YouTube向けショッピング広告がスタートし、企業の動画利用は次のステージへ

YouTube向けショッピング広告をはじめとした、一連の製品群

Google は 2015年9月29日(日本時間で9月30日)、IABが主催するデジタルカンファレンス IAB Mixx で、YouTube の広告プラットフォームの新しいラインナップを発表しました。

リンク:Inside AdWords: Today at IAB Mixx: a preview of new capabilities coming to YouTube advertising

今回の発表では、ショッピング広告をYouTube動画全体へと広げていく施策「Shopping ads for YouTube(YouTube向けショッピング広告)」を中心に、アプリ向けの広告フォーマットである「TrueView for app promotion」Brand Lift(ブランドリフト)の範囲拡大、先日発表となった Customer Match(カスタマーマッチ:顧客のメール)など、動画プラットフォームという枠組みを活かして周辺の広告機能と連携させる製品群を揃えてきています。

以下、特に大きな発表である「Shopping ads for YouTube」を中心に、順を追って紹介します。

Shopping ads for YouTube(YouTube向けショッピング広告)

今回の発表の目玉になるのは、この「Shopping ads for YouTube」です。2015年5月にアナウンスされていたYouTube広告(TrueView)とデータフィードを連携させた機能である「TrueView for Shopping」に加え、YouTube上に動画を公開しているクリエイターの持つ動画上にもショッピング広告を出すことができるようになります。

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Shopping ads for YouTube 表示イメージ


以前の「TrueView for Shopping」は、TrueView広告を配信する広告主の動画と Google Merchant Center を連携させ、自社の動画広告に「Cards」 と呼ばれる動的アノテーションを設定できる機能でした。今回の「Shopping ads for YouTube」は、YouTube上にある一般の動画に対して、関連性のある商品を自動的にアノテーションさせる機能になります。

つまり、今回の発表によって、自社の動画広告のみならず、YouTube上にあるあらゆる動画がショッピング広告の対象になるということです。(実際はアップロードしているユーザーの承認があった動画のみ)

広告主側から見れば、Merchant Center 経由で配信されるショッピング広告の配信面が YouTube 全体に拡がったことを意味し、YouTubeクリエイター(YouTuber)から見れば、動画制作による収益の可能性が増えることになります。今後数ヶ月以内で順番にロールアウトされていくということですので、楽しみに待ちたいと思います。

配信面拡大の背景

「Shopping ads for YouTube」が発表されるまでには、幾つかの段階がありました。
 
まず、2015年3月に YouTube Cards を発表し、YouTube動画とマーチャントフィード(Google Merchant Center)の接続が可能にしました。それを動画広告にも適用した TrueView Cards を翌4月に発表したことで、静的だったアノテーションに置き換わるかたちで商品情報という動的な情報提供が可能になっています。その後、5月に「TrueView for Shopping」がリリースされています。

関連記事:
YouTube TruView広告にカードを導入
商品情報と動画が連携する、TrueView For Shopping がスタート

「TrueView for Shopping」は、かんたんに言えば「自社の動画広告のクリエイティブがより充実する」という機能でした。今回の「Shopping ads for YouTube」は、クリエイティブではなく配信面が拡大することを意味します。動画広告というよりは、ショッピング広告の配信ボリュームに対してインパクトがあると言えるでしょう。

今回の導入の背景には、「ショッピング広告の成功」と、「広告在庫の問題」の2つがあると考えられます。ショッピング広告は2012年のスタート以降急激に伸び、近年で最も成功した広告フォーマットの一つです。一方で、ショッピング広告(商品リスト広告)の表示面積は限られているため、アメリカを中心に大規模マーチャントの導入が早い主要国では、どうしてもオークションが高騰してしまっている現状がありました。

この在庫問題に対応するため、2014年にはショッピング向けAdSense というソリューションも発表されていますが、どうしてもアフィリエイトや他の広告主との関係もあり、急速には広まっていないように思えます。

関連記事:
外部リンク:ショッピング向けAdSenseが拡げる、商品リスト広告(PLA)の可能性 ~ admarketech.

