検索連動型広告の品質計算と閾値の違いについての説明

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※この記事は admarketech. の「検索連動型広告の品質計算、あるいは閾値の違いを表す1枚のスライド」を再編集したものです。
 
 

検索連動型広告におけるブランド検索の現在

オンラインでブランド監視サービスを提供している BrandVerity は、四半期ごとに「The State of Branded Keywords in Paid Search」という、検索連動型広告のブランドキーワードについて定点観測したレポートを公開しています。
 
 
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BrandVerity’s Report on Branded Keywords in Paid Search: Q3 2014
※レポートはメールアドレスの登録だけでダウンロードできます。

 
このレポートは、家電、アパレル、宿泊、教育など、オークションが活発な代表的な業界ごとに、企業名やサービス名などのブランドキーワードで、各検索エンジンごとに何本の広告が出ているかを四半期ごとに調査したものです。
 
調査対象になっている検索エンジンは、AOL、Bing、Yahoo!、Google の4つに、Googleのモバイル検索の結果を加えた5つとなっています。ちなみに comScore の2014年10月データを信じると、アメリカでの検索シェアはそれぞれ、AOL(1.2%)、Bing(19.5%)、Yahoo!(10.3%)、Google(67.0%)となっており、Googleが圧倒的優位となっています。
 
このレポートは、検索連動型広告においての「品質」の概念や、順位付けや表示可否のメカニズムである「広告ランク」の閾値について考えるのに丁度よい示唆を与えてくれます。
 
今回は、レポートの中にある1枚のグラフを元に、検索エンジンの広告品質と、広告ランクの閾値(Threshold)について考えてみたいと思います。
 
 

Googleと他の検索エンジンの違い

下の図は、検索エンジンごとに、すべての業種でのブランド検索においてどれくらいの本数の広告が表示されていたのかを表しているグラフです。タテ軸が検索結果ページ(SERP)ごとの広告の本数、ヨコ軸は検索エンジンの種類です。
 
 
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Image:BrandVerity’s Report on Branded Keywords in Paid Search: Q3 2014

 
棒グラフは2色に分かれており、紫色が検索されたブランドが出している自社の広告を指し、オレンジ色は検索されたブランド以外(他社)の広告を指します。つまり、このグラフは検索エンジン平均で自社のブランドワードに他社の広告がどれくらい出ているのか?という指標になります。
 
ひと目で分かるとおり、ブランド検索では Google は自社(検索されたブランド)の広告のみが掲載されることが多いのに対し、他の検索エンジンでは平均して3本、つまり自社以外に他社が2本ほど掲載されていることになります。
 
これは、業界ごとに “他社” の構成は違うものの、Google 以外の検索エンジンでは、ブランドワードで検索した際に競合他社やリセラー(販社や代理店)、比較サイトやアフィリエイターなどの広告が掲載されているということです。(ちなみに、業界別レポートではブランド以外にどのような競合が入札してきているのかが分かるように競合の種類も分類されていて興味深いのでぜひレポート原文を読んでみて下さい。)
 
 

広告品質の閾値

こういった検索エンジンごとの差を「商標侵害の申し立て」のようなブランド保護の取り組みの差といった視点で捉えるのはやや早計です。
 
内部の審査チームのオペレーションの質は外部から判断する術はないものの、少なくとも、Bing(および提携先のYahoo!)の知的財産やトレードマークのポリシーは、Google のそれとほぼ同じで、リセラーやまともな情報サイトであれば広告掲載を認める、という記述も酷似しています。
 
では、ポリシー以外の要因で、なぜこういった差が生まれるのでしょうか?
レポートには以下のような記載があります。
 

“Why were there so many more non-brand ads on these engines? It’s not entirely clear, but it likely has something to do with Google’s Quality Score. Google’s AdWords system assigns a score of 1-10 to advertisements based on their performance and relevance. When an ad’s Quality Score is below a certain threshold (as determined by Google), Google’s algorithms will often opt not to show that ad. A higher Quality Score threshold on Google could account for the relatively low figures of Non-Brand Ads per SERP on Google and Google Mobile compared to AOL. Despite the fact that the ads are all pulled from the same pool (AdWords), Google could be more selective about what it shows.”
 
どうして(Google以外では)競合他社の広告がたくさん掲載されるのだろうか? もちろんすべてが明らかになっているわけではないが、Googleの品質スコアが影響しているということは考えられる。Googleのアドワーズは広告の関連性と実績をもとに10段階の品質スコアを設定している。広告の品質スコアが(Googleの設定している)閾値を下回れば、アルゴリズムによって広告は掲載されなくなる。Googleの設定する高い品質スコアの閾値によって、相対的に低い品質の自社ブランド以外の競合他社の広告はAOLのような検索エンジンと比べると掲載されにくくなる。Googleはより厳選された広告だけが表示される検索エンジンだと言えるだろう。
 

太字は筆者による強調
※Source: BrandVerity’s Report on Branded Keywords in Paid Search: Q3 2014
 
