Googleがショッピング広告の新たな展開を発表:あらゆる購買の瞬間を捕捉するか

ショッピング広告の新機能発表

2015年7月15日、Googleはニューヨークオフィスでプレスイベントを行い、ショッピング向け広告の複数の新しい機能を発表しました。

リンク:Inside AdWords: Winning the shopping micro-moments

今回の発表では、2015年5月に行われた新製品発表会(→参考記事)でもあらかじめアナウンスされていた商品カード機能や、以前から話題になっていた購入ボタン(Buy Button)をはじめとして、ここ最近 Google が強く打ち出している概念である “Micro Moments” 、つまり人々が「知りたい」「行きたい」「欲しい」と思った瞬間を、ショッピングという観点で切り出した機能群が発表されています。

ここ2−3年の商品リスト広告の成功を背景に、思い切ってアクセルを踏み込んできている印象です。発表内容を順を追って紹介します。

「知りたい」を捕捉:商品リスト広告の拡大表示

まずはじめは、モバイル商品リスト広告の拡大機能です。カルーセル型(横に広がる商品リスト)の広告をスワイプすると、その商品の評価や現在地近くの在庫情報など、詳細情報が拡大表示されるようになります。

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もちろん在庫情報などはマーチャント側が対応していないと表示されませんが、クリックした先で詳細を確認するのではなく、スワイプをしながら検索結果上で商品を比較することが可能になります。「知りたい」という欲求をショートカットするような機能だと言えるかもしれません。

日本をはじめとして、多くの国々でモバイルのクエリがPCを上回っている現在、機能改善はほぼモバイルに集約されています。商品検索の主戦場もモバイルに急激に移ってきているため、指一本で詳細が比較できるこの機能は現実のユーザー環境に則したアップデートだと言えると思います。

「知りたい」をさらに捕捉:口語検索への対応

「一番いいナイキの女性用ランニングシューズは?」「NikonD3300の解像度は?」というような、会話・文章型の検索への対応も進化しました。

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ランキングを表すような言葉が含まれた検索にはランキング形式で商品リスト広告を提示したり、「評価」「おすすめ」といったクエリにはレビューカードが反応し、レビューの点数や最も有用だと思われる口コミのサマリーが表示されるようになります。同じように、商品性能やスペックを求めるクエリには、クリック(タップ)せずとも情報が見れるよう、あらかじめクエリに合わせた必要な情報がサマリーとして表示されるようになるとのこと。

この機能はベータテストで通常より11%高いクリック率を示したとのことで、検索結果画面でユーザーにリッチな情報を見せながら、同時に広告主のトラフィックにも貢献するだろうと強調されています。

「行きたい」を捕捉:リアル店舗への誘導

2013年の末(日本では2014年の9月)に発表された、実店舗の付近にいる買い物客に商品を宣伝できるローカル在庫広告ですが、オンラインのコンバージョン率を落とさずにクリックを2%増加できているというポジティブな結果が得られているようです。

店舗とオンラインのカニバリゼーションが起こらないと判明したことから、これまで以上に地域性のある商品検索クエリでのローカル在庫広告を表示機会が増えていくとのこと。このアナウンスによって、店舗を持つ企業がローカル在庫広告を始めるインセンティブが増えましたので、データフィードの整備を含め、参加する企業の勢いは加速しそうです。

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2種類のカードが追加


店舗への誘導を強化するために、Google Now に2種類のカードが追加されました。

1つめはインストアカード(in-store card)で、店舗の営業時間やセール情報、クーポンなどの情報を表示します。これにより、お店に行ったら閉まっていた、在庫が既に売り切れていた、といったケースを未然に防ぎ、営業時間外でも様々な店舗情報を参照できるようになります。

2つめは、プライスドロップカード(price drop card)で、いわゆる値引き情報です。マーチャントがこのカードを適用していれば、ユーザーが以前見た商品が大幅に値下げされるとハイライトされます。うまく機能すればかなり強力ですね。

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「買いたい」を捕捉:モバイルアプリ購入の促進

コンバージョン率をデバイス別に見ると、まだPCの方がモバイルより2倍ほど高いと言われています。それにはさまざまな要因があると思いますが、解決の一助として、ショッピングサイトのモバイルアプリと連携し、商品リスト広告からアプリ内の該当商品へディープリンクすることで、ウェブサイトではなくアプリでの購入を促す機能が追加されました。

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開始時は eBay、Flipkart、Zalando など一部のショッピングアプリを持つ広告主に限定するようですが、数ヶ月以内に対象の広告主を広げるとしています。ちなみに、eBayは商品リスト広告の世界最大の広告主で、いち早く検索連動型広告の予算を商品リスト広告へシフトさせた大型広告主として有名です。(→関連記事

「買いたい」を捕捉:「Googleで買う」ボタン

最後が、以前から話題になっていた購入ボタンで、正式には 「Purchases on Google(Googleで買う)」という機能になります。モバイルの商品リスト広告上に購入ボタンが現れ、マーチャントのサイトに遷移することなく同じ画面上で決済まで完了できるので、ユーザーにシームレスでかんたんな購入体験を提供でき、広告主はモバイルでのコンバージョン率の向上が期待できるとのこと。

なお、通常の商品リスト広告と同様に広告のクリックのみが課金対象となり、商品ページ上の遷移はすべて無料だそうです。

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「Purchases on Google」は一部の広告主とテストが始まったばかりの段階ではあるものの、モバイルでの購入体験を次の段階へ進める重要な一歩だと Google は強調しています。

まとめ

以上が、今回のショッピング広告の発表の中身です。

多くの記事で言及されている購入ボタン(Buy on Google)は、言い換えれば「リアルタイムに商品を提示する露店を検索結果上に出店する機能」とも言えるので、ユーザーからの反応は賛否両論ですが、方法論としては非常に強力です。

一方、購入ボタンはまだ一部の企業とのテスト段階にあり、おそらく Merchant Center と企業の受発注システムとの連携が必要なため、まずは大手の小売企業に絞って限定的にスタートするものと考えられます。

購入ボタン以外にも、アプリのディープリンクやレビューカード機能、拡大表示やローカル在庫の強化など、今回の発表はあらゆる購入のきっかけ(Micro-moments)を捉えようとする Google の意気込みが垣間見れた発表でした。

コマースをめぐる環境は日々刻々と変化していますが、マーチャントにとって幸運なことは、機能とトレンドをよく理解し、技術的なキャッチアップができさえすれば、これまで捉えられなかった「購入のきっかけ」をリアルタイムに捉えることができるようになることではないでしょうか。

テクノロジーに寄り添う企業にはこれからも様々なチャンスが巡ってくるはずです。ショッピング関連の広告は革新のど真ん中になるので、引き続きウォッチしていきたいと思います!

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