そこで白羽の矢が立ったのが、世界一の動画プラットフォームである YouTube だったのではないかと考えられます。

以下は 2014年末のホリデーシーズンの購買調査(英語)ですが、YouTuber が商品を紹介する動画(日本であれば、「買ってみた」動画でしょうか)はホールビデオ(Haul Video)やアンボクシングビデオ(Unboxing Video)と呼ばれ、若年層を中心に購買に大きな影響を与えていると言われています。

2014-holiday-shopper-research-shopping-never-sleeps_articles_600

Source:Think with Google


この類の動画は、今回の「Shopping ads for YouTube」の格好のターゲットになると思われます。YouTuber側としても動画あたりの収益性は上がる可能性がありますので、今後の企業の動画活用の中に、YouTuber とのコラボレーションはますます活発になっていくかもしれません。(ステマっぽくなるかもしれませんが…)

今回の発表記事で、「Digital Storefront(デジタル上の店舗)」という言葉を使っているように、「Shopping ads for YouTube」によって、動画が主要な購買チャネルの一つになる流れが加速していくかもしれません。

These will let you show a click-to-buy ad within partner videos on YouTube, going beyond your own videos to transform any relevant video into your digital storefront.
YouTubeのパートナー動画内に”クリックして購入”型の広告が表示され、自身の関連動画がデジタル上の店舗に変わるということです。

その他の動画関連機能ラインナップ

Google はこれ以外にも、以下の3つの機能を発表しています。

TrueView for app promotion(アプリ向けTrueView)


「TrueView for app promotion」は、アプリ向けのTrueView広告フォーマットです。これまでもアプリ向けのTrueView広告はありましたが、今回の発表によって in-stream だけでなく、 in-display 広告にも対応するため、YouTube利用者に対してより広範はターゲティングが可能になります。

TrVindisplaymock

in-displayの表示イメージ


なお、in-display でのアプリプロモーションは、当初は一部のゲームアプリから開始になるようです。ゲームのプレイ動画などに関連して配信を行うと思われます。また、近いうちにCPI(Cost Per Install)での配信も予定されているようです。

先日発表されたユニバーサルアプリキャンペーン(→関連記事)ではCPIの入力のみで配信面の指定ができない設計になっていましたが、もしYouTubeのみにアプリ広告を配信したい場合は、こちらのターゲティングを使うとよさそうです。

Brand Lift(ブランドリフト計測)の範囲拡大


2014年に発表されたYouTubeでのブランドリフト計測は、アンケートによる広告想起率の調査、検索数の変化(サーチリフト)などによって広告配信とブランド認知度の関係を分析する YouTube の計測機能ですが、このサーチリフトの範囲がGoogle検索だけでなく、YouTube検索にも範囲が拡がったようです。データの母数が増えたことで、相関関係の精度がより上がることが期待されます。

関連リンク:Inside AdWords-Japan: Google 広告 ブランド効果測定 活用事例

Customer Match(カスタマーマッチ)


最後に、先日発表された「Customer Match(カスタマーマッチ:顧客のメール)」のYouTube利用です。広告主が持つメールアドレスを利用してYouTube上でターゲティングを行う手法です。こちらは以下のリンクをご参考下さい。

関連リンク:AdWordsに「カスタマーマッチ」と「ユニバーサルアプリキャンペーン」が登場

 

フィード化する運用型広告

Googleの代表的なデータフィード広告である商品リスト広告(ショッピング広告)が2012年に登場してから、わずか数年間で Merchant Center を利用した広告はEコマースにはなくてはならないメインチャネルの一つになりました。Google側の機能改善スピードも非常に速く、特にこの1-2年の更新頻度は目を見張るものがあります。

運用型広告が徐々にフィード化していく中で、おそらく最も利用者が多く先端を進んでいるのがショッピング広告ではないかと思います。今回のYouTube向けショッピング広告の開始によって、ショッピング広告と、動画プラットフォームを利用した広告配信は、また次のステージに突入した感があります。

そして、次のステージに入るために中核となる要件の一つが、データマネジメントだと思います。ユーザー行動が変わり、プラットフォームが進化するなかで、しっかりキャッチアップできるよう引き続きデータフィード周りは注視していきたいと思います!

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