人に会ってほしい。

14. いろんな人が売り込みに来る。いい営業からは多くのことが学べる。彼らのプレゼンを注意深く聞いて、質問してみよう。その製品の本質を考え、クライアントにメリットがあるかどうか判断しよう。すべての製品がクライアントにフィットするわけではないが、すべてのミーティングは君の知識を増やすためのいい機会となるだろう。

15. ランチに連れて行ってくれたり、何かをくれた人には必ず御礼を言おう。君がその御礼として何かをする必要はない。ただ感謝を表現すればいい。

16. 我々は Google や Facebook、Hulu、Twitter などを始めとして、たくさんのクールな企業と仕事をしている。最初は楽しいし、興奮すると思う。でも、インターンを進めていくにしたがって、彼らよりも、まだ誰も聞いたことがないような企業との仕事に一層の興奮を覚えるはずだ。(それが次の Google かもしれないしね!)

17. あとはもちろん、、、AdExchanger を毎日読むことだね。
※日本であれば、Unyoo.jpですね!(毎日更新してないですが…)


 
これらの17のアドバイスは、広告運用に限らず、新しい仕事をうまく離陸させるための大切な知恵が含まれていると思います。そして、運用の現場を熟知しているからこそ出てくる言葉(「小さな違いが、キャンペーンの成功に大きなインパクトをもたらしうる」とか!)には、傾聴せざるをえない信頼感があります。

こういった素晴らしいアドバイスをくれる上司や先輩があなたの職場にもきっといると思います。これからのキャリアでたくさんの素晴らしい出会いがありますように。

著者

Related posts

*

Top