Viewabilityで先手を打つGoogle。GDNの「CPM」は「vCPM」へ移行し、100%ビューアブル配信へ。

vCPM(viewable CPM)へ移行

Googleは2015年9月30日(日本時間で10月1日)、AdWordsのディスプレイ広告のCPM入札を、今後数ヶ月以内にvCPM(viewable CPM)に移行すると発表しました。既に多くのアカウントでは利用可能になっています。

リンク:Inside AdWords: Enhancing the Google Display Network with new innovations

viewable CPM は、画面上に表示された場合(視認可能な範囲に広告が表示された場合)にのみ課金する方式で、広告が視認可能と見なされるのは、広告の面積の 50% 以上が、ディスプレイ広告では 1 秒以上、動画広告では 2 秒以上画面に表示された場合です。

この基準は、Google が 2012年に Active View を提唱したときから変わっておらず、今回の仕様に合わせてレポート指標の「アクティブビュー」も合わせて紹介されています。

activeview

アクティブビューの指標


既にvCPM制が利用可能になっているキャンペーンでは、キャンペーンの「設定」タブから「入札戦略」の中で「表示回数を重視」を選択すると、「閲覧できるインプレッション単価」のチェックの有無が確認できます。チェックが入っていれば、vCPMということです。

vcpm
入札戦略の画面


今回の移行によって、今後はCPM入札のキャンペーンは広告がアクティブビューの時にオークション参加することになりますので、管理画面で見れるインプレッション数は減少する傾向にあると考えられます。現在CPM入札をしているキャンペーンは一般にはそれほど多くないと思われますが、もしそのアカウントにとって有力なプレースメントがあり、そのプレースメントの広告枠がスクロールしないと見えない範囲(Below the fold)にある場合は、入札単価の見直し、もしくはCPCへの移行を検討してもいいかもしれません。

なお、モバイルアプリをターゲットとする広告を含むキャンペーンでは、vCPM入札は使用できないようです。

viewable CPM は eCPM の計算精度が高いプラットフォームが有利

2012年3月に comScore が発表したレポート validated Campaign Essentials™ (vCE™) に端を発した Viewability の議論は、長い期間広告配信の基準を考える上で大きなトピックになっていました。多くのレポートが、見られていない広告が多い、という調査報告を出しており、Googleも2014年12月に「56.1%のディスプレイ広告は見られていない」という衝撃的なデータを公表しています。

参考リンク:広告のビューアビリティに影響すること 〜Googleの調査から

unseen

※5-factors-of-viewability_infographics.pdf より


広告の透明性や信頼性を担保する上で Viewability の議論は欠かせないものですが、広告を配信するプラットフォームにはどのような影響があるのでしょうか。

一般に運用型広告では、広告の配信はオークション上でCPMが最も高い(≒インプレッション単価が高い)広告が配信されます。一方で、ほとんどのオークションではCPM入札の広告だけでなく、CPC入札の広告も多数参加しています(AdWordsの大部分はCPC入札)。そのため、オークションを成立させるために、CPCをCPMに変換して(つまり単価をインプレッションに統一して)単位を揃える必要があります。

その時に使われるのが pCTR(推定CTR)です。広告運用が仕事の方はすぐにピンと来ると思いますが、推定CTRというのは広告の「品質」の大きな割合を占める概念です。

参考リンク:推定クリック率 – AdWords ヘルプ

広告オークションでは、参加してきた広告をランキングするため(表示する広告を決めるため)に、一般に広告ランクの概念が使われます。CPC入札の場合は、「上限CPC ✕ 品質」で表すことができます。ここで、「品質」に「推定CTR(クリック率)」を代入すると、広告ランクをCPMに変える以下の式を導き出すことができます。

max-cost-per-impression

上記の式により、広告ランク=上限インプレッション単価になりますので、これに1,000回を掛ければ、CPMになります。なお、この時の CPM は推定CTRを元にした値なので eCPM(有効CPM)と呼ばれます。AdWordsを始めとした多くの運用型広告はCPCで入札されていますが、RTBのオークションシステムの中で、競合する他のアドネットワークや DSP など、CPM課金の広告と同じオークションで成立するのは、CPC を eCPM に変換しているからだと言えますね。

今回の AdWordsの vCPM への移行は、この方程式を考えると、CPC入札が広告のほとんどを占める Google のようなネットワークにとっては、あまり大勢に影響しないことが分かります。もしすべてのネットワークが vCPM なったとすると、viewableではない広告配信は CPC で入札された広告のみのオークションになるため、(ロボットによるクリック等の詐欺を除いて)広告主の ROI には影響しません。

vCPM が世の中のスタンダードになって影響が懸念されるのは、in-view への対応が遅れている固定CPM入札のみのネットワークではないかと思います。また、穿った見方をすれば、Google にとっては 質の低いCPMネットワーク広告を市場から締め出す圧力がかけられるため、 Viewability を推し進めるインセンティブがあるとも言えるかもしれません。

なお、視認率の高さと費用対効果は必ずしも一致しません。以下のように、視認率が一番低いレクタングル(300✕250)が、広告配信では枠の数が非常に多く、一般に効果も高いとされています。 記事下レクタングルはAdSense最適化では一般的な手法ですので、当然と言えば当然の結果ですね。

adsize
※5-factors-of-viewability_infographics.pdf より


そうなると、広告主側では、視認性を重要視するか、クリック後のコンバージョンを重要視するかで、広告の配信設計はおのずと変えていく必要があります。vCPM は無駄な出費を避けたい広告主にとって当然の権利である一方で、vCPM がスタンダードになればなるほど、広告主側は今まで以上に広告の目的に合わせた入札方式やネットワークを主体的に選択する必要に迫られるでしょう。

Googleが全面的に vCPM を採用したことで、今後他のネットワークも追随してくる流れになると思われます。今後も Viewability の動向はウォッチしていきたいと思います!

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