特別寄稿:データフィード広告の時代の幕開け、検索連動型広告のキーワードレス化とその未来

※本記事は、アナグラム株式会社 田中広樹さんからご寄稿頂きました。


Google が2015年5月に発表したアップデートは、まさにデータフィード(企業が持つデータベースから更新データを送受信する仕組み)と広告の連携、さらなるモバイル広告への注力を実現するためのものと考えられています。2014年の秋に動的リマーケティングが小売業界以外にも利用できるようになったあたりから、いよいよ Google AdWords もデータフィード広告に本気を出し始めてきたと筆者は考えています。

本記事では、2015年の後半からその後に起こるであろう Google AdWords をはじめとするリスティング広告とデータフィードの関係、そこから見える運用者の未来について考えてみたいと思います。

データフィード広告利用の潮流が日本でも本格的に

データフィード広告で最も波に乗っているであろうcriteo社、そのcriteo社から2015年の5月に発表された2015年第1四半期の決算を見てみますと、2015年の第1四半期において、全体の実質売上高は昨対比で55%増、日本を含むアジア・パシフィック圏では60.9%増と大きく伸びています。

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Source:Criteo’s Q1 2015 Performance


ちなみに、criteo の日本におけるトランザクションのうち50%以上はモバイルからのトランザクションが占めておりまして、2015年3月に導入されたPCとモバイルのマルチスクリーン対応が始まったことで、criteo社の売上はさらに伸びることになるかと思います。同じ理由で、criteo社がクライアントの獲得もしやすくなったことも少なからず影響してくるのではないでしょうか。

criteoといえば、小売業界におけるパーソナライズリターゲティングのイメージが強いですが、転職エージェントのような人材業界、宿泊予約サイトのような旅行業界、賃貸を始めとする不動産業界など続々と利用が加速しており、さらにコンバージョンの効率も比較的高いと評判ということもあってか、データフィードの広告利用は爆発的な広がりを見せています。

日本におけるデータフィード広告としては、現在の criteo や indeed が人気を博す前から、Google AdWords で商品リスト広告が提供されていましたが、「小売業のみしか利用できない」「データフィードと広告という概念が広告主に浸透していない」「Google AdWords と Google Merchant Center の連携や設定が大変」「データフィードが準備できない」「表示される広告の検索クエリが少なかった」などの理由から、データフィード広告が今日まで今ひとつ認知されてこなかったのかなと考えられます(現在も若干その空気感は引きずっている気がします)。

Google AdWordsにもデータフィード広告の潮流

2014年の秋に Google AdWords でも小売以外の業種でもデータフィードを Google AdWords にアップロードすることで、パーソナライズされた商品やサービスをクリエイティブとして配信することが可能になる動的リマーケティングが利用できるようになりました。

従来、小売業種では Google Merchant Center に商品情報をアップロードすることで、「キーワードへの入札が不要な商品リスト広告」「商品がクリエイティブになる動的リマーケティング」が利用できていたことから推測するに、小売業界以外の業界でもデータフィードに基づいた広告が出稿できる仕組みが整ったのであれば、小売以外でも、商品リスト広告のようにキーワードへの入札が不要な検索連動型のデータフィード広告が登場する可能性が高く、おそらく近い将来出てくるはずです。

動的リマーケティング同様に、2014年の秋に登場した広告カスタマイザによって、広告をデータフィードに基づいて動的に書き換えることが可能になったことからも、キーワードレスの検索連動型広告のメニュー拡充は時間の問題だとも考えられます。

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100点の価値を出せるプレイヤーが必要とされる

前述までのように、リスティング広告のインテリジェンス化とデータフィードの活用によって、小売以外のすべての業種で、従来のリスティング広告のように複雑なアカウント構築をせずとも、大きな売上を得られるような時代が来ると考えられます。

ただし、データフィード広告をただ単純に使うだけでは、与えられたビジネスの目標に対して100点は取れません。その理由は次の2点です。

1.データフィードの内容は出稿媒体にあわせて適切に構築する必要がある

2.データフィードの情報だけでは「検索意図」を理解しきれない

>1. データフィードの内容は出稿媒体にあわせて適切に構築する必要がある

データフィードは Google AdWords のみならず、criteo や indeed、その他 DSP が提供するリターゲティング広告にも使われ、各媒体によって仕様はまちまちです。そのため、1つのデータフィードをそのまま仕様に当てはめただけのまま利用するケースがあります。媒体によって掲載ポリシーが異なったり、レギュレーションや表示形式が異なったりするので、各媒体特性やポリシーに則って構築する必要があり、これをディレクションできるプレイヤーは重宝されます。

これは余談ですが、「液晶テレビ 32型」という検索をすると、Google AdWordsの商品リスト広告は次のように表示されます。

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液晶テレビの見た目はほぼ変わらないんですよね…。こういった場合は、赤枠で囲った商品写のように「画面のサイズ」「ブランド名」などが入っていると視覚的に分かりやすくなりますし、限られた文字数のタイトルテキストを補う役目もあります。

このような商品画像のカスタマイズを全てに行うことはとても手間がかかる作業ですが、実はデータフィード広告成功の秘訣は、こういったデータを1つ1つ地道に整形することだったりします。

>2. データフィードの情報だけでは「検索意図」を理解しきれない

例えば「プリンター 故障」という検索語句があったとします。一般的には「故障したプリンターを修理した」という検索意図が汲み取れますが、欲求としては「ドキュメントを出力したい」に他ありません。急ぎではない人には、プリンター通販の広告も可能性があります。プリンターの修理代金よりもプリンターを買ってしまったほうが安くて早い場合ですね。今すぐドキュメントを印刷したい人にとっては、プリンター修理業者の広告だけではなく、コンビニプリントのようにすぐに印刷できる手段を提供する広告があっても良いわけです。

データフィード広告は、キーワードレスで広告が出稿でき成果も上げやすい反面、今のところはデータフィードの内容に基づいてしか広告が表示されません。つまり、前述の例のように消費者の検索意図の理解や隠れた欲求を汲んだ上で適切な広告を出すためには、従来のように考えぬいたアカウントによってキーワードに入札を行うことが必要になります。

データフィード広告だけでももちろん成果を上げることができますが、広告媒体のデータフィードの仕様やポリシーを知った上でのディレクションができ、消費者の検索意図を汲んだアカウントを構築することができるプレイヤーまたは広告代理店のみが100点を取りうる存在になることは間違いありません。

まとめ:テクノロジーに寄り添うことの大切さ

テクノロジーの進歩によってデータフィードと広告がつながり、さらにインテリジェンス化かつオートマチックな広告システムへの進化のスピードは我々の想像する以上に早いです。

この流れは、広告運用にリソースをかけられない広告主にとって朗報ですし、これに寄り添えるプレイヤーはこれまで行ってきた「頭を使わなくても良い作業」をテクノロジーに任せられますので、それによって確保できた可処分時間を使ってより成果を上げる方法を考えることができるようになります。

対して、これらができずにテクノロジーに追いぬかれたプレイヤーは、その存在自体がテクノロジーに置き換えられて淘汰されていく可能性もあります。

データフィード周りにかぎらずテクノロジーの進歩はものすごく早いので、最低限自分の関わるプロダクトとその周辺プロダクトのアップデート情報に対しては敏感になっておいたほうが良いかと思われます。そして、影響が大きそうなものについては、まず実際に自分でやってみることをお勧めします。「気がついたら自分だけ取り残されていた」というのが一番カッコ悪いですから。

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