アカウント構成を考える時の注意点-広告グループ編-

前回のアカウント構成を考える時の注意点-予算設定編に続き、アカウント構成を考える時の注意点-広告グループ編-です。


意外かもしれませんが、広告グループの理解はアカウント構成の完成度に直結します。しかし、広告グループの役割をちゃんと理解してアカウント構成を設計している方は少ないと思います。


今回は広告グループの役割を解き明かしながら、アカウント構成を考える時に注意すべきポイントを解説します。

■広告グループの役割とは?

念のために、検索連動型広告のアカウント構造の確認です。


アカウント構造_広告グループ
※赤枠は著者による加工


広告グループは、キャンペーン下部に設定するキーワードと広告をまとめる役割、と導入研修で教えられた記憶があります。実際、この説明は間違っていません。しかし、広告グループの説明としては不十分な部分があります。


では、Google AdWordsのヘルプにはどのように記載されているのでしょうか?確認してみます。

Google AdWordsヘルプ:広告グループとは
キーワード、広告、入札単価のセットです。どのキーワードに対して、どの広告を表示するかが決まります。
・各キャンペーンの中には、複数の広告グループを作成できます。
・宣伝したい商品やサービスなど、テーマごとに広告グル―プを作成します。そうすることで、その広告に興味を持ちそうなユーザーに広告を表示することができます。
※太文字は著者による強調


Google AdWordsヘルプ:広告グループの仕組み
広告グループは、同じキーワードのセットをターゲットとする 1 つ以上の広告をまとめたものです。(著者による中略)広告グループは、広告の対象となる商品やサービスの種類など、共通するテーマに従って広告を分類するために使用します。
※太文字は著者による強調



Google AdWordsのヘルプから、2箇所を確認しました。この2箇所には、とても重要なことが書かれていますので要点を抜き出します。


・どのキーワードに対して、どの広告を表示するか
・共通するテーマに従って広告を分類するため


要点の2つに共通する部分は『広告』です。広告グループは名称が示すように『広告』を中心に考えることが重要です。


エクセルの掛け合わせ表を使い機械的にキーワードを作成し、その掛け合わせ軸を広告グループとして設定していることが推測できるアカウントを見ることがありますが、この方法でアカウント構成を作成すると、必要以上に広告グループが作成されるデメリットがあります。


また、広告グループには必ず広告を入稿しなければなりませんから、広告グループ数=最低限必要の広告数になります。広告グループには入稿する広告が1つであることは珍しく、最低2〜3つの広告を登録します。つまり、広告グループ数の2〜3倍の広告数の入稿が必要になり入稿負荷が大きくなります。同時に、「格安」「価格」のような訴求ポイントが同じ広告グループには同一の広告を入稿することになります。


エクセルの掛け合わせ表を使った方法でアカウント構成を考えることは、どうしてもキーワード中心になってしまうため、本来の広告グループの役割をおざなりにしてしまいがちです。

■何を基準に広告グループを分けるのか?

先に確認したように広告グループの中心は『広告』です。


広告を中心にアカウント構成を考えれば、広告の訴求が異なる(=伝えたいメッセージが変わる)場合に広告グループを分けます。つまり、同じ広告文で複数の広告グループは不要になります。広告が同じであれば広告グループを統合しても、何も問題はないはずです。


しかし、なぜ広告グループを分けてしまうのでしょうか?


よく見かける例として、マッチタイプ別に広告グループを作成しているアカウントを見かけます。下記のようなアカウント構成です。


アカウント構成_マッチタイプ別


何かしらの意図で広告グループを分けていると思いますが、実はマッチタイプで広告グループを分ける必要性はありません。


マッチタイプで広告グループを分ける必要性がない理由を理解するためには、キーワードのマッチタイプの役割を深く知る必要があります。マッチタイプGoogle AdWirdsヘルプ:キーワードのマッチタイプについての基本的な部分については、多くの人が理解していると思います。しかし、このヘルプ部分だけの理解では片手落ちになります。


キーワードに設定するマッチタイプには重要な役割があります。それは、ユーザーがGoogleなどで入力した時、検索語句(検索クエリー)とアカウントに入稿してる同一キーワードが複数ある場合、どちらのキーワードを広告オークションに参加させるか判断する役割です。


具体的には、「ハワイ 格安航空券」とユーザーが検索語句を入力したとします。アカウントには「ハワイ 格安航空券」の完全一致と「ハワイ 格安航空券」の部分一致が入稿されていた場合、完全一致と部分一致、どちらのキーワードを広告オークションに参加させるか、という問題です。この問題に対して、Google AdWordsはしっかりと解答しています。

■検索語句と一致する複数の類似したキーワードの取り扱い

先ほどの解答としてGoogle AdWordsヘルプ:検索語句と一致する複数の類似したキーワードの取り扱いに明確に記載されています。少し複雑に説明されていますので、要点を箇条書きにします。