 
これは、非常に的を得た指摘だと思います。
 
検索連動型広告は、広告の品質と入札した単価(上限CPC)を掛けあわせた広告ランクで順位が決まります。(AdWords では広告表示オプションなども加味)
 
AdWords の出現以降、「関連性(Relevancy)」という概念がオンラインの広告のエコシステムを司り、ユーザー、広告主、パブリッシャー3者の利益を最大化し適切なバランスを保つために貢献してきました。
 
この「関連性(Relevancy)」を定量化して広告のオークションの仕組みに取り込んだものが、広告の「品質」で、その複雑な品質の計算を広告主にも見える化したものが、「品質スコア」です。同じ入札単価であれば、品質が高ければ広告は出るし、低ければ出ない/順位が低い ということになります。
 
Google の品質スコアのページには以下のような記述があります。
 
 
参考:品質スコアについて – AdWords ヘルプ

広告の品質による影響
 
広告ランクの品質に関する要素は、さまざまな方法で使用されており、それらの影響を受けるアカウントの要素は次のとおりです。
 
・広告オークションの参加資格: 通常、品質に影響する要素が良好であるほど、広告はオークションに参加しやすくなり、単価も低くなります。広告の品質の測定結果は、広告に掲載資格があるかどうかの決定にも影響します。
・実際のクリック単価(CPC) : 広告の品質が高いほど、クリック単価は低くなります。つまり、広告の品質が高いほど、クリックに対するお支払いが安くなります。
・キーワードの First Page Bid の見積もり : 広告の品質が高いほど、First Page Bid の見積もり額は低くなります。つまり、品質に影響する要素(推定クリック率、広告の関連性、リンク先ページの利便性)が良好であるほど、広告は検索結果の最初のページに表示されやすくなります。
キーワードの ページ上部表示の推定入札単価 : 広告の品質が高いほど、ページ上部表示の推定入札単価は低くなります。つまり、広告の品質が高いほど、広告はページ上部に表示されやすくなります。
・広告の掲載順位 : 広告の品質が高いほど、広告の掲載順位が高くなります。つまり、ページ内での広告の表示位置がより高くなります。
・広告表示オプションやその他の広告フォーマットの表示資格: 一部の広告フォーマットは、広告の品質が一定のレベルに達していないと表示できません。また、広告表示オプションやその他の広告フォーマット(サイトリンクなど)を表示できるかどうか判断する際には、広告ランクも考慮されます。広告ランクは品質スコアの関数であるため、広告の品質が高いほど、広告表示オプションやその他のフォーマットを表示できる可能性が高まります。

 
上記の「広告オークションの参加資格」「広告の掲載順位」は、(厳密には違いますが)ほぼ同じことを言っています。
 
検索が発生した際に、検索エンジンはクエリにマッチする広告を広告ランクごとにランキングします。AdWordsには世界中の広告主が入札しているので、検索結果には数社しか広告が表示されなくても、裏側ではその何倍〜何百倍もの広告がオークションに参加し、ランク付けされています。
 
もちろん、検索結果にすべての広告を表示するわけにはいかないので、検索エンジンは品質を計算し、広告表示しても問題ないレベル(閾値)を割り出して、その閾値以上にある広告のみ表示します。閾値は常に再計算され、クエリごとに動的に変動します。検索エンジンとしてユーザーに適切な結果を提供できるレベルを判断しているのです。
 
 

表示されている広告は、氷山の一角

この閾値という考え方を図にすると、以下のようになります。
 
 

 
 
言ってみれば、この閾値の設定の厳密さや、計算の精度が、検索エンジンの品質そのものだと言って差し支えないと思います。Google が自社のブランドキーワードで他社が掲載されにくいのは、この広告ランクの閾値の設定と計算の精度が厳密だから、と言えるのだと思います。
 
メディアの最重要指標である RPM という考え方(参考:RPM、そのビジネスの中心 | Unyoo.jp)からすると、検索結果1ページあたりの広告本数(=Depth)は多いに越したことはありません。
 
Depthを増やす方法はいくつもありますが、検索エンジンにとって手っ取り早いのは、広告ランクの閾値を下げることです。氷山の一角という比喩を使えば、海面を下げて氷を露出させることになります。
 
ただ、やみくもに Depth を増やそうとして広告ランクの閾値を下げると、本来広告として掲載されるべき品質に達していない広告まで掲載されることになるため、検索エンジンとしての厳密性は下がります。短期的には広告のクリックが増えて潤うかもしれませんが、質の低いクリックが増えて広告の効果は下がりやすくなりますし、ユーザーとしても関係ない広告が増え、検索エンジンへの信頼性は次第に失われていってしまうでしょう。
 
BrandVerity のレポートは、検索エンジンの品質や、その裏側にある閾値という考え方を知る上で、非常に示唆に富む資料だと思います。グラフを眺めているだけでも面白いので、興味がある方はぜひご覧になってみて下さい!
 
リンク:BrandVerity’s Report on Branded Keywords in Paid Search: Q3 2014 
 

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