・検索語句とキーワードの一致度が高いキーワードが優先
・検索語句とキーワードの一致度が同じ場合、完全一致を設定しているキーワードが優先


Google AdWordsヘルプには、「同じ広告グループの複数のキーワードが検索語句と類似する場合」と「検索語句に類似するキーワードが複数の広告グループにある」に分けて書かれていますが、基本的に同じです。基本的に同じならマッチタイプで広告グループを分けても問題ないように思えますが、最後に重要なポイントがあります。


・広告ランクが最も高いキーワードを使用する(※補足 広告ランク=品質×上限クリック単価)


マッチタイプで広告グループを分けた場合、この広告ランクの管理が難しくなります。

検索語句と一致するキーワードが複数の広告グループにある場合、AdWords システムではより高度な判断基準でキーワードを決定します。これは、広告グループが違えば、広告、ランディング ページ、キャンペーンの設定まですべて異なる可能性があるためです。こうした違いにより、ユーザーの利便性に影響が出たり、異なる広告グループ間で、類似キーワードの品質スコアに差異が生じたりすることがあります。
Google AdWordsヘルプ:検索語句と一致する複数の類似したキーワードの取り扱いより引用



運用を進めていく中で広告検証は必須です。広告検証に限らず検証は、ある程度のボリュームが必要になります。表示回数やクリック数のボリュームを考慮すれば、必然的に部分一致の広告グループでの検証が多くなる傾向があります。広告検証をすることは良いことなのですが、上記で説明されているように広告が変われば広告品質に差異が生じる可能性があります。


つまり、完全一致の広告グループと部分一致の広告グループの間に、広告品質の差異が生じた場合、結果として部分一致側の広告ランクが高くなる可能性が出てきます。


さらに、検証をしている部分一致の広告グループで入札を強化すると、部分一致の広告ランクはより高くなってしまい、完全一致よりも優先されて広告が表示されやすい状況になります。運用していく中で、完全一致キーワードの表示回数が減り、部分一致キーワードの表示回数が増える減少は、こういった背景が考えられます。


広告グループを跨いだ入札管理は極少数のキーワードで運用している場合、問題なく運用できるかもしれません。しかし、キーワード数が多く、広告グループも多ければ、どのキーワードがどの広告グループに入稿されているかわからず、管理が煩雑になります。その結果、アカウントにマッチタイプが同じキーワードが複数広告グループに登録される可能性が高くなります。


そうなると、どのキーワードで広告オークションに参加しているかわからず、掲載結果もバラバラになってしまいます。明確な意図がない状況で、マッチタイプ別に広告グループを作成する理由はないと思います。

■検証が出来ないアカウント構成はPDCAを実現出来ない

最後に、必要以上に広告グループを作成した場合に運用改善ができない理由を解説します。先ほど少しだけ書いていますが、広告検証に限らず検証は、ある程度の表示回数、クリック数、コンバージョン数などの検証に必要なボリュームの確保が重要になります。必要以上に広告グループを作成してしまうと、各広告グループでの広告検証の結果に対する判断が出来なくなってしまいます。下記によく見る例を示します。


アカウント構成_広告グループが多い


各広告グループで広告A、広告B、広告Cのクリック率の差が、偶然の差なのか否か判断がつきません。


運用をしていれば理解されていると思いますが、一定以上の検索数があるキーワードは限られています。同一の広告を表示させるのであれば、検索数のあるキーワードを一つの広告グループにまとめることで、検証に必要なボリュームを確保することが出来ます。


広告グループ統合


繰り返しになりますが、検索数がほとんどないキーワードや意味が通じないキーワードを掛け合わせ表で大量に作成し、掛け合わせ表に沿ったキャンペーン、広告グループを設定することに時間を使うのではなく、

・キーワードの予測検索数や予測費用をGoogle AdWordsのキーワードプランナー、Yahoo!プロモーション広告のキーワードアドバイスツールを利用する

・実際に主要キーワードを検索して検索候補(サジェスト)を確認する
 
Google AnalyticsGoogle Search Consoleで実際の流入キーワードをチェックする
 
など、掲載結果に確実に結びつくキーワードを見つけることに時間を使うことが重要ではないでしょうか。

■まとめ

今回は、広告グループの役割からアカウント構成を考える時の注意点を解説しました。長くなってしまいましたので、要点をまとめておきます。


・広告グループの中心は広告である
・複数の広告グループに同じ広告を登録しない
 ※既存アカウントの場合、同じ広告を登録している広告グループは統合する
・マッチタイプで広告グループを分ける理由はない
・各広告グループに検証可能な掲載結果が出るように考慮する


絶対に正しいアカウント構成はこれだ!と提示することは難しいと思います。しかし、大きく外さないために、知っておかなければならない仕組みは存在しています。その仕組を正しく理解し、設計に反映させることが大切です。


Google AdWordsなどプラットフォームは日々進歩し続けています。プラットフォームの仕組みを正しく理解し、最小工数で最大効果を出せるように心がけたいですね。変化を恐れず、常に最善の方法を探っていきたいと思います!

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